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1日10分の免疫学

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「エッセンシャル免疫学第3版」の公開型自主勉のまとめ。
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#T細胞

1日10分の免疫学(12)T細胞①

1日10分の免疫学(12)T細胞①

第5章 T細胞による抗原の認識

大林「B細胞のエフェクター機能は抗体産生だけ。B細胞の受容体(BCR:B-cell receptor)は膜型免疫グロブリンで、特異的に反応する」
本「他方、T細胞は多彩な機能を持っている。また、機能の発揮には他の細胞との相互作用を必要とする。特異的に反応するのはB細胞と同じ」
大林「B細胞も濾胞性T細胞との作用が必要なのでは?」

本「T細胞の抗原受容体は、TCR

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1日10分の免疫学(13)T細胞②

1日10分の免疫学(13)T細胞②

本「ナイーブB細胞の抗原受容体(BCR)は膜型のIgM分子で、天然、人工、あらゆる化合物や巨大分子に低親和性で結合する能力をもつ」
大林「BCRにとっては、天然人工問わず一定サイズ以上の物質なら何でも抗原になりうる……」
本「他方、T細胞受容体(TCR)によって認識されるもの(リガンド)は非常に制約されている」
大林「ヒュゥゥウ~!T細胞かっこいい!」

本「まず、TCRが認識する外来抗原は、短い

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1日10分の免疫学(18)T細胞の分化①

1日10分の免疫学(18)T細胞の分化①

第7章 T細胞の分化◆T細胞には「αβ型」と「γδ型」がある本「T細胞前駆細胞は骨髄を出て一次リンパ組織である胸腺に入ってから遺伝子再編成を行う」
大林「B細胞は骨髄にいる時に遺伝子再編成を行うよね」
本「遺伝子再編成の分子メカニズム自体はB細胞T細胞もほぼ同じだが、異なる点もある」
大林「それは一体?」
本「T細胞にはαβ型とγδ型という異なる受容体を持つ2つの系列が存在すること」
大林「B細胞

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1日10分の免疫学(19)T細胞の分化②

1日10分の免疫学(19)T細胞の分化②

本「ダブルポジティブ胸腺細胞(DP)のうち、最大で2%程度がMHCクラスⅠあるいはⅡと相互作用できる」
大林「たったの2%…」
本「相互作用できなかったT細胞はアポトーシスにより死滅させる」
大林「正の選択おそるべし……」
本「正の選択を詳しく言うと、胸腺皮質上皮細胞はクラスⅠとⅡの両方を発現させ、自己ペプチドを載せて提示。3~4日のうちに胸腺細胞たちが相互作用できるかを試す」
大林「つまりその3

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1日10分の免疫学(20)T細胞と免疫①

1日10分の免疫学(20)T細胞と免疫①

第8章 T細胞を介する免疫前章の復習:
T細胞は胸腺で分化して、成熟ナイーブT細胞となり血液とリンパを循環。ナイーブT細胞は数年間生きる。二次リンパ組織で樹状細胞の抗原提示で特異抗原と出会うと活性化し、そこに留まり、B細胞の最終分化を助けたり(ヘルパー)、感染部位へ移動して感染源除去のため働く(キラー)

本「第8章では、ナイーブT細胞がエフェクター細胞になる機序と、エフェクターT細胞の機能につい

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1日10分の免疫学(21)T細胞と免疫③

1日10分の免疫学(21)T細胞と免疫③

本「T細胞はスフィンゴシン1-リン酸(S1P)の濃度勾配により、リンパ節を出ていく」
大林「S1Pはリンパ節の中より外の方が濃いのか。細胞にはヒトみたいな『思考』があるわけじゃないから、濃度勾配で動きがコントロールされてる…」

「生化学84巻2号」細胞内外で機能するスフィンゴシン1リン酸(S1P)の役割↓↓

本「S1Pの受容体は、ナイーブT細胞が抗原を認識すると発現するCD69によって細胞内に

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1日10分の免疫学(22)T細胞と免疫④

1日10分の免疫学(22)T細胞と免疫④

本「IL-2はT細胞の増殖と分化に必須であり、活性化T細胞自身によって合成・分泌され、それを作ったT細胞自身に作用する(オートクラインautocrine)」
大林「自分で作って自分に作用するのがオートクラインで、他の細胞のが作用する時はパラクラインだよね」

IL-2(インターロイキン2; Interleukin-2)
:ナイーブT細胞や、Th1から分泌されるサイトカイン。細胞性免疫に関与している

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1日10分の免疫学(23)T細胞と免疫⑤

1日10分の免疫学(23)T細胞と免疫⑤

本「ナイーブT細胞の分化経路を決めるのは周辺にあるサイトカインです」

◆サイトカイン(cytokine)
:細胞が分泌する低分子のタンパク質で生理活性物質の総称。細胞間の相互作用に関与する。
cyto(細胞)+kine(作動因子※)の造語
※kinein:「動く」(ギリシア語)に由来する

◆サイトカインの種類
ケモカイン(Chemokine)
:白血球(免疫細胞)を遊走させる(=感染現場に呼

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1日10分の免疫学(24)T細胞と免疫⑥

1日10分の免疫学(24)T細胞と免疫⑥

本「Th1はTh1の分化を誘導し、Th2はTh2の分化を誘導する……これを『極性(polarization)をもったT細胞応答』と呼ぶ」
大林「Th1とTh2の派閥争いって名前あったんだ?!」

◆『極性を持ったT細胞応答』……Th1、Th2のどちらかが優位になる応答

本「Th1に極性をもつ応答は細胞性免疫で、免疫応答のエフェクター細胞が優位となる応答に相当する」
大林「その免疫応答のエフェクタ

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1日10分の免疫学(25)T細胞と免疫⑦

1日10分の免疫学(25)T細胞と免疫⑦

本「ナイーブCD8T細胞は、ナイーブCD4T細胞よりも強い活性化が必要」
大林「我が推しが活躍するにはハードルが少し上がる?!」
本「ナイーブCD4T細胞の標的は、リンパ球・食細胞・好中球のみ。でも、ナイーブCD8T細胞の標的は、ウイルスや微生物に感受性のあるすべての細胞です」
大林「つまり、すべての体細胞が標的になりうる!!!」

***復習メモ***
CD4陽性T細胞(CD4T細胞)
:各種ヘ

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1日10分の免疫学(26)T細胞と免疫⑧

1日10分の免疫学(26)T細胞と免疫⑧

本「ナイーブT細胞とエフェクターT細胞の違いについて説明します」
大林「よしきた」
本「ナイーブT細胞からエフェクターT細胞への分化で、感染部位への移動能力やそこで機能を発揮するための細胞表面分子の発現が起こる」
大林「ということは表面の分子で見分けることができるってことか」

本「ナイーブT細胞は、L-セレクチンという表面分子で血中からリンパ節に入る。エフェクターT細胞は、接着分子VCAM-1と

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1日10分の免疫学(27)T細胞と免疫⑨

本「エフェクターT細胞の機能はサイトカインとサイトトキシンでもたらされる」
大林「トキシンは毒素って意味だよね」(toxin:毒素【ドイツ語】)
本「すべてのエフェクターT細胞はサイトカインを分泌し、サイトトキシンを分泌するのはCD8T細胞(細胞傷害性T細胞)のみである」
大林「細胞を殺傷する毒ゥ!」

◆復習メモ
サイトカイン(cytokine)
:細胞が分泌する低分子のタンパク質で生理活性物質

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1日10分の免疫学(28)T細胞と免疫⑩

1日10分の免疫学(28)T細胞と免疫⑩

本「パーフォリン、グラニュリシン、セルグリシンが標的細胞の細胞表面に結合すると細胞膜に穴を開け、グランザイムが細胞内部に注入される」
大林「アポトーシスの始まり…!」
本「そう。グランザイムが標的細胞の内部に達するとタンパク質分解カスケードが開始される」
大林「おぉ……タンパク質が分解されていくのか」
本「細胞分解するアポトーシスの過程は感染病原体に対しても作用する」
大林「えっ、細胞内部に侵入し

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1日10分の免疫学(29)T細胞と免疫⑪

1日10分の免疫学(29)T細胞と免疫⑪

本「制御性T細胞は、CD25を高発現し、IL-4、IL-10、TGF-βなどの免疫抑制性あるいは抗炎症性サイトカインを産生する。抑制活性は制御性T細胞と標的細胞との物理的な接触に依存している」
大林「えぇと、CD25が表面にたくさん出てるのが制御性T細胞ってことか、覚えておこう。制御性T細胞 Regulatory T cell 略してTreg。T細胞の中で唯一、免疫を抑制する…正確にはエフェクター

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