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スローな点滅で、それでも存在する所以


滑らかに進むと思いきや、


世界は止まり、空間の裂け目に影を潜める。


それでも、その点滅は執拗に繰り返され、


不確定な何かを証明しようとする。


無限の闇を裂く、一瞬の微かな点滅。


それは記憶の片隅で微動する


光—存在の境界をさまよう彗星の尾。


ゆるやかに脈打つ光、


あるいは絶え間なく


間を求める闇のように。


瞬きの奥で、世界は生まれ、消えていく。


静かなる波、無数の光点が浮かび上がり、


ひとつの形に収束することを拒みながらも、


確かに在り続ける。


それは、終わりなき問いかけであり、


始まりの答えを持たぬ確信。


問いかけるように、


あるいは問いを放棄するように。


「私」と「無」の狭間で揺れるその光は、


触れる瞬間に消え、


消える瞬間に存在を主張する。


時間の静寂がその点滅に揺らぐとき、


私たちは目撃者でありながら、


観察者ではない。


確かに捉えようとすればするほど、


それは霧のように形を崩す。


だが、その曖昧さこそが存在の所以。


真実を見失う恐怖が影を濃くするほどに、


その点滅はスローに、


されど確かに脈打ち続ける。


それは、存在そのものが、


「ここにいる」と言うための、


静かな意志の名残。


見えないからこそ、その意味を求める。


沈黙するからこそ、


その声を聞き取ろうとする。


存在の輪郭が溶けていく夜に


瞬きする光は、時を刻む鼓動のように


まばたきする意識の狭間で、


現実は波打ち、揺らめく幻想となる。


点滅する光の中で


存在と非存在の境界線を彷徨う


ゆっくりと、ゆっくりと


意識は溶け出し、光の粒子となって、


宇宙の呼吸のように


明滅を繰り返す存在の証。


光が消えても、闇の中でさえ


存在の重みは失われない。


瞬きの間に流れる永遠と


一瞬の中に凝縮される無限。


存在することの確かさは


不確かさの中にこそ宿る


永遠に続く表現の旋律。


絶え間なく繰り返されるリズムの中で、


光が生まれ、消え、また現れる。


その存在はわずかに、けれど確かに。


あるか、ないかの揺らぎの中に横たわり、


その静寂と鼓動が、時を刻む。


光が点く瞬間、世界が一瞬の輝きを取り戻し、


闇が迫るその瞬間に、また別の意味が染み込む。


存在は、明確にそこに在るわけではなく、


消える寸前の光が示唆するのは、


不確かな境界でしかない場所に宿るもの。


点と点が断続的に連なり、線となり、


やがてその線が浮かび上がると、


それはひとつの意識、ひとつの命と見える。


だが、それもまた錯覚。


けれど、確かに、儚さの中に漂う灯火は、


この広大な虚無に存在の理由を刻み込む。


ある瞬間の後に訪れる、次の瞬間の影。


それでも、光が戻ることを疑わぬ意志が、


ひそやかに、だが確実にそこにある。


すべては連続し、絶え間なく流れ、


その中でわずかに光を宿す「点」として、


今ここに、ただ点滅し続けている。


時空を超えて揺らめく光が


無限の闇に描く存在の軌跡。


ゆっくりと、しかし確かに、


脈打つ生命の鼓動のように


一瞬の明滅に宿る永遠を


私たちは見つめ続ける。


存在と不在の境界線で


意識は揺らぎ、そして深まる。


点滅する光の間に潜む沈黙は


存在することの本質を語りかける。


見えない時でさえも、確かにそこにある


存在の証を静かに主張している。


刹那と永遠が交差する瞬間、

光は生きる、存在の真理を


「私はここにいる」という事実は


点滅の間にも消えることはない。


まばたきのような存在の明滅は


むしろ存在を強く印象付ける。


見えない時間があるからこそ


存在の輝きは一層鮮やかに


存在の確かさは


むしろ不確かさの中にこそある。


内在する、永遠と一瞬の緩やかな舞台が。


その舞台は、座席のない劇場で、


観客と俳優が融け合い、空虚を埋める。


時に、存在が存在である理由は、


その不完全さにあるのかもしれない。


完全なる明滅など、どこにもないからこそ、


その点滅を"存在"と呼ぶ。


しばし、目を閉じて、ただ感じるままに


それがスローに、


しかし確かに輝くものの所以。



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