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1日10分の免疫学(48)自然免疫と適応免疫の共進化⑥
第12章 自然免疫と適応免疫の共進化
まとめ
本「NK細胞は、受容体遺伝子の再編成を行わない唯一のリンパ球である」
大林「ということは、NKT細胞はするってことかな」
◆復習メモ
リンパ球:リンパにたくさんいるから名付けられた。
リンパ(リンパ液):細胞間を流れる細胞間質液(間質リンパ)とリンパ管の中を流れるリンパ液がある。
<リンパ球の種類>
B細胞
T細胞
NK細胞←発見自体は早かったがリンパ球の1種であるとされたのは後
NKT細胞←1986年に発見された「第4のリンパ球」。
本「NK細胞は様々な受容体をもち、受容体の発現は細胞ごとに異なるので多様なNK細胞の集団が形成される」
大林「遺伝子再編成はしないけど、NK細胞にも個性があるってことかぁ」
本「NK細胞の受容体は、病原体と病原体の産物、そして、非健常細胞から出るストレスタンパク質を認識する」
大林「異常事態に幅広く対応できるってわけね」
本「NK細胞にはIgGのFc受容体があるので適応免疫にも参画できる」
大林「その言い方がよくわからんのだけど。獲得免疫であるIgGを利用できるから、獲得免疫に参画できるってこと?でもそう捉えると、オプソニン化で貪食細胞も獲得免疫に参画していることになってしまうけど?」
本は答えない!!
◆復習メモ
Ig(Immunoglobulin:免疫グロブリン:抗体)
種類があり、大別してIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5クラスがある。
基本の形状は「Y」。
二股の先端は「Fab領域:Fragment antigen binding」と呼ばれ、抗原(ターゲット)に結合する部分。
下の先端は「Fc領域:Fragment crystalizable」と呼ばれる。
※NK細胞の表面には、IgGのFcに結合する受容体がある。
本「NK細胞は、MHCクラスⅠ分子を認識し、その喪失を認識する教育を受けている」
大林「NK細胞の教育ですね!まずMHCクラスⅠ分子を認識して、そして何らかの異常でMHCクラスⅠ分子が出ていない細胞を認識できるようになる……そして、NK細胞の攻撃は総合判断だから、MHC分子がないだけで攻撃はしない」
本「γδ型T細胞は遺伝子再編成するので、適応免疫系と考えられたが、αβ型T細胞と多くの相違があり、NK細胞と類似していることから、自然免疫に近い……が、γδ型T細胞にはMHCクラス様分子による抗原提示を認識するものもいる」
大林「キャラが定まらないなぁ」
本「NKT細胞とMAIT細胞はαβ型T細胞受容体をもつが、これは自然免疫系の受容体に近い」
大林「あ~、多様性に乏しいもんね、そのかわり迅速応答!」
本「これらをまとめると、自然免疫と適応免疫は、相互に構成分子と機能を共有して共進化したと考えるのが適切」
大林「なんか混ざりあってるもんねぇ、補い合いというか」
本「そう。自然免疫と適応免疫の間に明確な線引きはできない。例えば、MHCクラスⅠ分子とMHCクラスⅠ様分子が自然免疫と適応免疫両方の受容体のリガンドとして重要な役割も果たしている」
大林「そういえばそうだった。MHCクラスⅡ分子は?」
本「クラスⅡは適応免疫のみ利用している」
本「次回からは、第13章 生体防御機構の破綻」
大林「おわ、新章が不穏!」
今回はここまで!