一時避難施設シェルターを、住まいの軸から考える。えらんでエールの取組み
こんにちは。
LIFULL HOME’S ACTION FOR ALL 公式noteです。
今回は、「LIFULL HOME’S ACTION FOR ALL」が取組む 「えらんでエール」の活動について、プロジェクト立ち上げメンバーの新垣優美が紹介します。
えらんでエールとは
えらんでエールは、DV被害を受けた人や虐待を受けた子どもなどが一時的に安心安全な住まいを得られるようにするための、新しい応援のカタチとして誕生したプロジェクトです。LIFULL HOME’Sで住まい探しをする際に、支援したい方をえらぶことで、 えらんだ方向けの一時避難施設（以下、シェルターとします ）にLIFULLから寄付をおこない、住環境の整備に使っていただくという仕組みです。
LIFULL HOME’Sで住まい探しをする方なら、だれでもワンクリックで参加できます。
えらんでエールHP
https://actionforall.homes.co.jp/erandeyell
えらんでエール 応援の流れ
えらべるエールは4つ。
・DV被害を受けている方々（の住まい）
・虐待や経済的困窮により、親と暮らせない子供たち（の住まい）
・日本にいる難民の方々（の住まい）
・生活困窮者（の住まい）
これらの方々には、 それぞれ専用のシェルターが存在します。
シェルターってなに？
シェルターという言葉自体が馴染みのあるものではないかと思います。
私自身、 その存在を全く知らなかった1人です。
シェルターとは、さまざまな事情で住む家が心身ともに安心安全でない場合に一時的に住むことのできる場所です。 DVシェルター・こどもシェルター・難民シェルター・ホームレスシェルターなど、日本全国にはさまざまな緊急シェルターがあります。
なお、シェルターは国により運営されているものと、民間により運営されているものの2種類にわけられます。
なぜシェルターを応援しようと思ったか
2019年、政府が民間シェルターへの財政支援強化を検討することが報道され ました。DV被害が増加している一方、受け皿となるシェルターは財政難や人手不足より相次いで閉鎖しているという社会的背景によるものです。
シェルターは家族から逃れるため等の理由からその存在自体の秘匿性が高く、それゆえに政策検討の場に登場することがありませんでした。「今回民間シェルターに光が当たることとなったのは、日本におけるＤＶ被害者支援の歴史においても初めてのことだ」 と、内閣府男女共同参画局の報告書でも述べられています。
歴史的にも初めてのことだと記載されるほど認知されにくい課題。認知されにくいからこそ解決に時間がかかる現状。社会課題に寄り添うには、その課題に対する認知が重要であることに気づかされました。
それと同時に、一時避難先のシェルターは、住環境の面では整備になかなかお金をかけられない現状があることも知りました。
そこで、住まい領域を扱うLIFULL HOME’Sのメディア力を通してまずはこの現状を広く認知してもらい 、認知→興味関心→行動へとつながる仕組みが作れないかと考えました。
結果、アンケートに答えてもらうという一人ひとりの行動を「エール（応援）」とし、集まったエールをLIFULLからの寄付金という形に変え、シェルターの住環境の整備に役立ててもらう仕組みとしてできあがったのがこの「えらんでエール」です。寄付金はシェルターの新規開設や移転費用、家具家電の新調等に使っていただいています。
シェルターの住環境に関するさまざまな声
2020年に第一弾の報告レポートを公開しました。
https://actionforall.homes.co.jp/erandeyell#anchor_report
この中でご紹介している、シェルター運営団体や入居者の方からの声を一部ご紹介します。
シェルター運営団体からの声（一部抜粋）
入居者からの声（一部抜粋）
運営団体は住環境に資金を回せない状況であること、入居者の心のケアには住まいの内装や家具家電等が大事であることが伝わってくるかと思います。
きっと誰もが、ラグやクッションカバーを変えたら気分が上がったなど、暮らしのほんの些細な変化で明るい気持ちになったことがあると思います。STAY HOMEが求められているここ1～2年は、とくに実感している方が多いかもしれません。
シェルターへの入居直前まで心身ともに安心安全でなかった場合、この住環境がもたらす心理的効果は、私たちが想像する以上のパワーなのではと感じています。防犯上等の理由から直接入居者とお会いすることはできませんが、誰かのホっとする居場所づくりに携われることができていると思うと、 とても嬉しいです。
住まいとしての課題
えらんでエールを立ち上げてさまざまな運営団体の皆様とお話をさせていただき、さらに分かったことがありました。
運営団体、入居者それぞれが抱える課題には、次のようなものが挙げられます。
運営団体の課題
・シェルターは秘匿性が重要なため、防犯設備等に追加費用がかかる
・周囲の住民やオーナーの理解が得づらく、そもそも物件が見つからない
・物件が見つかった場合でも多種多様な人が共同生活を送るため、増改築が必要になる
入居者の課題
・家賃を得るための就労が難しい
・家を借りる際の保証人がおらず、物件を借りにくい
（たとえば虐待などを受けて親から逃げている未成年の場合、親権者の同意を得られないため借りられる物件が極端に少ない）
知れば知るほど、考えれば考えるほど、えらんでエールでできていることはまだ小さく非力を感じてしまいますが、一つずつ、少しずつでも解決に向けて進めていきたいです。
さいごに
えらんでエールを立ち上げて間もなく、新型コロナウイルスの影響でDVや生活困窮者が増え、緊急シェルターの需要に関するニュースも目にする機会が増えました。今後ますますその機会は増えるかもしれません。
そんなときは、このえらんでエールも思い出してもらえると嬉しいです。
そしてLIFULL HOME’Sで住まいを探す際には、ぜひえらんでエールを通してエールも送ってもらいたいです。
「住まい探しが、だれかの希望に。」
誰もが自分らしく「したい暮らし」に出会える世界の実現に向け、これからも取り組んでいきたいと思います。
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