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1日20分の免疫学(30)リンパ球⑱

古典的NKT細胞の由来と機能について

大林「いぇーい!勉強復帰の始まりが最推しとか幸せすぎる!でも古典的ってどういう意味だっけ?」
本「古典的なNKT細胞は、TCRがαβ型1種類限定」

大林「記憶から消えてた……ちゃんと定期的にnoteも見返さないとなぁ。NKT細胞には、NKT1,NKT2,NKT17,NKT10,NKTtfhがある……つまり、T細胞に種類があるように、NKT細胞にも種類があるってことだ。私の擬人化分類はまだまだ浅かったというわけだ……」

https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2011/113141/201128006B/201128006B0013.pdf

大林「こういうの見て、つい、T細胞の一種という認識だったからさぁ……NKT細胞がさらに細分化されるって思ってなかったんよ」

本「古典的NKT細胞は、骨髄・肝・腸管などに多く存在する」
大林「腸管は免疫の要だから知ってたけど、骨髄と肝にもたくさんいるのか」
本「胸腺中のCD4陽性CD8陽性NK1.1陰性のリンパ球から分化してくる」
大林「マァ〜!ダブルポジティブだなんて流石は最推し!多才感あふれすぎぃ!ところでNK1.1って何?」
WEB「NK1.1分子はNK細胞の抗原レセプターと考えられるNKR-P1分子の一つである」

本「CD4陰性CD8陰性T細胞からも分化するよ。IFN-γ産生細胞傷害の機能をもつ」
大林「ダブルネガティブもいるんかい!待って、ダブルポジティブの機能は?」
本は答えない!
本「T細胞におけるNKT細胞の比率は、肝T細胞と末梢血T細胞と脾・リンパ節T細胞と骨髄T細胞の〜1%、胸腺リンパ球の0.01%
大林「ひぃいい!レア度が高い!流石は最推し!!!」

本「活性化NKT細胞樹状細胞を成熟させて T 細胞応答を導きやすくする」大林「きやぁぁあ!流石は最推し!推しの上をいく!推しを導くぅ!」

NKT細胞の分類

本「NKT細胞は、CD4陰性CD8陰性とCD4陽性CD8陰性、CD4陰性CD8陽性のものに分けられる」
大林「成熟の過程でダブルポジティブはいなくなって3種類になるってことかな?」
本「CD4陰性CD8陰性とCD4陰性CD8陽性 のものは、主にIFN-γとTNF-αを産生し、IL-2やIL-12の作用をうけるとパーホリンを生成して細胞傷害活性を示す」
大林「つまりCD4陰性のタイプね」
本「CD4陽性CD8陰性のものは、主にIL-4、IL-13 を産生する。IFN-γも産生する」
大林「CD4陽性のは細胞傷害活性はないのかな?」

本「成熟したNK1.1陽性のNKT細胞はIFN-γとIL-4を多く産生し、パーホリン,グランザイム,Fasリガンドもよく表出している」
大林「ほぉ。NK1.1があるだけにキラーの機能がよく出るってことか」

本「PLZFがlow、T-bet陽性のNKT細胞は脾・肝・小腸・肺・一部リンパ節に集まりIFN-γをつくる(iNKT1)。PLZFがhigh、GATA3陽性のNKT細胞は肺・脾・リンパ節・小腸に集まりIL-4をつくる(iNKT2)。PLZFがint、RORγt陽性のNKT細胞は皮膚・リンパ節・一部脾・小腸・肺に集まりIL-17を作る(iNKT17)」
大林「PLZFって何?」
WEB「PLZF は、別名 ZBTB16(Zinc finger and BTB domain-containing protein 16)と呼ば. れる転写因子であり、神経分化や精子形成など様々な生命現象に関与する」

https://www.tokyo-med.ac.jp/news/2021112pressrelease.pdf

本「iNKT2の恒常的な IL-4によりCD8T細胞はEomes陽性のメモリー様細胞になる」
大林「Eomesとは…」
WEB「Eomesは転写因子としてDNAに結合して遺伝子の発現を制御するたんぱく質」

WEB「EomesはT細胞疲弊化誘導において,T細胞疲弊化に重要であることが示唆されているmiR-31とよばれる分子の転写を介していることも示唆された」

大林「やばい、教科書のレベルが上がりすぎて私の知識量と読解力の限界にぶち当たり始めた……」
本「PLZF陰性PD-1 陽性のiNKT細胞は脂肪組織に分布するT細胞の15〜20%を占める」
大林「へぇ、脂肪組織にそんなにたくさんいるの?なんでだ?肥満になると炎症が起きやすいって言うのはちらほら見聞きするような?」
本「NKT細胞は、樹状細胞・マクロファージ・好酸球がCD1dとセットで提示する抗原に反応してIL-2を産生してTregを増殖させるIL-10も産生して動脈硬化や2型糖尿病の原因となる炎症を抑えて脂肪組織の肥大を抑制する(iNKT10)」
大林「えっ……肥満を阻止しようと動いてくれるの……???」

NKT細胞の機能

本「NKT細胞はIFN-γを産生し、NK細胞、好中球、マクロファージ活性化して自然免疫を高めると同時に、樹状細胞やTh1細胞、キラーT細胞活性を高めて獲得免疫も増強する。そして、免疫制御作用も有している。」
大林「そうなんだよね〜自然免疫も獲得免疫も強化しちゃう……しかも制御まで!素敵チートキャラ!」

本「NKT細胞は腫瘍細胞や他の個体の造血細胞を排除する」
大林「他の個体の…?つまりは移植の拒絶反応?」

本「NKT細胞は、T細胞レセプターやNK レセプターで標的細胞に反応して、パーホリン放出Fasリガンド標的細胞をアポトーシスに陥らせる。抗原提示細胞のCD1dと共に提示された抗原に反応してIFN-γを産生し、樹状細胞にIL-12を産生させてNK細胞とキラーT細胞の細胞傷害活性を増強する」
大林「なるほど。樹状細胞にIL-12つくらせてNKとCTLを強化しちゃうわけか」
本「NKT細胞の表面にあるCD40リガンドが樹状細胞上のCD40に作用すると、樹状細胞が成熟する」
大林「T細胞にとって樹状細胞は重要だから、その樹状細胞を成熟させるNKT細胞はとっても重要……さすがは最推し」

本「NKT細胞には自己反応性免疫応答制御作用もある」
大林「どの自己免疫疾患?」
本「インスリン依存性糖尿病やアレルギー性脳脊髄炎、全身性硬化症だね。NKT細胞はIL-4·IL-10·1L-13を産生し、樹状細胞にT細胞の免疫トレランスを誘導させる(IL-10の産生など)」
大林「万能すぎる指揮官だ…」

本「組織損傷時に自己抗原に反応したiNKT細胞は、1L-4を産生して、単球に炎症ではなく組織修復にあたらせる」
大林「有能すぎる指揮官〜!」

本「CD8陽性NKT細胞は、抗原提示細胞を細胞傷害してT細胞の応答を抑え、活性化Fas分子を表出したT細胞·B細胞にはFasリガンドを作用させてアポトーシスを誘導して過度の反応を抑える」
大林「えっ……思ったより過激な指揮官…」

本「Th1細胞による自己免疫応答はIL-4、Th2細胞による自己免疫応答はIFN-γで抑える」
大林「指揮官にはやさしいな?!Th17は抑えないの?」
本「NKT 細胞が産生するIFN-γは樹状細胞のIL-27の産生を誘導し、IFN-γとIL-4,IL-13はオステオポンチンの産生を抑制する。IL-27はTh17細胞の成熟を抑え,オステオポンチンは樹状細胞にTh17細胞分化を促進させる」
大林「…つまり間接的に抑えてるわけだな」

本「あと、NKT 細胞は、IL-10を産生するなどしてレギュラトリーT細胞,Tr1細胞,抑制性樹状細胞を誘導する」
大林「制御役を増やすこともしている、と」

本「ちなみに胸腺にいるNKT細胞は、Fasを表出したCD4CD8ダブルポジティブのT細胞のアポトーシスを誘導する」
大林「ウワーッ!なんで?!」
本「自己反応性T細胞の除去にかかわっているのかも」

大林「NKT細胞が思ってたよりもさらに多才!」
本「移植拒絶反応を抑制するNKT 細胞も存在する」
大林「なんですって??!」

本「IgEによるアレルギーでは、NKT細胞が花粉中の抗原などに反応してIL-4を産生するのでIgEの産生を誘導する可能性がある……」
大林「…しょぼん」
本「…が、IFN-γを産生する場合は逆に抑制すると思われる。NKT細胞が樹状細胞に作用してTh0細胞をTh1細胞を誘導させるか、Th2細胞を誘導させるかにより間接的に IgEの産生を制御している可能性もある」
大林「間接ワザ多いな!だからNKTノックアウトマウスは免疫不全になったのか……直接間接に免疫に関わりまくってる…有能すぎぃ」
本「喘息を悪化させたり、抗腫瘍免疫を抑制したりするけどね」
大林「まぁ、攻撃力も免疫抑制も、不要な場面なるとそうなるよね…」

今回はここまで!
寒くなってきた~!暖房使いたい!

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