1日10分の免疫学(37)粘膜④
本「蠕虫は腸管内に生息し繁殖する寄生虫」
大林「一瞬読みが分からなかった。ゼンチュウと……共存は可能?」
本「蠕虫は共生微生物ではなく必ず病原体となる。蠕虫は、CD4Th2が放出するインターロイキン4,9,13,25,33によって排出される」
◆復習メモ
T細胞の種類※メジャーなものだけ
★CD4陽性T細胞:表面タンパク質CD4がある。
>ヘルパーT細胞:放出するサイトカインによって免疫応答を調整する。
>>Th1:主に細胞性(貪食、細胞傷害)の免疫応答を促す。
>>Th2:主に液性(抗体)の免疫応答を促す。
>>Th17:主に炎症性の免疫応答を促す。
>★制御性T細胞:サイトカインや直接の接触で、T細胞の免疫応答を抑制する。
★CD8陽性T細胞:表面タンパク質CD8がある。異常細胞を特異的に認識して集中的に殺す。別名「キラーT細胞」。
※暗記メモ:別名「細胞傷害性T細胞」は8文字、胸腺で育つT細胞の約8割は細胞傷害性T細胞となる。他にもCTL;cytotoxic T lymphocyte or cytotoxic T cellやTc細胞とも表記される。
※「特異的に」:T細胞やB細胞は、自分の受容体に合致する場合のみ反応する。言い換えると、合致すれば反応して集中攻撃してしまうのであり、その暴走例が自己免疫疾患。
★NKT細胞(ナチュラルキラーT細胞):第4のリンパ球として発見された。名前からお察しのとおり、ナチュラルキラー細胞とT細胞(ヘルパーT細胞と制御性T細胞と細胞傷害性T細胞)の能力を全て兼ね備えた免疫細胞。ちょっと設定盛りすぎじゃないですか。
(ちなみに大林が個人サイトで連載中の「Being」はT細胞たちの世界観をファンタジー風に描いた戦争物語。主役は制御性T細胞、準主役はNKT細胞がモデル)
◆さらにしつこく復習メモ
サイトカイン(cytokine)
:細胞が分泌する低分子のタンパク質で生理活性物質の総称。細胞間の相互作用に関与する。近距離で有効。遠距離はホルモンのお仕事。
cyto(細胞)+kine(作動因子※)の造語※kinein:「動く」(ギリシア語)に由来する
サイトカインの種類
>①ケモカイン(Chemokine):白血球(免疫細胞)をケモカインの濃度の濃い方へ遊走させる(普段は血流等の流れに乗っている)。
>②インターフェロン(Interferon;IFN):感染等に対応するために分泌される糖タンパク質※。(※タンパク質を構成するアミノ酸の一部に糖鎖が結合したもの)
>③インターロイキン(Interleukin;IL)※見つかった順でナンバリング:リンパ球等が分泌するペプチド・タンパク質。免疫作用を誘導する。
IL-10には炎症性サイトカインを抑制する作用がある。
>④腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor;TNF):その名の通り、腫瘍を壊死させる機能を持つ。
大林「Th2と拮抗する関係のTh1は?何もしないの?」
本「Th1のIFN-γは炎症反応を起こし、寄生虫を排除できないばかりか状況を悪化させる」
大林「あぁ~そうか、炎症は腸ではタブーだったね」
本「それだけでなくIFN-γには上皮細胞の代謝回転を低下させるという有害な影響もある」
大林「なんと……Th1とTh2の拮抗する関係性の理由がわかったような……?」
第10章まとめ
粘膜表面は、その内外部間で物質と情報のやりとりを行う重要な臓器の内腔を覆っている。
免疫系の75%が粘膜表面で使われる。
全身免疫と異なり、常に適応免疫が活性化されいる。
ここでの自然免疫は炎症性ではない(粘膜を傷つけると感染を悪化させてしまう)
蠕虫はTh2による適応免疫で排除される。
大林「エッセンシャル免疫学第3版も半分過ぎたか……次は何です?」
本「第11章は免疫記憶とワクチン」
大林「おぉ…これまたタイムリーな。たのしみ!」
今回はここまで!