直近の公開買い付け情報まとめ(ウェルスナビ/ラック/富士ソフト/UUUM) アクティビストの横槍が入れば株価が上がるかも??
直近のTOB事例のうち、高値推移しているマクロミル、NESICなどアクティビスト思惑が高いものを以前記事にまとめました。同時期にTOBを発表した、ウェルスナビ/ラック/富士ソフト/UUUMについても調査したため、その内容についてこちらの記事で紹介しようと思います。(扱う企業数が多いため、詳細な解釈などは述べず、重要な情報を簡潔にまとめる形式にしようと思います)。
①ウェルスナビのTOB概要
1.基本情報
公開買付者: 株式会社三菱UFJ銀行
対象者: ウェルスナビ株式会社
買付価格: 1株1,950円
公開買付期間:2024年12月2日~2025年1月20日
MUFG銀行は、ウェルスナビの普通株式を9,110,000株保有しており、これは全発行済株式の15.13%に相当。
2.買付価格の算定根拠
市場株価法では1,058円~1,242円、類似企業比較法では772円~1,297円、DCF法では1,573円~2,153円という算定結果。
公開買付価格1,950円は、基準日の終値である1,058円に対して約84.2%のプレミアム率。そこそこ大きいプレミアムに思える。
提案価格の推移は以下の通り。
初回提案価格: 1,450円
第2回提案価格: 1,590円
第3回提案価格: 1,720円
第4回提案価格: 1,850円
最終提案価格: 1,950円
提案内容の詳細については以下。
(長いため飛ばし読み推奨、十分なプレミアムはありそうである。)
初回の提案は2024年10月24日に提示された。MUFG銀行が提示した価格は1株あたり1,450円。基準日である10月23日の終値1,064円に対し36.28%のプレミアム、過去1か月間の終値平均値1,136円に対して27.64%のプレミアムが加えられていた。これに対し、特別委員会は十分な評価ではないとの見解を示した。
次に、2024年11月1日にMUFG銀行は価格を1,590円に引き上げた。基準日である10月31日の終値1,133円に対し40.34%のプレミアム、過去1か月間の終値平均値1,116円に対して42.47%のプレミアムを反映した価格。この提案にも特別委員会は更なる引き上げを求める要請を行った。
その後、2024年11月12日には1株あたり1,720円という第三の提案が行われた。基準日である11月11日の終値1,130円に対し52.21%のプレミアム、過去1か月間の終値平均値1,099円に対して56.51%のプレミアムを含む価格。この提案も特別委員会は妥当性を欠くとし、価格の再検討を求める動きが続いた。
さらに、2024年11月20日にMUFG銀行は第四の提案として1株あたり1,850円を提示した。基準日である11月19日の終値1,103円に対し67.72%のプレミアム、過去1か月間の終値平均値1,102円に対して67.88%のプレミアムが含まれた価格。特別委員会はこの提案に対しても、ウェルスナビの成長性や本源的価値を十分に反映した価格ではないとの判断を示した。
最終的に、2024年11月26日にMUFG銀行は1株あたり1,950円という最終提案を行った。基準日である11月25日の終値1,081円に対し80.39%のプレミアム、過去1か月間の終値平均値1,100円に対して77.27%、過去3か月間の終値平均値1,147円に対して70.01%、過去6か月間の終値平均値1,246円に対して56.50%のプレミアムを反映した価格。この提案は特別委員会によって受諾され、翌11月27日に公開買付価格として正式に決定された。
②ラックのTOB概要
1.基本情報
公開買付け者:KDDI株式会社
対象者:株式会社ラック
買付価格:1株あたり1,160円
買い付け期間:2024/11/27~2025/01/15
公開買付け者が実質的に保有する対象者の株式の総数と比率は、
保有株式数: 9,784,000株 比率: 31.59%
となっている。(比較的多く保有)
2.買付価格の算定根拠
市場株価法:758円 ~ 910円
類似会社比較法:850円 ~ 1,210円
DCF法(割引現在価値法):1,021円 ~ 1,619円
ちょっとプレミアムが乏しい?
提案価格の推移は以下の通り。
初期提案価格:910円
再提案価格:1,000円
最終提案価格:1,160円
提案内容の詳細については以下。(これも長いので読み飛ばし推奨)
2024年10月1日にKDDI株式会社は最初の提案価格を1株あたり910円とした。この価格は、提案前営業日の終値758円に対して約20%のプレミアムを付与した水準であり、市場株価法に基づいて設定されたものであった。しかし、提案後に対象者である株式会社ラックから少数株主の利益に配慮するよう要請があったことを受け、KDDIは価格の再評価を行った。
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