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1日10分の免疫学(26)T細胞と免疫⑧

本「ナイーブT細胞エフェクターT細胞違いについて説明します」
大林「よしきた」
本「ナイーブT細胞からエフェクターT細胞への分化で、感染部位への移動能力やそこで機能を発揮するための細胞表面分子の発現が起こる」
大林「ということは表面の分子で見分けることができるってことか」

本「ナイーブT細胞は、L-セレクチンという表面分子で血中からリンパ節に入る。エフェクターT細胞は、接着分子VCAM-1と結合するインテグリンVLA-4という表面分子で感染部位へと移動する。炎症部位で活性化している血管内皮細胞はVCAM-1を発現している」
Web「セレクチンは、細胞接着分子。L-セレクチンは白血球に発現している」


大林「細胞表面に出る接着分子の使い分けで、移動先をコントロールできるわけかぁ……よくできてるなぁ」

本「エフェクターT細胞は、感染部位に入ると、その特異抗原を提示している標的細胞を探す
大林「そのエフェクターT細胞にとっての運命の敵に感染していることを提示している細胞を探すわけだ……」

◆復習メモ
1個のT細胞は、約1種類の病原体(に感染した細胞)のみを標的とする。
「T細胞」はT細胞受容体(T cell receptor:TCR)の遺伝子再編成により、未知の敵にも対応できるほど(1億以上)のバリエーションを持つ。
T細胞は、自分にぴったり合う運命の敵(特異抗原)に出会い、色々な刺激を受けることで、ものすごく増殖してその病原体を排除する。
※この「増殖」能力は、他の細胞では厳しく制限されている。

本「ナイーブT細胞とエフェクターT細胞は、抗原の認識様式が顕著に異なる」
大林「顕著に?そんなに?」
本「エフェクターT細胞は、TCR補助受容体(CD4やCD8)からのシグナルだけで活性化できるが、ナイーブT細胞はそれだけだとアネルギーとなる」
大林「あ、あのシグナル2か!」↓参照


本「そう。CD28とB7の補助刺激はエフェクターT細胞の活性化には必要ない」
大林「エフェクターT細胞の方が活性化の要件が緩いのか…」
本「エフェクターT細胞の活性化に必要な条件の緩和は、補助刺激を要せずにT細胞応答を迅速に開始するために重要である」
大林「獲得免疫って基本的に遅い※ってイメージあるけど、ナイーブT細胞の段階をクリアして、エフェクターT細胞になってたら早いってことか」※二度目は早い
本「ナイーブT細胞樹状細胞が提示する抗原のみ認識するが、エフェクターCD4T細胞MHCクラスⅡ分子をもつすべての細胞上の抗原を認識し、エフェクターCD8T細胞は特異的なウイルスに感染したすべての細胞を殺すことができる」
大林「認識の違い……標的細胞がめっちゃ増えるってことか」

◆復習メモ
CD4 ⇒ ヘルパーT細胞、制御性T細胞の表面分子
CD8
 ⇒ 細胞傷害性T細胞(キラーT細胞:CTL:Tc細胞)の表面分子
ヘルパーT細胞
は、MHCクラスⅡ分子を認識する。つまり、ヘルパーT細胞に抗原提示できるのは「MHCクラスⅡ分子」を持つ細胞だけ!
MHCクラスⅡ分子を持つ代表格は、マクロファージ、樹状細胞、B細胞で、この3つは「プロフェッショナル抗原提示細胞」と呼ばれる。
細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)は、MHCクラスⅠ分子を認識する。この分子は、ほとんどすべての細胞に発現している(例外:赤血球)。つまり、ほとんどすべての細胞が細胞傷害性T細胞の標的になりうるということ。
(どっちがどっちかわからなくなったとき用の暗記メモ。「細胞傷害性T細胞⇒8文字⇒CD8(ハチ!)⇒クラスⅠ(イチ!))

大林「ん?すべてのMHCクラスⅡ分子をもつ細胞?プロフェッショナル抗原提示細胞だけだよね?」
本「……だけではなく、感染部位でNK細胞やエフェクターT細胞から分泌されたIFN-γにより、T細胞や血管内皮細胞その他多くの細胞がMHCクラスⅡ分子を発現する」
大林「なんですって?!本日一番の衝撃!」

今回はここまで!

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