広域的な明滅動作のマテリアル
視界の片隅にちらつく光の粒子、
その舞は極小の世界で繰り広げられる
二面性が渦巻く空間。
広域に拡散するその動きは、
明滅は瞬きのように、
ただ生じては消え、
そして再び現れる。
ここにあるのは「物質」
と呼ばれるものの断片、
その構成要素は存在と非存在の
境界で躍動する。
ひとつの原子が輝けば、
次の瞬間には暗闇に沈む。
それでもその不確定性こそが
究極のリアリティであり、
創造の原動力だとでも言うように、
永遠のゲームを繰り返す。
大地を跨ぐ振幅のある影、
明滅は星々の脈動と共振する鼓動。
無数の可能性が瞬き、
過ぎ去る一瞬に宿る永遠の物語。
波打つ事象の渦は、
観測者の視界を超えて広がる
カオスのマテリアル。
広域的なるものとは、
無限の連鎖を含む全体性。
触れることなき触感、
触れられることなき温度、
それが明滅する素材の本質。
明滅の一閃、それは記憶の片鱗、
予兆の投影として
物理的な粒子と波動が踊るように、
意味と無意味もまた
同様に意識が変容する。
マテリアルを掴もうとするその明滅は、
掴もうとする掌を無垢な空白へと誘う。
あらゆる光景の背後に潜む、
透明な明滅の振動。
それはただの素材ではなく、
意識が織りなす新たな根源的コード。
瞬時にして遠方と交信する
スピンの絡み合いのようなもの、
目に見えない「隙間」を媒介にを紡ぐ。
広域的な運動は記録の断片となり、
やがて失われた時間の中で
新たな文脈を得る。
だからこそ、明滅は単なる動作ではなく、
「マテリアル」。
それは、空虚を織り込みながら、
存在の綱を張り巡らせる布地。
粒子と波の二重性が示唆する、
曖昧な境地に投げ込まれた問い
触れられぬ素材が生む形、
手に届かぬ熱が抱く熱狂。
その広域的な拡がりは、
ただ見る者の網膜を越えて、
意識の深奥をかすめ取る。
一瞬の明滅が、
永遠の静止を孕むことに気付かぬまま。
振動する光の縁に立つ我々の視線は、
虚空に揺れる無数の
結晶を見落とし続ける。
それらは、ただ在るだけで
宇宙の断片を映し出す。
だが、その輝きはひどく短命だ
それゆえに美しい。
真昼の静寂が断裂する、その瞬間、
目に映る世界は息を
潜めたまま微細に震え、
可視と不可視の境界線が明滅する。
空間は静止と動態を織り交ぜ、
光の粒子は舞い降りる翳の中で
螺旋を描く運命の交点。
触れることのできない触覚、
それは存在の輪郭を希薄にし、
虚実の曖昧さを精密なリズムに編む。
かつて確固たるものと思われた形状は、
揺らぎの波動に呑まれ、
見知らぬ姿へと変容する。
素材の根源たるものは、
単なる無機質の集合ではなく、
閃光のような生成の連続体
としての意志を持つ。
この意志は、始まりと終わりの連鎖を拒み、
その代わりに、無限の中間地点をさまよう。
問いの片隅で、明滅が答えを拒絶する。
見る者は知覚の境界を失い、
言語の手の届かない領域へと滑り込む。
広がりゆく光の編み目は、
ただひたすらに広域的な
明滅動作を繰り返すだけ。
それはマテリアルであり、
またその不在でもある。
刹那に現れ、刹那に消える。
存在と非存在の交錯点、
その無限の舞台に、
ただ一つ、確かに息づく。
虚構の呼吸の漆黒に瞬く無数の点、
広がる海原、揺れる稲穂、
目蓋を閉じても消えない残像の断片。
明滅は、時の割符。
一定であると信じたリズムが、
次の瞬間に裏切りを仕掛ける。
だが、広域的な明滅には終わりはない。
それは視覚の範囲を超え、
感覚の裾野を舐め回す。
空気の震え、言葉の影、沈黙の音楽
すべてがこの絶対的実在の
脈動する断片となる。
誰にも明示されないその瞬間こそ、
マテリアルの本質。