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みんなで取り組むSDGs!外務省の取り組み紹介


みなさんは政府に「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」というものが設置されているのをご存知でしょうか??

関係行政機関同士の連携をとるために、総合的かつ効果的にSDGs達成に向けた取り組みを推進するため、内閣総理大臣を本部長、内閣官房長官と外務大臣を副本部長とし、全閣僚が参加する「SDGs推進本部」のもと、さまざまな取り組みが行われています。

そこで今回は、SDGs推進本部の事務局で活躍している外務省国際協力局地球規模課題総括課の岡野さんと堀江さんにSDGs達成に向けた外務省の取り組みについて、教えていただきました!


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左:岡野さん 右:堀江さん


岡野 未希さん プロフィール

外務省 国際協力局地球規模課題総括課
2021年4月から、地球規模課題総括課に配属。SDGsに関する広報・アウトリーチ業務やジェンダー及び科学技術イノベーションに関する経済協力案件などを担当。業務を通じて、少しでもSDGs達成に貢献できればと考えています。

堀江 良城さん プロフィール

外務省 国際協力局地球規模課題総括課
2008年4月に入省し、本年4月から地球規模課題総括課に配属。SDGsの広報・アウトリーチ業務や国連児童基金(ユニセフ)関連業務などを担当。持続可能な社会の実現のため、身近なことから実践しています。



ー SDGs推進本部について教えてください!

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2030アジェンダの履行に関する自発的国家レビュー2021 出典/外務省アクションプラットフォーム



堀江さん:

2015年に国連で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、その中で2030年までに国際社会が達成すべき目標としてSDGsが定められました。

SDGsには幅広い課題が含まれるので、各省庁が緊密に連携を取って目標達成に向けた取り組みを進められるよう、政府では、総理大臣を本部長、すべての大臣をメンバーとする「SDGs推進本部」を設置しました。

また、政府だけではSDGs で掲げられている目標を達成できないので、政府以外のあらゆる関係者と連携して取り組みを進めるために「SDGs 推進円卓会議」が立ち上げられました。国際機関、NPO・NGO、民間企業、大学などさまざまな分野の関係者がSDGsの達成に向けて意見交換を行っています。

そういった体制のもと、2030年までにどのようにSDGs達成に向けて取り組んでいくか、中長期的な観点から方針を決めたものが「SDGs 実施指針」になります。SDGsを取り巻く状況が大きく変化し、国際社会が新たな課題に直面するようになったことも受け、2019年に改訂を行いました。

SDGs実施指針に基づき、毎年、重点事項や全府省庁が行う具体的な施策などを盛り込んだ「SDGs アクションプラン」をまとめています。

このように、SDGs推進本部では、各省庁や政府以外の関係者との連携を深めながらSDGs達成に向けた国内外の取り組みを加速するとともに、日本国内での広報・啓発などにも取り組み、あらゆる関係者の行動を呼びかけています。

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出典:SDGsアクションプラン2021


岡野さん:

2030アジェンダは、国連加盟国が各々の国で、定期的にSDGsを巡る取り組みに関する「自発的国家レビュー(VNR:Voluntary National Review)」を行うことを促しており、毎年7月に国連で開催されるハイレベル政治フォーラム(HLPF)に提出されます。

推進本部会合では、本年6月に4年ぶり2回目となるVNRを決定し、7月のHLPFで発表しました。VNR作成にあたっては、ユースや有識者など政府以外の関係者から多くの評価やパブリックコメントをいただき、VNRはそれらも踏まえて決定されました。


ー 外務省のSDGs達成に向けた取り組みを教えてください!


堀江さん:

外務省では、 SDGs達成のために途上国への支援など主に国際協力に取り組んでいますが、私のチームでは、日本国内におけるSDGsの広報も担当しています。今では考えられないことですが、 SDGsができた当初は、日本国内におけるSDGsの認知度は低く、メディアでも今のように大きく取り上げられることはなく、認知度を向上させることが私たちの大事な業務のひとつでした。

そのため、自治体や民間企業などの優良事例を広く共有できるよう「Japan SDGs Action Platform」というウェブサイトを立ち上げ、SDGsに取り組んでいることを示すロゴマークも活用しながら、幅広い関係者への働きかけを行ってきました。

また、SDGs推進本部長である総理大臣から優良な企業や団体等の取り組みを表彰する「ジャパンSDGsアワード」や優れた取り組みを提案する自治体を選定する「SDGs未来都市」により、地域におけるSDGsモデル事例の普及展開を図ってきました。その他にも、ツイッターなどSNSでの発信、ハローキティをはじめとするインフルエンサーとの連携、講演や寄稿などにも取り組んでいます。


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出典/国連


ー VNRの進捗と課題を踏まえて、今後SDGsを加速していく上でどのようなことが重要とお考えでしょうか??


堀江さん:
VNRを作成する過程において、SDGsを推進するために、幅広いステークホルダーの参画が重要であることが改めて認識されました。可能な限り多くのステークホルダーの声が反映できる機会を設けられるような体制が不可欠であり、今後も、若者や市民社会の皆さんと意見交換しながら取り組みを進めていくことが重要と考えています。


岡野さん:
今回のVNRでも、地方自治体の取り組みが多く掲載されていますが、現在、さまざまな地方自治体が地域課題解決のためにSDGsの考え方を取り入れ、活動しています。

2018年から内閣府が推進している「SDGs未来都市(*)」では、現在124都市が選定されており、国内の幅広い地域でSDGs達成に向けた取り組みが進められています。今後は、これらの地方自治体の取り組みを国内外に共有し、SDGs達成に向けて各国の自治体等との連携も深めていきたいと考えています。

* 環境・社会・経済を統合的に取り組む優れた自治体を未来都市として選定し、特に先導的な取り組みを行っている事業に関しては「自治体SDGsモデル事業」として選び、内閣府および有識者から助言を受けながら、目標達成に向けたKPI(重要業績評価指標)を掲げた計画の策定、取り組みの報告やフォローアップなどの進捗管理を実施している。

「自治体SDGsモデル事業」として選び、内閣府および有識者から助言を受けながら、目標達成に向けたKPIを掲げた計画の策定、取り組みの報告やフォローアップなどの進捗管理を実施している。


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SDGs 未来都市一覧 出典/地方創生サイト(地方創生SDGs・「環境未来都市」構想 - 地方創生推進事務局


ー 現存お持ちの課題はどんなことですか?


岡野さん:

SDGs をめぐる状況において、たくさんの課題があるとみなさんも認識されていると思います。2020年から「行動の10年」として取り組みを加速しようとしていた途端、新型コロナウイルス感染症の拡大から、世界中で多くの方の生活が脅かされて、特に脆弱な人々が大きな打撃を受けています。

新型コロナウイルス感染症の拡大は、SDGs達成に向けた進捗を後退させるとともに、私たちの社会に潜むさまざまな課題を明らかにしました。テレワークなどオンライン環境の整備が進む一方、

デジタルデバイド(※)と呼ばれる情報アクセスの格差が明らかになり、オンライン教育が受けられる・受けられないといった教育格差も問題になっています。

次に来る危機に備えるためにも、新型コロナウイルス感染症の拡大によって生じた新たな課題に早急に取り組まなければならず、SDGs達成に向けて行動をより一層加速する必要があると感じています。


※デジタルデバイド…情報通信技術(IT)(特にインターネット)の恩恵を受けることのできる人とできない人の間に生じる経済格差(出典/外務省


堀江さん:

SDGs達成の取り組みを加速させるためには、関係者の連携を深めることが重要だと思います。SDGsに取り組む地方自治体の数の割合が、2017年に1%だったのが、2020年には「40%」まで増えて、政府としては、2024年度までに「60%」まで引き上げることを目標に取り組んでいきます。

メディア紹介の機会も増えて、SDGsの認知度はすでに過半数を超えていると言われており、もはや政府や外務省が音頭を取らなくても、多くの企業や団体などがSDGs達成に向けて取り組み始めていると感じています。

次のステップとしては、さまざまなセクターのみなさんの横の連携をつくり、個別の動きを、大きなうねりに変えて、社会全体の行動変容につなげていく必要があると感じています。


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出典/地方創生サイト


ー 市民社会に期待することはありますか?


岡野さん:

SDGs の認知度は年々高くなり、経済界でも、ESG投資などの文脈でSDGs 達成に向けた取り組みが活発化しています。地方創生を通じたSDGs の取り組みなども多く見受けられるようになり、一般的にも幅広く普及されたと感じています。

しかしながら、SDGsという言葉は聞いたことがあるけれど、具体的な目標は分からないと考えている方も少なくないのではないかと思います。SDGs の目標の対象規模が大きく、各目標同士が複雑に関連していることもあり、自分の行動がどのように貢献するのか、具体的にどのような取り組みを行えば良いのか、分からない方も多いのではないかと思います。

SDGs は、人類全体が抱える課題であるからこそ、個人も含めた総出の取り組みなしにはできません。市民社会のみなさんはすでにそれぞれ行動されているかと思います。引き続き、SDGs達成に向けて活動していただき、可能であれば活動内容を発信いただければと思います。他に何かしたいと感じておられる人たちに向けた参考になるかもしれません。

外務省としても、SDGs達成に向けて一人ひとりができる行動をどのように促進できるのかを考えながら、引き続き発信していきたいなと思っております。


堀江さん:

SDGsが目指すのは、「誰ひとり取り残さない」社会の実現ですが、厳しい状況に直面している方々が多くいらっしゃる現場があると思います。現場の方々の声を聞き、政府や地方自治体に声を届けていただいているのが市民社会の皆さまだと認識しています。

今後も、政府や地方自治体の取り組みにどういった点が欠けているのか、どういった考えを反映すればいいのか、そういった生の声を届けていただけたらと思っています。


パブコメ

出典/ 首相官邸ホームページ 持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合(第10回)議事


ジャパンSDGsアクションプラットフォーム
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/award/index.html

トップ画像出典/首相官邸ホームページhttps://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202106/22sdgs.html


取材日/ 2021年9月8日








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