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持久的なオブジェクトの変容から



存在とは、時の中で一時的に輝く形で


持久的なオブジェクトは静かに応じる。


雨風に削られ、陽光にさらされ、


なおも存在を続ける。


岩は微細な摩耗を受け、


木は年輪を刻み、


記憶は過去の殻をまとい、


変質していく。


彼らの静寂の中には、


見えざる変容の力が脈打ち、


単なる「持久」では片づけられない


奥深さが潜む。


ひび割れ、腐食、再構築。


時間はオブジェクトに爪を立て、


ひっそりと新たな形へと削り込んでいく。


岩は砂に、木は腐葉土に、


記憶は夢に解ける。


古い石の壁にしみ込む雨のように、


あるいは大気を漂う微細な塵のように、


見えないものが形を作り、


そして消える。


彼らは「変容する持久性」という矛盾に生きる。


変わらないことへの執着は、


かえって変化の具現化に近づき、


持久の「かたち」は失われながらも、


かたちの「意味」を超えて残る。


その変容は、崩壊ではなく再定義。


そしてその時、過去と未来を宿す


「生成の体験」へと化す。


私たちが手に触れるすべて、


そして触れられることを拒むものすら、


時とともに変わり続ける波動の連なり。


それは一つの過程であり、


静止する概念に名を与える


愚かさを静かに嘲笑う。


変わらぬ姿に見えるその背後で、


細胞は絶えず生まれ、


崩れ、再び生まれる。


そこには一見「同一」の表層が漂うが、


内在する微細な変異は否応なく進行する。


消えぬ疑問の反響として、


存在と無の境界をさまよう。


それがどのように定義されようとも、


変容こそが持久の本質であるならば、


我々が語る「永遠」は


刹那の戯れの中にある。


存在とは、時の中で一時的に輝く


形ある持久的なオブジェクトの


崩壊ではなく再定義。


それは時間の流れに逆らうことなく、


むしろその流れに身を委ねることで


変わりゆく形の中に、


自身の存在とも重なる。


私たちもまた、時間の中で形を変えながら、


その本質を保ち続ける。


過去の経験が私たちを形作り、


未来への希望が私たちを導く。


変わりゆく形の中に、


変わらぬ本質を見出すこと、


時間の流れに逆らうことなく、


その流れに身を委ねることで、


新たな意味と価値を見出す。


留まりながら変わる、


という矛盾の中に宿る意識。


存在そのものが摩耗し、


少しずつその輪郭を新たな何かへと


溶け込ませていく。


見えるものは一瞬であるが、


見えざる力は永遠。


物質の継続は変容を含み、


変容の継続は再構成を伴う。


オブジェクトは観察する眼差しによって変わり、


時間の流れとともに異なる意味を帯びる。


しかし、真に変わらないものがあるとすれば、


それは形の内側で静かに脈打つ意識、


あるいはその残響。


物質の奥にひそむ影のように、


見えざる存在が静かに囁く。


時の表面に現れ、


時の深層へと沈む。


永遠を欲するのは人間の儚い願望だが、


持久的なものに宿る力は、


それ自体が永遠であることにすら頓着しない。


彼らはただそこに、


時間の意志に従い、静かに存在する。


そして、その無言の佇まいの中に、


私たちは鏡のようなものを見つける。


私たち自身の変わらなさと、


移ろいゆく姿を重ね合わせるように。


永劫の中でかすかな変容を続けるものたち。


その様は、静けさの中での


ささやかな死であり、


また新たな誕生。


姿を保ちつつ姿を失う、


自己矛盾を織り込みながら。


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