『アートを味わう 〜大石Dの勉強会〜』vol.26
(ヘッダー画像撮影:脇田友)
こんにちは!
『戯曲を味わう』の講師を務めています、大石です。
このワークショップは2018年10月より行っています。毎回テーマを変えながら、戯曲に書かれている歴史や、文化、作者の背景などについて知る事で、戯曲をもっと楽しく読む(味わう)ことを目指しています。
今回は、“戯曲”や“作家”を味わうことに留まらず、広く「演劇と社会」について考える会にしたく、『アートを味わう』というタイトルにしました。
※vol.24第1講の様子。英国の劇作家トム・ストッパードについて解説しています。
今回のテーマは、ドイツの劇作家、ベルトルト・ブレヒトです。
ブレヒトは「異化効果」を用いた「叙事的演劇」と呼ばれる作品たちや、その手法をさらに先鋭化させた「教育劇」と呼ばれる作品を多数生み出し、戦後演劇に大きな影響を与えた人物です。
ブレヒトの作品の中で最も有名なのは『三文オペラ』でしょうか。最近では、2018年に松岡充さん主演、音楽をドレスコーズの志磨遼平さんが手掛けたものが、KAAT神奈川芸術劇場で上演されました。
他に、地動説を撤回したガリレオ・ガリレイを巡る戯曲『ガリレイの生涯』も光文社から10年ぐらい前に新訳版が出版されましたので、もしかすると本屋でご覧になったことがあるかもしれません。
さて。
なぜ今、ブレヒトを取り上げるのか。それは、冒頭に書いたように、「演劇と社会」について考えたいと思うからです。
ブレヒトは当時の観客に対して「叙事的演劇」を通じ、舞台上で起こっている出来事に感情移入するのではなく、一歩引いた視点から作品を鑑賞し、劇場を出た後も作品が提議している問題について議論する、という事を求めました。
「答えのない問題について一歩引いた視点から議論する」ことは、まさに今、ウィズコロナ・アフターコロナという、少なくとも今生きている人は誰もが経験したことのない未曾有の世界の中で必要とされている能力ではないでしょうか。
ブレヒトを取り上げるのはこれで3回目になりますが、これまでの勉強会のように演劇的な視点だけでなく、より「演劇と社会」にフォーカスをあてていきたいと考えています。ですので、これまでブレヒトを取り上げた会に参加していただけた方でも、新しい発見があるのではないかと思います。
そして今回は、オンラインと対面のハイブリッド開催をしたいと思います。2020年度より長らくオンライン開催のみとしておりましたが、久しぶりに直接会ってお話できる事を楽しみにしています。もちろん、オンラインでの参加も大歓迎です。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大の状況次第で、場合によってはオンライン開催のみとする可能性もございますので、その旨ご了承ください。
※2019年に開催したvol.14の様子。ブレヒトについて解説しています。
講師 大石達起(IN SITU)
日程 12月20日(月)19:00~20:30
会場 KAIKA(京都市下京区)
Zoomミーティングルーム(お申し込みの方にお知らせいたします)
金額 500円
定員 対面20名、オンライン10名
主催 一般社団法人フリンジシアターアソシエーション
IN SITU
お問い合わせ 075-344-8970