1日10分の免疫学(22)T細胞と免疫④
本「IL-2はT細胞の増殖と分化に必須であり、活性化T細胞自身によって合成・分泌され、それを作ったT細胞自身に作用する(オートクラインautocrine)」
大林「自分で作って自分に作用するのがオートクラインで、他の細胞のが作用する時はパラクラインだよね」
IL-2(インターロイキン2; Interleukin-2)
:ナイーブT細胞や、Th1から分泌されるサイトカイン。細胞性免疫に関与している。
※細胞性免疫(細胞傷害による免疫応答)
※液性免疫(抗体による免疫応答)
オートクラインautocrine(オートクリンともいう)
:自己分泌。分泌した細胞自身に作用すること。
パラクラインparacrine(パラクリン)
:細胞が分泌し、それが比較的近くの細胞に作用すること。
エンドクラインendocrine(エンドクリン、内分泌)
:血液などの体循環を介して異なる臓器など遠方の細胞に作用すること。
本「パラクラインに作用するサイトカインとしてはIL-12がある」
大林「えーと、IL-12は骨髄系細胞(マクロファージや樹状細胞)が産生して、リンパ系の細胞(NK細胞やT細胞)に作用する」
本「IL-2の話に戻す。IL-2が結合すると、T細胞の増殖が開始される。1個の活性化T細は1日に2~3回、約1週間分裂することで数千個の娘細胞を生み出す」
大林「ジョウサイボウって読むんだよね……1個の推しが数千個に増えるウフフ」
本「T細胞が関与する臓器移植の拒絶反応を抑えるときは、IL-2の産生抑制やIL-2受容体からのシグナルを阻害する免疫抑制剤が使われる」
大林「あ~、IL-2関連を抑えれば適応免疫の活性化を抑えることができるわけか」
本「ナイーブT細胞の集団には常に自己抗原に特異性を持つものがいる」
大林「胸腺ですべての自己抗原テストができるわけじゃないもんねぇ……で、どうなるの?」
本「実はT細胞の増殖と生存に必要な補助刺激分子B7は登場がかなり限定されていて、感染や炎症の期間のみである」
大林「……生存にも必要な分子だからT細胞は、そのうち死んでしまう?でもそれだと自己抗原に特異的かどうか関係なくない?」
本「自己抗原に特異的なナイーブT細胞が、MHCと複合した自己抗原ペプチドに出会ったときにB7がないと…」
大林「あっ、アネルギーになる!?」
アネルギー:免疫不応答の状態
↓自己免疫疾患を回避する免疫系のシステムを解明-大阪大学免疫学フロンティア研究センター
本「T細胞が一度、アネルギー状態(T細胞アネルギーともいう)になると、いかなるシグナルにも反応しない状態になる」
大林「一度アネルギーになると復帰しないの……?」
本「アネルギーT細胞の特徴は、IL-2を産生できないということ」
大林「活性化できないわけだ……胸腺での試験をすり抜けても、第二の策がここに!」
本「感染を収束させる効果的な免疫応答のタイプは、病原体の性質や感染部位によって異なる」
大林「ちゃんと選ばれてるんですねぇ」
本「様々な因子により、その感染に最も適した機能を有するヘルパーT細胞への分化が促進される」
大林「教科書では今のところ5タイプだよね、Th1、Th17、Th2、濾胞性ヘルパーT細胞、Treg!」
本「Th1はマクロファージに作用して細胞内細菌感染やウイルス感染に応答する」
大林「あれ、CTLは?」
本「Th17は好中球に作用して細胞外細菌や真菌感染に応答する」
本「Th2は寄生虫感染に応答する好酸球、好塩基球、マスト細胞、B細胞に作用する。濾胞性ヘルパーT細胞はナイーブB細胞の活性化と抗体産生細胞への分化に寄与。制御性T細胞はエフェクターCD4TやCD8Tの活性を制限する」
大林「同じCD4T細胞でもずいぶんと働きが異なるよねぇ」
今回はここまで!