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アクティビストがイエローハットに投資。狙いは?


アクティビストファンドのストラテジックキャピタルが、カー用品販売2位のイエローハットの株を5%取得したと7月26日に大量保有報告書を提出しました。

そして、現在では
8月2日
8月9日
8月13日
8月14日

出典:https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/WEEE0030.aspx?bXVsPSVFMyU4MiVBNCVFMyU4MiVBOCVFMyU4MyVBRCVFMyU4MyVCQyVFMyU4MyU4RiVFMyU4MyU4MyVFMyU4MyU4OCZjdGY9b2ZmJmZscz1vbiZscHI9b24mcnByPW9uJm90aD1vbiZ5ZXI9Jm1vbj0mcGZzPTYmc2VyPTEmcGFnPTEmc29yPTI=


と続けて変更報告書を提出し、買い増ししていることが判明しました。
ついに10%程度保有する主要株主の開示までも出ました。

出典:tdnet  https://www.release.tdnet.info/inbs/140120240815572958.pdf



大株主を確認しますと、
1位が創業家の資産管理会社である幸栄企画 13.57%
2位が日本マスタートラスト        11.95%
ですので、
ここに
3位 ストラテジックキャピタル      10.34%
が加わることになります


出典:edinet  
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100TKC6.pdf?sv=2020-08-04&st=2024-08-17T04%3A19%3A10Z&se=2034-06-20T15%3A00%3A00Z&sr=b&sp=rl&sig=HZJZLtNf%2F6M8ch%2BzeWw1jWL4edvIh2oCny4fks2wkDc%3D


追える範囲では、ストラテジックキャピタルは5月21日に買っていることがわかりますので、約4ヶ月で10%も買い集めることができたことに驚きです
(しかも約半分は3週間程度で…)

出典:edinet
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100U325.pdf?sv=2020-08-04&st=2024-08-17T04%3A23%3A32Z&se=2029-07-26T15%3A00%3A00Z&sr=b&sp=rl&sig=Cvo0sP9XBw7kkQjy2BQte5OwOtVwW9iNBaJ7WHNMBL4%3D

上場企業の経営者の方、
「アクティビストっていったって、たかが数パーセントだろ?」
と言っている場合じゃないですよ。最近は資金力もつけてきて、あっという間に株を集めることが可能になってきてます。




さて、ストラテジックキャピタルの狙いはなんでしょうか?
今まで投資してきた企業とは少し毛色が違いますね。
これまでは本業とは関係ない不動産やため込んだ現金、政策保有株を保有している企業がターゲットでしたが、時価総額が1,190億円(8/16時点)に対し、
現金    27億円
政策保有株 95億円
とそこまで過大に保有しているわけではないですね。

ではストラテジックキャピタルの狙いはなんでしょうか?
結論としては、
①創業家資産管理会社との取引をやめろ
②レバレッジを効かせて経営しろ

という点をキャンペーンにて指摘するのでは?
と推察されます。

それぞれ説明しますね。

"①創業家資産管理会社との取引をやめろ"
ですが、下記のようにイエローハットと創業家の資産管理会社である幸栄企画との間で毎年9,000万円近く、不動産賃借の取引があるようです。

ざっと見たところ、過去何十年と続いているようですね。

今の時代、これは指摘されちゃうと、なかなか反論難しそうです。

しかも、こんな取引があるということは今も創業家が経営陣かと思いきや、2008年に創業家は退任しており、そこからはプロパーの方が代表取締役になれれておりますね。ちょっと珍しいケースだと思います。
(Googleで検索していただくとわかりますが、創業家の方は慈善活動を精力的に行っているようです)

ただ、創業家が離れて十数年経っても会社との取引がある、という点はストラテジックキャピタルとしては指摘しやすいでしょう。
「創業家が離れても、実質的には支配・息がかかってんじゃないか?」
というキャンペーンを展開する可能性も考えられます。

創業家の方も経営から離れていて、報酬を貰ってるわけではないので、ストラテジックキャピタルが資本構成を改善するよう指摘して株価が上がるのであれば、もしかしたら反対しない…可能性も考えられます。
ただ、見ようによっては、「相続対策のことを考えると今は株価上げたくない…」という思いが頭にあってもおかしくないです。

どっちともつかない意見で申し訳ありません。


また、社外取締役の方の経歴を拝見すると、
元国税、大学教授、弁護士というご経歴のようで、資本市場に明るい方は見受けられません。

少し話は変わりますが、これからは資本市場の知見があり、投資家と会話ができる方でないと、社外取締役を務めることは難しくなってくると考えております。
昨今、アクティビストのプレーが
「社外取締役はどうやってモニタリングしてたのか?株主の代理人として機能しているのか?」
という指摘に変わってきているので、このあたりの対応ができなければ…大変なことになると思います。

メディアからしても"社外取締役"というのは恰好のネタですからね。



さて、話を戻して次に行きます。
"②レバレッジを効かせて経営しろ"
ですが、これはもうそのまんまです。

無借金ですので、ストラテジックキャピタルからすると、
「もう少し借入してROE高めることできるんじゃないの?イエローハットは自己資本比率8割だけど、オートバックスは6割だよ」
という指摘ができると考えられます。
シンプルですね。

また、Googleで検索するとこんな記事が。


現在は会長の堀江氏がインタビュー記事にて

現在、「若者の車離れ」というキーワードがメディアで騒がれていますが、当社は業績を伸ばし続けながら、無借金経営を実現しています”

と答えているように、無借金経営を是としている風潮が伝わってきます。
過去に400億円の負債を抱えていた経験からということだとは思うのですが、このようなインタビュー記事もアクティビストのキャンペーン材料に使われてしまうので、上場企業の経営者の方は注意が必要です。


以上、まとめるとストラテジックキャピタルは
①創業家資産管理会社との取引をやめろ
②レバレッジを効かせて経営しろ

という旨のキャンペーンサイトを来年4-5月に開設すると考えられます。
そもそもPBRも現在でようやく1倍に到達です。

今後の動向に注目です。


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