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1日10分の免疫学(4)入口のまとめ

第1章免疫系の構成要素と生体防御における役割
★まとめ★

長い進化の過程で、微生物の侵入形態・程度・部位等に応じ、多くの防御機構を進化させてきた。


【防御 第一段階】

皮膚や粘膜は、微生物を最初に遮断する物理的・化学的障壁として機能する。

【防御 第二段階~自然免疫~】

微生物が皮膚や粘膜を突破し、軟部組織に到達すると、免疫系がその存在を認識して破壊する。
最初に応答する免疫系(自然免疫innate immunity)は、病原体共通の分子構造を認識している。

【 基本キーワード 】
トル様受容体(Toll-like receptor:TLR)
:細胞表面にあり、病原体共通の分子構造(pathogen-associated molecular pattern: PAMP)を認識する「パターン認識受容体(pattern-recognition receptor: PRR)」の1つ。
PAMPを認識したPRRは、細胞内にシグナルを送り、各種の免疫応答を引き起こす。
補体:様々な免疫反応を媒介する血中タンパク質(血漿タンパク質)。
貪食作用:微生物を細胞内に取り込んで破壊する。好中球(小食細胞)、マクロファージ(大食細胞)が担う。
感染細胞の排除:ナチュラルキラー細胞が担う。

【防御 第三段階~適応免疫~】

脊椎動物が獲得した「進化した防御機構」。
自然免疫で感染を防ぎきれなかった場合に、活性化する。
二度目の疫を免れるという機能をもつのはこの「適応免疫獲得免疫)aquired immunity」。
それぞれの個体が異なる受容体を持ち、未知の敵にも「特異的」に反応して集中攻撃を行う。

【 基本キーワード 】
B細胞(Bリンパ球)T細胞(Tリンパ球):適応免疫を担う白血球。その名の由来は、骨髄Born Marrowで成熟するからB細胞、胸腺Thymusで成熟するからT細胞、とシンプル。
特異性:B細胞とT細胞は、それぞれの受容体に可変域をもち、組合せパターンは膨大な数になる。これにより、未知の敵にも特異的に反応することができる。侵入した病原体に特異的に反応したB細胞・T細胞は活性化してものすごい勢いで増殖し、エフェクター細胞となる。
十分な戦力となるまで1~2週間を要する。
特異的な適応免疫応答は、非特異的な自然免疫応答よりも強力

【 もう一歩進むキーワード 】
形質細胞(プラズマ細胞):抗体を産生する細胞。B細胞が抗原に特異的に反応して活性化してこれに分化する。

抗原提示細胞(antigen presenting cell:APC):T細胞やB細胞に抗原を提示して活性化する細胞。その中でも、自然免疫に属するマクロファージ樹状細胞、適応免疫に属するB細胞がはプロフェッショナル抗原提示細胞と呼ばれる。
樹状細胞が、その放射線状の形態から最も抗原提示能高いとされる。
ヘルパーT細胞に抗原提示できるのはプロフェッショナル抗原提示細胞のみ※例外あり。
※2020/12/2 抗原提示細胞とプロフェッショナル抗原提示細胞につき訂正(ヘルパーT細胞に抗原提示できるのはマクロファージだけ、となっていたが、樹状細胞とB細胞もできる。詳細は他の回で紹介しています)。

かなりシンプルにまとめましたが、免疫システムの概略はこんな感じです!
詳しい話はこれからじわじわガッツリやります!
それでは、次回は「エッセンシャル免疫学」の第2章、始まります!

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