知っておきたい!日本の暮らしのルール 外国籍の方向け賃貸ガイド 住み始め~退去編
外国籍の方が日本に暮らす、日本でお部屋を借りる、そんな中で起こる住まいのトラブルを未然に防ぎたい。そのための転ばぬ先の杖として、外国籍の方に向けた、日本の賃貸住宅にまつわるルールをご紹介する記事の後編です。“物件探し”から“引越し”の前編に続いて、後編の今回は“住み始め”から“退去”までのことをまとめました。自分の気に入った部屋で安心して暮らし、地域の方々とも良い関係でいるためのヒントになれば幸いです。
3.住み始めてから
新しい生活に胸がワクワク! ですが、日常の始まりでもあります。素敵な暮らしは、心地よい日常の積み重ねです。ここでは、必ず押さえておきたい、住まいにまつわるルールやマナーを具体的に取り上げていきます。
ゴミ出し
最も気を配ってほしいのが、ゴミ出しのルール。ゴミを出す際、分別が必要です。ゴミの分別は各家庭で行います。燃やすごみ、燃やさないごみ、資源ごみ、粗大ごみ…といった種類があり、どんなゴミがどう分類されるかは、自治体によって異なります。
また、24時間ゴミ出し可物件を除いて、ゴミの種類別に回収日が決められていて、曜日ごとのルーティンになっています。当日の朝になってから指定の場所に出すようにしましょう。
ゴミの中でも取り扱いが難しいのが、粗大ごみ。通常の回収では引き取ってもらえないので、注意が必要です。多くの自治体で、一般家庭の粗大ごみは、事前申し込みをしたうえで、有料で回収してもらいます。HPや電話などで回収日を予約し、コンビニなどで粗大ごみ券を購入して添付、自宅前の決められた場所に回収日までに置いておきます。
気持ちよい環境を維持していくためにも、ゴミ出しのルールはしっかり守りましょう。
騒音
騒音問題も、もし自分の身の回りで起きたら嫌ですよね。大きな話し声、パーティ、テレビステレオの大きな音、楽器演奏は、周辺に十分配慮をしましょう。早朝や夜間の生活音も思いのほか響くもの。お互いの生活環境を尊重する気持ちを忘れずに。
禁止事項
契約書に記載されている禁忌事項は必ず守ってください。たとえば、ペットを許可なく飼わない、共用部分にゴミや私物を置かない、ベランダに荷物を置かない、危険物や違法物の持ち込み禁止といったことです。
特に注意しておきたいのが、又貸しや契約書にない人の入居禁止です。借りている部屋にたくさんの人を住まわせるのはもってのほか。契約違反となり、即時退去や訴訟に至るケースもあります。
家賃の支払い
家賃の支払いも、滞りなく期日までに済ませましょう。支払方法は契約時に指定されますが、コンビニ払い、銀行振込、銀行口座引き落とし、という入金が主流です。オーナーさんに直接支払う場合もあります。くれぐれも遅れないようにし、オーナーや保証人になってくれた方に迷惑のかからないようにしたいですね。
長い間部屋を空ける場合
帰国や長期出張など、1~2ヶ月部屋を空ける場合は、管理会社や大家さんに伝えておきましょう。
契約期間を超えて住み続けたい場合は、契約更新が可能です(定期借家では更新ができない場合もありますので、注意しましょう)。その際は、更新手続きと更新料が必要です。
そのほか、分からないことがあればそのままにせず、不動産会社や管理会社に問い合わせてください。きっと力になってくれるはずです。
<この項目で出てきた用語の解説>
粗大ごみ(そだいごみ)
…ある一定以上の大きさ以上のごみ(定義は地域によって異なる)で、ベッド、たんす、本棚などの大きな家具、掃除機や照明などの一部電化製品などが対象です。ただし、家電リサイクル法の対象となる家電製品(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)は、粗大ごみの対象となっていません。電気製品販売店や自治体のリサイクルセンターで、有料で引き取ってもらいます。
共用部分(きょうようぶぶん)
…集合住宅において、入居者が共同で使用する部分。廊下、階段、エレベーター、エントランス、バルコニー、外壁など。
更新料(こうしんりょう)
…月々の家賃とは別に不動産オーナーに支払う手数料。金額はオーナーが設定します。更新料の有無、契約更新時に支払う具体的な金額は、契約書に記載されています。
4.退去
いつかは訪れる退去の日。“立つ鳥跡を濁さず”ということわざが日本語にはあります。スムーズな退去のためにも、十分な用意をしておきましょう。
退去の目処が立ったら、まずは不動産会社に1ヶ月前までに連絡を入れます。具体的な日時が決まったら、ライフラインの解約、国内転居の場合は郵便物の転送手続きなどを進めましょう。
荷物の搬出が済み、退去日の当日は、部屋を明け渡す前に、オーナーや不動産会社立ち合いのうえ、室内の点検をします。入居時のチェックシートを参考に、原状回復がどの程度必要かを確認したところで、鍵の返却をし、退去となります。
後日、敷金の清算が行われ、原状回復に必要な費用を差し引いた差額が指定の口座に振り込まれます。敷金は原則として返還されますが、原状回復費用や残置物処理費用が敷金を上回ると不足分を支払わないといけないため、請求が発生する場合があります。
注意しておきたいのが、入居時に敷金がかからなかった物件(通称「敷金0物件」)の場合です。クリーニング費用や修繕費が退去時に追加費用として必要になるケースがあります。契約書をきちんと確認しておきましょう。
<この項目で出てきたの用語の解説>
原状回復
…賃貸借契約が終了して退去する際に、入居時の状態に部屋を戻すこと。ペットがつけた柱のキズやタバコのヤニや臭いなど、賃借人に責任がある損傷については賃借人にその修繕義務があります。通常の生活や経年変化による損耗については、貸主がその費用を負担します。
おわりに
習慣や環境が異なれば、住まいのルールもそれぞれ。文化の違いを認め、共有し、理解を深めれば、お互いにとってより良い住まい環境になるのではと思います。ルールを守って住みよい街の一員になれたなら、日本での暮らしがさらに快適なものになりそうですよね。
【お役立ちリンク集】
▼外国籍の方に関する賃貸ガイド
国土交通省 外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について 外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン(賃貸人、仲介業者・管理会社の方向け・日本語 ※英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、タイ語、インドネシア語、ミャンマー(ビルマ)語、カンボジア(クメール)語、タガログ語、モンゴル語のガイドブックあり)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000017.html
国土交通省 パンフレット「部屋探しのガイドブック」(外国籍の方向け・日本語 ※上記リンクの中に、同じ内容の14ヵ国語に翻訳されたガイドブックがあります)
https://www.mlit.go.jp/common/001317843.pdf
▼お部屋探しに便利なサイト
●外国籍の向けの日本の住まいに関するルールについて
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 ウェルカム賃貸 「外国人住まい方ガイド」(日本語 ※英語・韓国語・中国語・スペイン語・ポルトガル語・ベトナム語・ネパール語の動画があります)
https://welcome.jpm.jp/