見出し画像

1日10分の免疫学(25)T細胞と免疫⑦

本「ナイーブCD8T細胞は、ナイーブCD4T細胞よりも強い活性化が必要
大林「我が推しが活躍するにはハードルが少し上がる?!」
本「ナイーブCD4T細胞標的は、リンパ球・食細胞・好中球のみ。でも、ナイーブCD8T細胞標的は、ウイルスや微生物に感受性のあるすべての細胞です」
大林「つまり、すべての体細胞が標的になりうる!!!」

***復習メモ***
CD4陽性T細胞(CD4T細胞)
:各種ヘルパーT細胞、制御性T細胞に分化する。

CD分類:細胞表面に存在する分子に結合するモノクローナル抗体の国際分類。数字は登録順。T細胞に関してはCD3,CD4,CD8が必須知識。「CD4陽性」とは、「CD4が細胞表面にある(その細胞がCD4を作り出せる)」ということ。
※他の細胞の機能を補助(help)するT細胞なのでヘルパーT細胞と呼ばれる
T細胞……胸腺(Thymus)で分化するのでT細胞と呼ばれる

CD8陽性T細胞(CD8T細胞)
:細胞傷害性T細胞(あらっ、ちょうど8文字だ!)。キラーT細胞、CTL、Tc細胞とも表記される。
※胸腺で分化するT細胞のうち大半がCD8陽性T細胞となる。あとはCD4陽性T細胞となり、ヘルパーT細胞(Th1,Th2,Th17,Tfh)や制御性T細胞(Treg)となる。
***復習メモここまで***

本「CD8T細胞は元来破壊的な性質を有するため、二次リンパ組織における活性化はそうたやすくは起こらない」
大林「フゥッフウ!危険な能力を持ってるから発動要件が厳しいんですね!」
本「ナイーブCD4T細胞よりも強い補助刺激活性が必要で、樹状細胞だけでは十分でない場合もある。この場合、IL-2を供給するCD4T細胞の助け(help)が必要となる」
大林「きた!ヘルパーT細胞、その名の由来!」
本「この場合、樹状細胞は、ナイーブCD8T細胞とエフェクターCD4T細胞の両方に同時に相互作用しなければならない」
大林「要件厳しいな」

本「ここまでのまとめをしておきます」

<適応免疫応答のはじまり>

◆感染部位から樹状細胞が二次リンパ組織へと抗原を運ぶ
◆運ぶ途中で樹状細胞は変化して「抗原提示」に特化する
 ※名の由来の「樹状」の通り、大量の突起が出て抗原提示能UP!

◆血管やリンパ管から入ってきたナイーブT細胞が抗原提示を受ける
 ※体内を循環しているすべてのナイーブT細胞がすべてのリンパ組織を通過するのに要するのは12~24時間と言われている

◆提示された抗原に特異的なナイーブT細胞が樹状細胞に結合し、エフェクターT細胞となる
 ※数日間がっつり結合して必要なシグナルを送り合う。
 ※シグナルはsignal1とsignal2に分類される
 ※signal2である補助刺激シグナル(co-stimulatory signal)がないと、T細胞は増殖も生存もできない
 ※T細胞の抗原受容体(TCR)CD3複合体補助受容体(CD4やCD8)CD28補助刺激受容体からのシグナルにより、T細胞の遺伝子が変化する
 ※補助刺激シグナルにつき、T細胞側の受容体はCD28補助刺激受容体で、抗原提示細胞側の補助刺激分子はB7
 ※補助刺激分子B7は、プロフェッショナル抗原提示細胞(樹状細胞、マクロファージ、B細胞のこと)が感染や微生物産物を感知したときのみ発現する。これにより、自己抗原に反応するT細胞がエフェクターに分化することを防ぐ(胸腺で排除しきれなかった「自己反応性T細胞」を排除できる)。

エフェクターT細胞は、二次リンパ組織で分化を完了すると、樹状細胞から離れる。
Tfh(濾胞性T細胞:T follicular helper)以外はリンパ組織を離れて、循環に入り、感染部位を探す。
◆Tfhは二次リンパ組織にとどまり、B細胞領域に移動し、B細胞を活性化する

本「…と、まぁこんな感じです。」
大林「ウィッス。はじまりだけで結構長い道のりだったな」

本「エフェクターT細胞の種類を改めて紹介しましょう。エフェクターCD8T標的を死に至らしめエフェクターCD4Tは標的細胞が感染源を攻撃するのを助け制御性T細胞(Treg)は他のエフェクターT細胞の過度の攻撃を防ぐ
大林「たのしい関係性だよなぁ」

◆メモ◆
エフェクターCD8T(細胞傷害性T細胞)は、標的細胞殺す
エフェクターCD4T(ヘルパーT細胞)は、標的細胞が攻撃するのを補助する。
エフェクターTreg(制御性T細胞)は、他のエフェクターT細胞の攻撃を制御する


本「エフェクターT細胞は、厳密な選択過程を通過したナイーブT細胞の娘細胞なので、活性化の要件はナイーブTよりも低い」
大林「あー、もう条件はクリアしてるからか」
本「だからエフェクターT細胞は速やかに感染部位の最前線に動員できる」

※娘細胞(じょうさいぼう):胞分裂の結果として生じる2つ以上の細胞のこと。 細胞分裂する前の細胞を対義的に母細胞(ぼさいぼう)と呼ぶ」


大林「ところで、エフェクターの定義確認したい。活性化して機能を発揮できる状態かなと思ってたんだけど、『エフェクター細胞の活性化』みたいな記述もあるし、なんなの?」

残念!本は答えない!!!!
Web「エフェクター機構とは、異物の侵入を受けた個体が免疫反応の結果として作る抗体や活性化したTリンパ球を指します。」

本「次回はエフェクターTとナイーブTの違いについて説明します」
大林「よしきた」

今回はここまで!

いいなと思ったら応援しよう!