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1日10分の免疫学(35)粘膜②

本「生体内で最も大きいリンパ節である腸間膜リンパ節mesenteric lymph nodeも消化管を防御する役割を担っている。」
大林「生体内最大級か!…ん?腸間膜リンパ節、ということは、腸管関連リンパ組織GALTとは別物なのか……覚えきれない」

◆復習メモ
粘膜関連リンパ組織(MALT:Mucosa-Associated Lymphoid Tissue)

MALTの種類としては、
・腸管関連リンパ組織GALT:Gut-Associated Lymphoid Tissue
 ※人の免疫系の70%が消化管にあると言われる
・気管支関連リンパ組織BALT:bronchus-associated lymphoid tissue
・鼻咽頭関連リンパ組織NALT:Nasopharynx-associated Lymphoid Tissue
・涙道関連リンパ組織TALT:Tear-duct-associated Lymphoid Tissue
・濾胞性上皮層FAE:Follocle-associated epitheliumなどがある


本「小腸は、消化管の中で最も多くのリンパ組織が存在する」
大林「パイエル板だっけ?なんか、M細胞?とかがいる……」


本「ヒトの免疫系は幼児期に生体内のマイクロビオータや外部の病原体に関わりながら発達、成熟する」
WEB「マイクロバイオータ(microbiota)はある環境中の微生物を指す」


大林「つまり、微生物との接触がない環境で育つと、免疫系は発達と成熟の機会を失うわけか」
本「利用されないとその機能は低下する」
大林「あ~、宇宙飛行士の骨がもろくなるのと同じか」

本「粘膜組織は微生物と時々しか接点を持たない」
大林「一方、粘膜組織たくさんの微生物に出会うよね」
本「それだけでなく、共生微生物もいるので持続的な接触がある。そして、腸管の上皮の損傷は、細菌の腹腔内への大量流出の危険をはらむ」
大林「あぁ、そうだった。外からの微生物と、中にいる微生物。中にいる微生物も状況が変われば危険な存在に化ける……」
本「これを回避すべく、粘膜免疫系は2つの相補的戦略を用意している」
大林「お!最初に出た分類の意義がついに?!」
本「感染に反応する全身免疫と異なり、粘膜免疫は常に腸管内の微生物に対する適応免疫応答している」
大林「なるほど、全身免疫は感染が確認できてから出動するけど、粘膜免疫は常時ってことか!」
本「なので、感染してなくとも腸管にはエフェクターT細胞エフェクターB細胞定在している」
大林「つまり、腸管は活性化状態の推しが常駐?!腸管に住みたい!」

本「粘膜免疫系には炎症の活性化がない※。病原体を駆除する利益より腸管内を損傷させて事態悪化の危険性が高いので」
(※あるとしたら、おそらくそれは疾患なのだろう)
大林「腸管内の上皮が破損して、微生物とかが組織に入り込んだら大惨事だもんな……そして、腸内はあくまで人体的には外側……おもしろい。」

本「粘膜組織の炎症の沈静化手段の1つとして制御性T細胞(Treg:regulatory T cell)によるIL-10の産生がある」

◆復習メモ
サイトカイン(cytokine)
:細胞が分泌する低分子のタンパク質で生理活性物質の総称。細胞間の相互作用に関与する。
cyto(細胞)+kine(作動因子※)の造語
※kinein:「動く」(ギリシア語)に由来する

★サイトカインの種類
ケモカイン(Chemokine)
:白血球(免疫細胞)をケモカインの濃度の濃い方へ遊走させる(普段は血流等の流れに乗っている)。

インターフェロン(Interferon;IFN)
:感染等に対応するために分泌される糖タンパク質※。(※タンパク質を構成するアミノ酸の一部に糖鎖が結合したもの)
  typeⅠはIFNα1~13、β1、ω1、ε1、κ1
 ★typeⅡはIFN-γ
  typeⅢはIFN-λ1~3

インターロイキン(Interleukin;IL)※見つかった順でナンバリング
:リンパ球等が分泌するペプチド・タンパク質。免疫作用を誘導する。
 現在同定されている(≒把握されている)のはIL1~30

腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor;TNF)
:その名の通り、腫瘍を壊死させる機能を持つ。
 TNF-α、β(LT-α)、LT-βがある。

大林「IL-10はどんな作用あるんだっけ?」
本「炎症性サイトカインを抑制する」
大林「サイトカインそのものを?分泌を、ではなく?」
本「腸管上皮細胞はTLR(Toll like receptorトル様受容体)をもち、細菌を感知すると抗菌ペプチド、ケモカイン、IL-1やを産生する」
大林「おっ、腸管上皮細胞は自然免疫の役割も果たすのか!」

◆復習メモ
トル様受容体(Toll-like receptor:TLR
:細胞表面にあり、病原体共通の分子構造(pathogen-associated molecular pattern: PAMP)を認識する「パターン認識受容体(pattern-recognition receptor: PRR)」の1つ。
PAMPを認識したPRRは、細胞内にシグナルを送り、各種の免疫応答を引き起こす。

本「腸管上皮細胞は、迅速かつ局所的な炎症反応を起こして初期応答を担う」
大林「腸管上皮細胞は2日で代謝するから期間も限られてるね」

本「腸管関連リンパ組織の腸管マクロファージは、他のマクロファージと異なり、炎症の開始や維持の機能を持たない
大林「腸管での炎症はリスクが高いもんな……火薬庫みたいなもんか?」
本「呼吸バーストもしない」
大林「待って?!呼吸バーストはマクロファージもするの?!」

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本「MHCクラスⅡはあるが、B7はないので、プロフェッショナルAPCでもない」
大林「なんと…すごい違い。描きたい」
本「寿命は数ヶ月程度だが血流から遊走してくる単球で常に補充されている」
大林「えっ……全身免疫のマクロファージと違いすぎる……」

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今回はここまで!

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