見出し画像

【声劇】ヤンスの仁義〜エレベーター〜(3人用)

利用規約:https://note.com/actors_off/n/n759c2c3b1f08
男女不問=3
約5分~15分
上演の際は作者名とリンクの記載をお願いします。

********************************************
「似て非なるもの」をテーマに、普段はモブ役として登場する「ヤンス」が主人公になっている台本です。
「アニキ」を「アネキ」に変えて演じてくれても大丈夫です。
みんなで一緒に間違いを覚えていきましょう。
********************************************
【配役表】
ヤンス:男女不問。「いつかアニキみたいな立派な極道になるでヤンス(๑°ш°๑)」
アニキ:男女不問。 義理人情にあふれた極道。
ゴンス:男女不問。 「いつかアニキみたいな立派な極道になるでゴンス」
********************************************

ヤンス:「一体全体っどこにいたでヤンス!! ずっと待っていたでヤンスッ!!」

ゴンス:「こっちの台詞でゴンス。オイラ、ヤンスの言っていた所でずっと待っていたでゴンス! でも全然来なかったでゴンス」

アニキ:「……」

ヤンス:「アッシはそこで『まだでヤンスかなぁ〜まだでヤンスかなぁ〜』って、30分も待っていたでヤンス!! 待ちぼうけをくらったのはアッシの方でヤンスっ!!」

ゴンス:「オイラは40分待っていたでゴンス」

ヤンス:「じゃあアッシは45分でヤンス!!」

ゴンス:「だったらオイラは50分でゴンス」

アニキ:「ふぅ〜……」

ヤンス:「──だったらアッシは──」

アニキ:「──やっかましいっ!!!」

ヤンス:「ヤンスっ!?」

ゴンス:「ゴンスっ!?」

アニキ:「(ため息) ゴンス……何があった?」

ゴンス:「そ、それがでゴンスが──」

ヤンス:「昨日、アッシとゴンスで、買い物に出かける事になってたでヤンス! 駅ビルのエレベーター前で待ち合わせって事にしてたでヤンスが、どれだけ待ってもゴンスが来なかったでヤンス!!」

ゴンス:「っゴンス!? ち、違うでゴンス! ちゃんとエレベーター前で、待っていたでゴンスが、ヤンスが一向に現れないで、エレベーターガールのお姉さんに『乗り、ます?』って何回も聞かれて、凄く気まずかったでゴンス!」

アニキ:「ふぅ〜……」

ヤンス:「──そんなお姉さんなんていなかったでヤンス!! いたとしたら、手すりに乗ろうとして親に怒られる子供がいたくらいでヤンス!!!」

ゴンス:「そんな子供なんていなかったでゴンス!! 子供なのに扉を押さえて『乗りますか?』ってエレベーターガールのお姉さんに苦笑いされたでゴンス──」

アニキ:「──ふんっ (机を叩く) !!!」

ヤンス:「ヤンスっ!?」

ゴンス:「ゴンスっ!?」

アニキ:「ふぅ〜……待ち合わせの場所は……何処だ? ゴンス」

ヤンス:「エレベーターの──」

アニキ:「──ヤンス……俺はゴンスに聞いているんだ」

ヤンス:「っヤン、ス……」

ゴンス:「はいでゴンス。エレベーターの前でゴンス」

アニキ:「で、お前はそのエレベーターの前にいたんだな?」

ゴンス:「ゴンスゴンスっ! エレベーターを呼ぶボタンが上下に2つ目並んでいて、どっちを押せば良いか分からないからって、2つ押してるおじいさんがいたでゴンス!!」

ヤンス:「う、嘘でヤンス!! 下りの方を── (アニキの台詞を無視して続け)」

アニキ:「ヤンス……」

ヤンス:「──上に駆け上がって『超良い運動になる♪』って言ってた小学生に『一緒にやる?』って誘われたで──」

アニキ:「──ヤンス!!!」

ヤンス:「ヤンスっ!?」

アニキ:「(ため息) ヤンス……歯……食いしばれ」

ヤンス:「ヤンスっ!? な、なんででヤンスか!? アッシはちゃんと約束の時間に約束の場所に遅れる事無くしっかりと──」

アニキ:「──馬鹿野郎っ!! (殴る)」

ヤンス:「ウベに参りまァァ〜っズ!!! ア、アニキ……ど、どうしてアッシが……」

アニキ:「ヤンス……お前のいた場所は『エスカレーターの前』だ」

ヤンス:「……ヤンス? エス、カレーター?」

ゴンス:「ど、どういう事でゴンス?」

アニキ:「ヤンス、ゴンス、2人が待ち合わせたのは『エレベーターの前』だ。
ゴンスはエレベーターの前にいて……
ヤンスはエスカレーターの前にいた……
それじゃあ、会える訳もねぇ」

ヤンス:「な、何を言っているんでヤンスかw エスカレーターとエレベーターを間違える訳が無いでヤンスww エスカレーターは動く箱で、エレベーターは動く階段でヤンスよ♪ そんな当たり前の事──」

ゴンス:「ゴンス!? ヤンス、本気で言ってるでゴンスか? エスカレーターは動く階段で、エレベーターが動く箱でゴンス……」

ヤンス:「ヤンスっ!? えっ? ……えっ? でヤンス」

アニキ:「名前が似ているのと、大体が同じ施設内にあるってぇ〜事で、その2つを逆に覚えてしまうヤツは意外に多い。ヤンスが良い例だって事だ」

ヤンス:「そ、そんなでヤンス……アッシはずっと階段の方をエレベーターと思って過ごしていたでヤンス!
ゴンス!! なんで教えてくれなかったでヤンス!!」

ゴンス:「ゴンスっ!?」

ヤンス:「約束をする時に『動く箱の方でヤンス』と『箱の方でゴンス』とちゃんと言ってくれたら、アッシは間違える事無くたどり着けたでヤンス──」

アニキ:「──馬鹿野郎っ!!! (殴る)」

ヤンス:「──あじもどにっごぢゅうっい!!!」

ゴンス:「知らない事を知らなかったでゴンス……それはさすがに無理でゴンス……」

アニキ:「今回の間違いで『エスカレーターとエレベーターを逆に覚えていた』って気付いたんだ。
気付くキッカケをくれたゴンスには、文句を言うんじゃなく、約束の場所に行けなかった謝罪と、そして感謝をするべきじゃねぇのか?」

ヤンス:「……ヤン、ス……」

アニキ:「ヤンスっ!!!!」

ヤンス:「──ヤンスっ!? ゴ、ゴンス……行けなくてすまなかったでヤンス……そして、キッカケをくれて、ありがとうでヤンス……」

ゴンス:「分かってくれたなら良かったでゴンス。次回からは、ちゃんと待ち合わせ場所で会って、一緒に買い物に行けるでゴンス♪
まぁ、オイラも『エスカレーターとエレベーター』、どっちがどっちだか、たまに分からなくなるでゴンス。もしかしたらオイラがヤンスの立場になっていたかもしれないでゴンスから、強くは言えないでゴンス♪」

アニキ:「(ため息) ヤンス、ゴンス……」

ヤンス:「はいでヤンス」

ゴンス:「はいでゴンス」

アニキ:「覚え方としたら『エスカレーター』の頭文字は『S』だ……『S字に上がって行く』それが『エスカレーター』。そして『エレベーター』の頭文字は『L』だ……『並んで、真っ直ぐ上がって行く』。そうやって覚えるのが、一番分かりやすい」

ヤンス:「『S字に上っていく』のが……『エスカレーター』……」

ゴンス:「『並んで真っ直ぐ上がって行く』のが『エレベーター』……」

アニキ:「他にも覚える方法はあるが……それは各々探していきゃあ良い」

ヤンス:「はいでヤンス!!」

ゴンス:「はいでゴンス!!」

アニキ:「……で、お前達2人で買い物なんて……何を買いに行こうとしてたんだ」

ゴンス:「そ、そそそそれは──」

ヤンス:「──結局ゴンスと会えなかったでヤンスから、アニキの誕生日プレゼントをこっそり買う事が出来なかったでヤンス──」

ゴンス:「──ゴンス!?」

ヤンス:「──だから日を改めて、アニキにバレない様にサプライズするでヤンス♪」

ゴンス:そ、それは内緒にするって話だったでゴンスゥ〜」

ヤンス:「……あっ!!? でヤンス!!」

アニキ:「ふふっ……『エスカレーター』で一階ずつ楽しむんじゃなく、『エレベーター』で、一気に最上階まで来ちまった」

いいなと思ったら応援しよう!