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1日10分の免疫学(23)T細胞と免疫⑤

本「ナイーブT細胞分化経路を決めるのは周辺にあるサイトカインです」

サイトカイン(cytokine)
細胞が分泌する低分子のタンパク質で生理活性物質の総称細胞間の相互作用に関与する。
cyto(細胞)+kine(作動因子※)の造語
※kinein:「動く」(ギリシア語)に由来する

◆サイトカインの種類
ケモカイン(Chemokine)
白血球(免疫細胞)を遊走させる(=感染現場に呼ぶ

インターフェロン(Interferon;IFN)
:感染等に対応するために分泌される糖タンパク質※。(※タンパク質を構成するアミノ酸の一部に糖鎖が結合したもの)
  typeⅠはIFNα1~13、β1、ω1、ε1、κ1
  typeⅡはIFN-γ
  typeⅢはIFN-λ1~3

インターロイキン(Interleukin;IL)※見つかった順でナンバリング
:リンパ球等が分泌するペプチド・タンパク質。免疫作用を誘導する。
 現在同定されている(≒把握されている)のはIL1~30

腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor;TNF)
:その名の通り、腫瘍を壊死させる機能を持つ。
 TNF-α、β(LT-α)、LT-βがある。

大林「Th1は、自然免疫応答最初に作られるサイトカイン……マクロファージや樹状細胞が作るIL-12と、マクロファージが活性化するNKが作るIFN-γ……で分化誘導されるんだよね」

本「これらがCD4T細胞の受容体に結合すると、Th1に分化し、IFN-γを作るようになる」

大林「そして、さらに他のナイーブT細胞をTh1へと……Th1派閥ゥ!」

Th1IL-12IFN-γ分化誘導される
IL-12(インターロイキン12):マクロファージ樹状細胞が分泌するサイトカイン
IFN-γ(インターフェロンガンマ):マクロファージが活性化したナチュラルキラー細胞が分泌するサイトカイン


本「Th2寄生虫感染への防御を制御する。炎症を起こさず感染による組織損傷の修復と回復を促進する」
大林「あら優しい」
本「そして、病原体特異的IgEの産生を促進、好塩基球、マスト細胞、好酸球と協調して寄生虫の除去を促す
大林「その除去の反応がしんどいよなぁ……IgE……アレルギぃぃいい~」
本「IL-4によりナイーブT細胞はTh2へ分化し、IL-4を作るようになる」
大林「仲間を増やす……またまた派閥ゥ!」
本「最初の分化のIL-4を出す細胞は不明だが、好塩基球が有力候補」
大林「あぁ…好塩基球は感染が起きたら二次リンパ組織に行ってIL-4作るんだよね、たしかに怪しい(?)」

本「Th17はその名の由来であるIL-17を分泌する。Th17は皮膚と腸粘膜に多く存在する。濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)は、ナイーブB細胞と協調して機能するヘルパーT細胞。」
大林「Th2が液性免疫でB細胞を活性化させると教科書に書いてたけど、まずはTfhだったのか…」
本「ナイーブCD4T細胞はIL-6によりTfhへ分化誘導される」
大林「待って、そろそろ整理したい」

ナイーブCD4T細胞ヘルパーT細胞になる
分化の際に、どんなサイトカインの環境下にあるかで種類が分かれる。

・IL-12とINF-γが多い→Th1(細胞性免疫を担う)
・IL-4が多い→Th2(液性免疫、寄生虫感染防御を担う)
・TGF-βとIL-6→Th17(炎症反応)
・本に記載なし→Tfh(B細胞を形質細胞へと分化誘導する)
・IL-2→Treg(免疫応答を制御する)


本「濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)が産生するサイトカインは、特定の感染源を除去するのに最も優れたクラスの抗体を産生するようにB細胞のクラススイッチを誘導する」
大林「仕組みが複雑そうだな……」
本「制御性T細胞(Treg)は一次免疫応答の開始には寄与せず、組織修復や応答を終息させるように機能する」
大林「制御……ブレーキ役だもんね!」

本「ナチュラル制御性T細胞胸腺での発生過程で制御機能を果たすように運命づけられた細胞」
大林「ナチュラル?他の制御性T細胞があるの?」
本「誘導性制御性T細胞induced regulatory T cellは感染免疫応答の過程でTGF-βがあり且つIL-6等の炎症性サイトカインがない状況でナイーブTが活性化したときに現れる」
大林「マジか、隠しコマンドで新キャラ?!!」
本「誘導性制御性T細胞はTGF-βとIL-10を発現して炎症と免疫応答を抑制する」
大林「ナチュラルの方は?」
本「次へ進む」
大林「うぉおおい!」

今回はここまで!教科書によってサイトカインの働きや分化の要因についてなんやら幅があるよ!未解明のジャンルだからややこしい!

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