縦走路をつなぐ点と線〜北アルプスで日本を感じる
この夏の個人的な一大イベントは「北アルプス縦走の再開」でした。
そもそもこの企画が始まったのは…
ギョギョっ!
調べてみたら2015年!
恐ろしや、なんと7年前じゃありませんか。
とは言え、個人的な事情やコロナ禍もあり、2017年9月以来だったので5年ぶりの再開です。
山の歩き方には、おおよそ3つのパターンがあります。
A地点を出発し、同じルートでA地点へ戻る=ピストン
A地点を出発し、違うルートでA地点へ戻る=周回
A地点を出発し、その先へ進みB地点へ行く=縦走
私が決行しているのは、北アルプスの北側「栂池」を出発し、テントやら食料やらを担ぎ、えんやこらしながら、最終目標は「槍ヶ岳」という北アルプス縦走。
もちろん一回でできるほど鉄人ではないので、数回に渡りそれを完遂しようという企画です。
さて、今回のルートはというと。
七倉山荘から登りだし、船窪岳〜烏帽子岳〜野口五郎岳〜鷲羽岳〜三俣蓮華岳〜双六岳〜新穂高温泉へ下山という道のりです。
いやいや、船窪〜烏帽子はめっちゃえげつなかった!
結構めんどくさいルートなので、人があまり入らないようで。
トラバースやら鎖場やらハシゴやらの連続、しかも途中から暴風雨に見舞われ(涙)、半分ずり落ちながらの修行となりました。
烏帽子岳からは通称「裏銀座縦走コース」と言って、北アルプスが好きな人なら、一度は歩いたことがあると言っても過言ではない人気のコース。
夏の終わりも近づいた8月下旬でしたが、多くの登山客で賑わっていました。
私が縦走好きなのは「道という線」が「山頂や山小屋、分岐点などという点」で、交差したり混じり合ったりするということ。
その「線」をそれぞれの思いを胸に人が歩いていて、「点」で交わり、ふたたび行くべき方向へと別れていく瞬間があるということ。
「B地点から私たちはMを通ってWへ行くんですが、どちらへ?」
「私たちはF地点をまだ暗いうちに歩き出して、今日はYまでなんですよ。明日は山頂アタックなんです。昨年雨で諦めたんでね」
「うわ〜それは長いですね!お気をつけて〜」
なんていう会話が、あちこちで繰り広げられています。
人は様々な思わくを持ち、期待に胸を膨らませ、自分の信じる「線」という道を歩き、「点」で誰かと交わり、また自分の「線」を歩いていく。
決して見れない風景が、山の縦走路には広がっているのです。そしてその風景に彩りをつけている一つとして人間の存在があるのかなと。
町中にも無数の「線」と「点」があるけれど、あまりの多さにそれらは埋もれてしまい、また例え、それらを見つけ歩いていたとしても、「点」で出会った誰かと交わることはほとんどありません。
北欧を歩いているとき、そのことを強く感じました。
北欧には国や民間で管理された登山道が十右往無人に広がっていて、その先々にはいくつもの分岐点や山小屋が点在しています。
多くの人が自分の選んだ線を歩き、点で人と交わり安心を得て、また自分の選んだ方向へと歩を進めていく姿が、とても新鮮だったのです。
北アルプス縦走を始めた当初、そんなことは微塵も思ったこと考えたことがありませんでした。
しかし久しぶりに再開し歩いてみると、日本の奥深い山岳地帯にも、同じように「線」と「点」が描かれていて、日本の山岳文化を彩っているんだなぁと、なんだか心がほっこり。
さて来年はいよいよ任務完遂の予定!
体力アップがんばるぞ〜〜〜〜