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1日10分の免疫学(45)自然免疫と適応免疫の共進化③

§ T細胞にはαβ型T細胞とγδ型T細胞がある

本「γδ型T細胞について」
大林「おっ!出たな!実はT細胞にはαβ型T細胞γδ型T細胞があって、薄めの教科書に出てくるT細胞は大体αβ型T細胞のことなんだよね」

◆復習メモ(基礎免疫学でよく登場するギリシャ文字)
※個人的によく忘れる読みを太字にしておいた
Α α alpha アルファ
Β β beta ベータ
Γ γ gamma ガンマ
Δ δ delta デルタ
Ε ε epsilon イプシロン
Ζ ζ zeta ゼータ
Η η eta イータ
Θ θ theta シータ
Ι ι iota イオタ
Κ κ kappa カッパ
Λ λ lambda ラムダ
Μ μ mu ミュー

本「γδ型T細胞の特徴は?」
大林「えーと、αβ型T細胞より受容体の多様性低い!あと胸腺を早く卒業する!」

αβ型T細胞とγδ型T細胞についてはこちらでも少し学習!↓

◆復習メモ
胸腺細胞は三種類のT細胞に分化する。
MHCによって提示されたペプチド抗原を認識しないγδ型と、認識するαβ型CD4またはCD8という補助受容体を持つT細胞。
言い換えると、
MHC分子認識しないγδ型T細胞
・MHC分子を認識するαβ型T細胞でCD4陽性(ヘルパーT、制御性T)
・MHC分子を認識するαβ型T細胞でCD8陽性(キラーT)


本「γδ型T細胞はMHC分子上のペプチド抗原を認識するのではなく、ストレスを受けた細胞を多様な化学構造で認識する」
大林「αβ型と違ってMHC分子による抗原提示で認識するんじゃないわけね」
本「γδ型は、ストレスを受けた細胞殺傷し、サイトカインや増殖因子の分泌により損傷組織の修復促進する」
大林「ほぉー、あ、そういえばγδ型T細胞は胸腺を早く卒業するんだよね?」
本「αβ型T細胞胸腺で厳格な正と負の選択を受けてMHC分子による抗原提示を受けることができるようになる」
大林「αβ型T細胞胸腺で、まずMHC分子を認識できるかのチェックを受けて(正の選択)、認識できたら生存シグナルを受け取れる。そして、次にMHC分子の上にくっつけられた自己抗原ペプチドに反応しなかった(負の選択)T細胞だけが無事に胸腺を離れることができる……それはわずか数パーセントの狭き門!」

※自己抗原に反応するT細胞は、つまり「自己」を攻撃してしまうということ。危険なのでアポトーシスさせられます。

本「γδ型T細胞もなんらかの負の選択を受けていると思われるが、正の選択については不明」
大林「まだまだ詳細が不明なのか……」
本「γδ型T細胞にはCD4CD8などの補助受容体はなく、αβ型T細胞の活性化に必須のCD28補助刺激分子も発現していない
大林「CD4も8もないのか……でもストレスを受けた細胞を殺す……細胞傷害性(キラー)なの?あ、でもサイトカイン等を分泌して修復を促すから現場監督みたいなこともしてるのか」

本「γδ型T細胞の役割は、非健常細胞を見分けて対応することで、細胞のストレス徴候認識する受容体も発現している」
大林「ストレス徴候を認識……??!」

本「γδ型T細胞にあるT細胞受容体(T cell receptor:TCR)以外の受容体の多くはNK細胞にも発現している」
大林「なんと!ということは、進化的にはNK→γδ型→αβ型なのかな?前回だったか、T細胞はNK細胞の進化系みたいなこと言ってたよね?」

大林「もっとγδ型T細胞の特徴を教えておくれよ、描きたいから」
本「γδ型T細胞は、再編成をする受容遺伝子γ鎖とδ鎖。正の選択はないかも、負の選択はあるかも、詳細不明。αβ型は全リンパ球のうちの70%で、γδ型はわずか5%血中では循環T細胞の2~5%ほどだが、組織では常在するT細胞の大部分を占め、局所での感染に即時応答する」
大林「今までの学習では、T細胞……αβ型T細胞は、普段は血中を巡回していて組織にいない。でも、γδ型T細胞は、組織に常在して、ストレスを受けた細胞を殺して、組織修復も担う……待って?即時応答?!T細胞なのに自然免疫応答に参加してるの??」
本「いかにもその通り。あと、γδ型は妊娠8週目には検出される」
大林「めっちゃ早いな!驚きが多いよ!」

今回はここまで!


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