新年のご挨拶:リアルがもたらす前向きな雰囲気
Takeshi Okahashi
Positive Ambience :リアルがもたらす前向きな雰囲気
2020年の春先からそろそろと始まったACTANT FOREST。夏にはウェブサイトができ、秋には北杜市に自分たちの森も手に入れ、その間にnoteの記事も増やしていくことができた。まだまだ小さく、ゆっくりとした歩みながら、僕もメンバーも新しいことを知り、発見する連続で、前向きな雰囲気を保ち続けている。
昨夏の7月に日本からオランダへ家族で引越し、自身の環境も大きく変わり、文字通りリモートでACTANT FORESTに関わっている僕にとっても、メンバーとの定期的な打ち合わせが、新しい生活のなかで重要な刺激とアクセントになっていた。
それにしても、日本よりも格段にストリクトなロックダウン生活が三週間も続いている中で、こんな前向きな気持ちが長く続いている原因は何なのだろうか? いくつか思いつく理由はあるが、なんと言ってもその源泉は「リアル」な森への好奇心だ。本格的に下見に行っていた昨年の今頃、こんなこともやってみたいねと話していた春先、そして秋がすぎる頃には森に通うようになっていた。その合間のミーティングごとに「自分たちの森」を話題にすることが、どれだけ僕たちの気持ちを上げてくれていたことか。
実際に森に通うメンバーの報告からは、自然に触れる気持ちよさ、そこで新たな実践をしていくことのワクワク感がZoom越しの笑顔とともにビシビシ伝わってくる。もちろん思ったように進まないこともある。でも、それも含めて楽しいのだ。
今年もこれから暖かくなるにつれて、リアルな森の実践もより活発化していくだろう。まずは泊まれる小屋を作ろう、土中環境の改良をしよう、微生物発電を実験しよう、IoTミツバチ巣箱もつくりたい、などとやりたいことはどんどん出てくる。
僕にとっては、異国の地、オランダという「リアル」も十分な刺激になっていた。元々、日本とは異なる文化と文脈を持つオランダでACTANT FORESTのテーマである「自然とデザイン」を探索していく可能性を感じていたものの、実際に来てみると想像以上に面白い実践やテーマが見えてくる。そして、まだまだ面白くなっていきそうだ。
例えば、noteの記事にしたアムステルダム市の「ドーナツ経済モデル」は、ブリュッセル市など他の都市や地域にも広がり始めている。アムステルダム市の今後の動きをチェックしていくことはもちろん、ACTANT FORESTや日本の自治体や地域にとっても参考になるように、実際の現場や採用されているメソッドについて取材・研究を続けていきたい。
また、前編を訳すのに四苦八苦した「Trees As Infrastructure インフラストラクチャーとしての街路樹」の後編にも取りかかっている。ダークマターラボの思考ロジックは難解だが、ACTANT FORESTのデザイン活動にも参考になるので彼らの他のプロジェクトの動向を追うのもとても楽しい。後編は近日中に公開予定なので楽しみにしてほしい。
そして、昨年唯一の現場取材から記事を書いたコミュニティファーム「ヘーレンブーレン」についても、新たな動きが生まれている。きっかけは、「ヘーレンブーレン」の取材中に出会ったおばさま(記事に出てくる黄色いジャケットのおばさまだ)から昨年末にいただいた嬉しいメールだ。なんと、おばさまたちがこの2年ほど奔走していた新しいヘーレンブーレンが、ついに立ち上がるフェーズに入ったとのこと。
予定されている農地は、僕の住んでいるところからも遠くはない。そこで、家族と相談し、初期メンバーになることにしたのだ。すでに準備ミーティングが開かれたり、契約書を取り交わしたりと、コミュニティメンバーが成員となる共同組合的な組織が立ち上がっていく様子を目の当たりにしている。順調にいけば、春先から農地の整備が始まり、8月から10月ぐらいには初めての収穫ができる予定だ。そんな動きもレポートしていきたい。
素直に、通える自然ができるのが嬉しい。正直なところ、通える森のある日本のメンバーが羨ましかったのだ(毎度、本当に嬉しそうに報告してくれるのを画面越しに聞いているだけだった)。僕も、ヘーレンブーレン内にリアルなACTANT FORESTのブランチを立ち上げられまいかと妄想し始めている。
山梨の森とオランダの森(実際は農地だけど)。それぞれの「リアルさ」が持つエネルギーをいただきながら、本年も前向きな雰囲気を持続していく1年にしていきたい。
次回以降のニュースレターでは、「自然と共創するためのデザインメソッド」、「土中環境」、「フォレストテック」の特集などを構想している。こんなテーマはどうか?こんな情報があるよ!といったタレコミ情報もいただけると嬉しいです。
本年もよろしくお願いいたします。
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