1日10分の免疫学(36)粘膜③
本「パイエル板ではM細胞(小襞細胞microfold cell)が腸管腔(管腔側)から捕捉して、基底側に輸送し、樹状細胞はそれを受け取って処理する際にIL-10を分泌する」
大林「パイエル板って場所では、M細胞が腸管腔にいる抗原を取り込んで、自分の中を通過させて反対側の基底側に出す。そして、それを樹状細胞がキャッチするわけね」
Wiki「パイエル板とは、空腸や回腸において、腸間膜の反対側の所々に存在する絨毛が未発達な領域のことである。免疫器官の1つ。」
※小腸(空腸と回腸)の内側には、腸粘膜の表面積を増大させるために絨毛が多数存在し、栄養の吸収効率を上げている。
大林「要は、小腸の絨毛のない部分なんだな」
◆復習メモ
サイトカイン(cytokine)
:細胞が分泌する低分子のタンパク質で生理活性物質の総称。細胞間の相互作用に関与する。cyto(細胞)+kine(作動因子※)の造語※kinein:「動く」(ギリシア語)に由来する
サイトカインの種類
>①ケモカイン(Chemokine):白血球(免疫細胞)をケモカインの濃度の濃い方へ遊走させる(普段は血流等の流れに乗っている)。
>②インターフェロン(Interferon;IFN):感染等に対応するために分泌される糖タンパク質※。(※タンパク質を構成するアミノ酸の一部に糖鎖が結合したもの)
>③インターロイキン(Interleukin;IL)※見つかった順でナンバリング:リンパ球等が分泌するペプチド・タンパク質。免疫作用を誘導する。
IL-10には炎症性サイトカインを抑制する作用がある。
>④腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor;TNF):その名の通り、腫瘍を壊死させる機能を持つ。
大林「ん?樹状細胞が炎症反応を抑えるIL-10を分泌するの?!」
本「これにより、通常は胃から小腸へ通過する食物由来の消化産物に対しては抗体は産生されない」
大林「まぁ、そりゃ、食べ物に反応されたら生きていけないもんな、経口免疫寛容だ!」
本「樹状細胞は抗原特異的T細胞をFoxP3発現制御性T細胞に分化させる」
大林「おぉ!推しが!抗原特異的なT細胞はここでTregになるんですか?!」
本「樹状細胞に高濃度で存在する食物抗原は、抗原特異的なT細胞をアネルギー状態にもできる」
大林「ん?それはどういうことかね?」
WEB「アネルギーAnergyとは、無反応や不応答、活性化できない状態。」
大林「T細胞が活性化できない状態にもできる……と。前に説明してたけど、樹状細胞が提示する抗原で、病原体由来じゃないものは、T細胞が反応して結合しても、活性化するためのもう一つの結合が樹状細胞から提供されないからT細胞が活性化できない……アネルギーになる……だっけ?抹消寛容だっけ?どのページだった?」
本は答えない!!!!!
本「活性化されたエフェクターB細胞とエフェクターT細胞は、分化の過程でCCR7とL-セレクチンを消失して血中から二次リンパ組織への移行ができなくなる」
大林「もう二次リンパ組織で抗原提示うける必要がないからか!」
本「エフェクター細胞はどの粘膜組織にも入ることができる」
大林「ということは?」
本「一ヶ所の粘膜組織でB細胞とT細胞が活性化すると、すべての粘膜組織で防衛が可能となる」
大林「ほぉ~」
本「粘膜組織には活性化したエフェクター細胞が常駐している」
大林「ほかの場所では感染が起きたとこで必要に応じて招集されるよね」
本「腸管関連リンパ組織にいるエフェクター細胞の多くはT細胞で、全身にいるT細胞の大半はここにいる」
大林「推しパラダイス!」
本「ここにはγδ型とαβ型の両方がいる」
大林「腸管関連リンパ組織最高だな!」
本「上皮にはCD8T細胞が多く、粘膜固有層にはCD4T細胞が多い。粘膜固有層にはCD8T細胞も樹状細胞もマスト細胞も、一時的に好酸球もいる」
大林「好酸球なのか」
本「健康な小腸に好中球がいるのは稀」
大林「まぁ、好中球って炎症の代表だもんな」
本「小腸には上皮間リンパ球と呼ばれるCD8T細胞がいる」
大林「なんですって?!推しにまだ種類が??!」
本「上皮細胞7~10個に1個存在する」
大林「その割合で上皮細胞の列に並んでるってこと?」
本「γδ型とαβ型がいて、抗原特異性は限られている」
大林「また出た!γδ型とαβ型!へぇ~上皮間リンパ球は敵が限定されてるのか」
本「成人の粘膜表面の面積は400平方メートルとも言われている」
大林「えぇと…縦横20メートルの広さか……(マンションで検索)……めちゃめちゃ広いな」
本「この粘膜組織全体を覆う抗体…IgMとIgAは全身の形質細胞の8割にあたる600億個により常に作られている」
大林「600億?!」
今回はここまで!