カラダ・性のことを知ろう―林間学校前の性教育はいいチャンス!
林間学校でみんなと一緒にお風呂に入りたくなければ入らなくていい。
先生に「なんで?」って理由をきかれるかもしれない。
理由は答えたくなかったら答えなくてもいい。
自分のからだのことは自分で決める権利があるんだよ。
とある小学校から依頼された、林間学校に行く5年生にむけての性教育の授業の一コマです。
こちらの学校では、2年前に保護者の方が学校に働きかけてくださって、6年生に性教育を実施。その後、養護の先生がとても熱心に性教育に関わり、4年生の保健体育で、生理や射精などのからだの変化について生理ナプキンなども見せつつ詳しく説明したり、トイレの個室に、絵本「あ、そうなんだ性と生」や、生理などの説明サイトのページをコピーしたものを貼ったり。(個室によって内容が違い、からだのしくみから、性暴力の話まで、盛沢山!)
そのおかげで、5年生は生理や射精などのからだのしくみについて、どんなものかわかっている状態で授業を進めることができました。
さて、ここからは授業内容の詳細を公開します。授業でくばったプリントもダウンロードできるようにしますので、同じような授業をしたい!と思ってくださったら、使っていただいてかまいません。また、このような授業を子どもに受けさせたい!という方は、是非、学校に相談してみてください。
前述のとおり、今回の授業が開催されたのも、2年前に保護者の方から学校にはたらきかけてくださったから。ひとりの保護者の働きかけが、その地域の子どもたちの性教育の水準をあげる助けになるって、すごいことだな、保護者の力って(いい意味で)大きいな、と思います。
0.授業の前に
授業が始まる前の5分休みの間に教室にお邪魔して、ひとりずつに生理用ナプキン1個、タンポン1個を配ります。
黒板には、女性内性器、外性器、男性内性器、外性器の図を。
そして、こちらのプリントを配りました。
(アクロストンをもじって、『あざらしとん』というキャラをつくってみました。)
生理用品にみんな興味津々。あえて数種類のナプキンをくばったので、ナプキンの包みの柄や大きさを比べたり、タンポンを見つめて「お菓子?」ときいたり、文字を読み間違えて「タンポポだって!」と言ったり。
黒板の絵も、「なんだろねー?」という子もいれば、「ちんちんじゃね??」とヒソヒソ声の子も。
1.生理ってなんだっけ?
自己紹介のあとは、さっそく配ったプリントにそってすすみます。
ーー4年生のときに生理とか、射精とか、からだのしくみについて学んだと思うけれど、5年生になって、自分のからだにもそういう変化が起きたよ!という人もいれば、もう少しでおきるのかな?とドキドキしている人もいると思います。いろいろと心配になったりするのは、よくあること。今日は一緒に考えていこう!
ところで生理ってなんだっけ?と質問し、子どもたちの知識や理解度をまずは確認。
「血がでてくるんだよね」「月1回」「1週間ぐらいつづく」「10歳から16歳ぐらいにはじまるもの」
クラスによって、出てくる言葉はちがうものの、昨年しっかりと養護の先生が伝えたことをちゃんと覚えているようです!
今回は復習としてさらりと、黒板に書き込みつつ生理のしくみの話を。
――早い人は9歳ぐらい、ゆっくりな人は15,6歳ぐらいになると、脳から、からだをバージョンアップしよう!っていう指令がでるんだよね。ホルモンと言うんだけど。すると、子宮の内側の膜が3週間ぐらいかけて分厚くなって行って、、、、それと一緒に血管とかも集まってきて、、、で、これがあるとき崩れて、おまたの穴から出てくる。これが生理。教科書には月経と書いてあるけれど、日常生活では生理っていうことが多いね。ちなみに、生理のときに出てくる血っていわれているのは、ただしくは経血。3~7日間ぐらい出るよ。
――さて、経血がでてくると、そのままだと、下着とか服とかよごれちゃうね。どうするんだっけ?
「ナプキンでしょ!」という子や、「これー!」とくばった生理用品を掲げてくれる子も。
――そうそう!では、ひとり一つずつ、生理ナプキンをあけてみよう!
「あけていいの?」「はじめてさわったー」「お母さんが使っている!」とわいわい、嬉しそうだったり、興味津々にナプキンを開けてくれる子どもたちが多数の中、さわりたくない様子の子が各クラス0~1名。子どもたちのリアクションの違いは、5年生ぐらいまでは、性別はあまり関係なく、それぞれの発達の度合いや経験によると思います。さわりたくない子は、さわりたくないことを尊重。そっとしておきます。
――使い方わかる?
「このシールのところを、カラダにはりつけるの?」と聞いてくる子も。
――このシールのところは、パンツに貼り付けます。で、ふわふわした綿みたいな面がカラダ側。ここで、経血を吸収して、2時間ぐらいたったら。交換します。では、交換するときに、ナプキンどうやって捨てる?
「くるくる巻くんだよね!」「そのままぽいって捨てちゃダメなの? 」「めんどくさいから、学校では交換したくない」「学校で、血がでないようにすればいいんじゃない?」といろいろな意見が。
――ナプキンは血がついているから、そのままポイっと捨てると、血がどこかについちゃうかもしれないよね。くるくる丸めて、そしてシールでべたべたにならないように、ナプキンの包み紙かトイレットペーパーでくるんでみましょう。さぁ、やってみて!
「きれいに巻けたー?」「どっち方向に巻くの?」とワイワイガヤガヤの中、慣れた手つきでくるりと巻いて、まわりの子に教えてくれる子も。
子どもたちがひととおり生理ナプキンの使い方を実践しおわったあたりで、林間学校と生理について伝えます。
――生理が林間学校にぶつかっちゃう人も結構いるし、はじめての生理が林間学校で来た!という人もいるよ。そんなことはあるから、下着を多めに持っていくと安心だね。急に生理がきたら、学校だと保健室にいけば生理ナプキンはあるし、林間学校も先生たちが用意しているはずだから、もらいに行ってね。
また、途中でとても大切な気づきとなる意見があったので、その部分をひろいます。
――さっき、学校で血が出ないようにすればいい、と言ってくれた人がいましたが、実は、生理は自分ではコントロールできません。経血を学校では出さないようにして、おうちで出すようにしよう、なんてことはできなくて、勝手にでてくるものです。おしっこみたいに、ちょっと我慢するとかもできません。だから、生理になった人は、学校でナプキンを交換することになります。学校とか、出かけた先でナプキンを交換することは、よくあることだよ。
経血はコントロールできるものではない、ということは、授業で伝える内容には予めいれていなかったので伝えられなかったクラスもあるのですが、子どもが意見を言ってくれたからこそ、「あ、そうだった。。ここは伝えておきたいポイントだった」と思い出させてくれました。
実際に、男性に「生理ぐらい我慢できないの?」と言われた人もいるときいたこともあり、この部分は、今後の授業では必ず子どもたちに伝えていこうと思います。
2.生理痛って知ってる?
生理ってなに?と授業のはじめにきいたときに、「痛いもの」という意見もでました。そこを振り返りながら話をすすめます。
――さっき、生理は痛いものっていってくれた人がいたけど、子宮の内側の膜がくずれて出てくること自体は痛くありません。血が出てくるから痛そうに思うかもしれないけれど、そのこと自体に痛みは感じません。でも、生理のときに、おなかが痛くなったり、調子悪くなる人がいるのは知ってるかな?生理痛って知っている人?
クラスによりますが、2,3割~6割ぐらいの子が手をあげます。
――生理のときは、経血をおしだすために、子宮がギュッと収縮します。ギュッと縮んで経血を押し出すんだね。そのためにプロスタグランジンというものがからだの中で作られるのだけど、それが強すぎちゃって、おなかが痛くなったり、からだ中にめぐって頭が痛くなったり、胃が痛くなったりすることもあります。さて、痛いときってどうすればいい?
「薬を飲む!」「我慢する!」との声が。
――生理痛で痛いときは痛み止めの薬を飲みましょう。「生理ぐらい病気じゃないんだから我慢しなさい」と言われたり、生理痛があまりひどくないお母さんやお友達から「私はそんなに痛くないよ。大げさじゃない?」なんて言われてしまうことがよくあるのだけど、生理痛の辛さはひとりひとり違います。なんともない人から、痛くて動けない人まで。我慢してもよくならないから、薬を飲んでね。ポイントは「ちょっと痛いかな」ぐらいの早いうちにのむこと。すごく痛くなっちゃってからは効きがあまり良くないから、早めにね。
授業用に持参した、ライオン株式会社の『バファリンルナJ 』を見せながら、更にポイントを伝えます。
――生理痛の薬って、15歳未満は飲めません、と箱に書いてあるものがおおいから、薬局で、みんなの年齢でも飲める痛み止めをください、っていうと、15歳未満で飲める薬を出してもらえるよ。
――毎回生理のたびに薬を飲まないといけないようなら、一度、婦人科に行って相談してみてね。もっといい薬を出してくれるかもしれないし、生理を軽くする薬もあるよ。今度の林間学校には間に合わないけど、お泊りや受験とかと生理が重ならないように日にちをずらすこともできるから、生理に関する相談は気軽に早めに、婦人科に行ってみてね。
このあたりは、子どもたちよりも見学の保護者がメモを取っているようでした。
3.夢精ってなんだ?射精ってなんだ?
ここまでは、アクロストンの「みさと」が中心に授業をすすめましたが、ここからは「たかお」にバトンタッチ。
――プリントの3人目の子、なにを心配しているかなぁ。夢精って知ってる?
「知ってる」という声もでましたが、ほとんどの子が知らないよう。
――じゃぁ、射精って知ってる?
「知ってる」「精子がでるやつでしょ」と答えてくれる子もいれば、ぽかんとしている子も。性別を問わず、生理にくらべて、覚えていない子が多いようです。
――射精のほうが、知っている人が多いね。小学校高学年から中学生ぐらいにかけて、脳からの命令で、精子が精巣でできはじめます。すると、精子をからだの外に出そうという、からだのしくみがはじまります。精子と、ねばねばした精液が、おちんちんの先からでてくるのが射精だね。
――からだの外に精子を出す方法は2通り。まずはこの「夢 」という字。なんて読む?
「ゆめ!」ほぼ全員が元気に答えます。
――そう、ゆめ。夢って寝ているときに見るよね。だから、この夢精というのは、寝ているときに勝手に射精をすること。めがさめたら、パンツにねばねばするものがついているのは、変なことじゃないです。もし林間学校であったら、トイレにいってパンツをはきかえれば大丈夫。1枚多くもっていくと安心だね。
――もう一つの射精は、自分でおちんちんをさわって射精すること。突然、おちんちんをさわる、とか言い出したから、この大人、なに変なこと言ってるの?と思うかもしれませんが、おちんちんを触りたいと思ってさわることは変なことじゃないです。
にやりと笑う子、不思議そうに話をきく子、身を乗り出した子。いろいろです。
――ところで勃起って知ってる?
「ちんちんが大きくなるやつでしょ」と答えてくれる子も。
――そうそう。おちんちんをさわると勃起をするんだけど、そのままさわっていくと射精をすることがあります。あとは、さわっていなくても、エッチなことを考えたりすると勃起したり、なにも考えていなくても勃起をすることもあります。そのどれもが自然なこと。
保健の教科書には射精については書いてあるのですが、勃起についての詳しい説明はありません。どうしても勃起はエロい話と結びついてしまうことが多いのですが、本来は、からだの現象のひとつです。子どもたちが男の子の性をエロいものとしてとらえる前に、伝えたいことのひとつです。
――自分でおちんちんをさわることを、オナニーと言ったり、マスターベーションと言ったり、セルフプレジャーと言ったりするのだけど、今日の授業ではセルフプレジャーという言葉を使うね。セルフプレジャーは変なことではないです。してもしなくてもどちらでもいい。
――黒板のおちんちんの絵のところでセルフプレジャーの話をしたから、男の子だけの話かとおもってしまったかもしれないけれど、女の子もセルフプレジャーをする人はします。おまたのあたりをさわることは変なことじゃないです。ただ、セルフプレジャーをするときは気を付けてほしいことが2つ。まずは、おちんちんとかおまたのあたりをさわるのって、みんなの前でしていいと思う?
「だめー」「よくない」と子どもたちから声があがります。
――そうだよね。セルフプレジャーは一人になれるところでしましょう。
「トイレとか?」と聞いてくれた子がいました。
――そうそう、トイレとか、お風呂とか。自分一人になれる部屋がある人は部屋でもいいね。あともうひとつ気をつけてほしいのが、強くさわらないってこと。やさしくさわるようにしてください。たまに床にこすりつける人もいるのだけど、将来的に困るかもしれないから、手でやさしくさわるのがポイントです。
4.エッチな動画やマンガに気をつけて
セルフプレジャーの話から、アダルトコンテンツの話へとすすめます。
――セルフプレジャーをするときに、エッチな動画やマンガを見る人がいるんだけど、ここでも気をつけてほしいことがあります。ところでエッチなマンガや動画って知ってる?
「あーー、なんか知ってる」という子もいれば、きょとんとする子も。
――なんとなく、知っている人もいれば、何のことかわからない人もいるとおもうけれど、ネットの動画とかマンガとかにエッチなことが載っているものがあります。そこによく書いてあるのが、こういう話。
――カップルがいて、ひとりがもうひとりのからだにいろいろなことをしようとして、でも、もうひとりは、嫌がるのね。嫌がるのに、更にいろいろなことをして、嫌がっているのに、、、、なぜか最後は、よかったね!みたいなハッピーに終わるという話。
――でも、これって変じゃない?たとえば、友達に「今から殴っていい?」と言われたら、「イヤだよ」とか拒否するよね。でも、無視されて、ぼこぼこに殴られて、で、最後「仲良し」とか、ありえなくない?
子どもたち、「ありえない」と爆笑。
――そう、ありえないよね。なのに、なぜか、エッチな動画とかマンガとかでは普通にかかれてるの。だから、だまされないでね。殴ったりする暴力についてだったら当たり前の話が、なぜかエッチな話、まぁ、人が嫌がるのにエッチなことをするのも暴力なんだけど、いいことかのように書かれていることが多いから。エッチな動画やマンガが見たいということは別に悪いことでもなんでもないのだけど、その内容は信じないように気をつけてほしいし、現実にやってしまったら相手を傷つけることを覚えていてね。
アダルトコンテンツや少年向け漫画などで、ありがちな「イヤと言っていても最後は気持ち良くなるストーリー」を信じている人はたくさんいます。子どもたちだけではなく、大人になっても。そのことで、傷ついている人もたくさんいます。「No means No」「イヤと言われたらやめる」ということを子どものころから徹底していくことが大切だと考えています。(そのためには、子ども時代に安心してたくさん「イヤ」と言うことができる環境づくりが大切だと考えていますが、その話はまた別の記事で。)
5.お風呂に入りたくなければはいらなくていい
ここで、林間学校に話をもどします。
――もしかしたら、林間学校でみんなと一緒にお風呂入りたくないって思っている人がいるかもね。みんなと一緒にお風呂に入りたくない人はけっこういます。
「あー、わかるわ。。。」というつぶやきが、きこえました。
――お風呂に入りたくない理由はいろいろだと思う。自分のからだが、ひとと違って変なんじゃないかな?と思ったりして入りたくない人もいます。
ここで、包茎のはなしや、性器はひとりひとり、とても違うこと。毛が生えてくる時期は個人差がとてもあって、大人になっても薄い人も濃い人もいること。胸が膨らんでくるタイミングも大きさも様々であること、などを説明しました。
また、自分の性別に違和感がある人もいるんだよ、と説明。どういった理由であっても、みんなと一緒に入りたくないと思ったら、入らなくていい、と伝えます。
――みんなと一緒にお風呂に入りたくない人は、その気持ちを大切にしてください。そして、入りたくないから、時間や場所を変えて入りたいのか、入らないか、などを、先生と相談してみてね。その時に「なんで?」って理由をきかれるかもしれません。理由をこたえてもよかったらこたえればいいし、こたえたくなかったらこたえなくていい。「理由は言えないけれど、みんなと入りたくない」と言えばいい。自分のからだのことだから、自分がきめていいし、理由を言う言わないも、自分で決めていいことだよ。林間学校のお風呂のことだけじゃなくて、他のことでも、自分のからだのことは自分で決めていい、って覚えておいてもらえると嬉しいです。
こどものからだの権利というものを、学校ではあまり学ぶことはありません。でも、自分のからだのことを自分で決めること、をとにかく大切にしてほしい。先生たちには少し負担を増やしてしまったかもしれませんが、林間学校のお風呂を題材にすると、子どもたちにはわかりやすかったようです。
6.生理のときってお風呂はどうするの?
最後は、生理のときのお風呂やプールについてです。
――自宅のお風呂は、生理でも入って大丈夫です。湯船につかるときは腟は閉じているから、経血がお湯の中に出てくることも、お湯が子宮に入っちゃうこともありません。からだや髪をあらっているときには経血は出てくるから、最後に流せば大丈夫。
――林間学校のお風呂とか、温泉とか大浴場とかは、洗い場に経血がたれちゃうかもしれないから、そのまま入るのは難しい。でも、こんなものを使うと、プールや温泉もはいれちゃいます。
と、ここでタンポンの登場。一人に一つずつ配っていたタンポンを手に取ってもらって、各自あけてみます。
そして、タンポンの使い方を説明。みんなもやってみます。「面白い」「ティッシュ固めたのが出てきたー」など、とても楽しそう。授業でもワークショップでも、タンポンって、性別を問わず、子ども受けが一番いい生理用品です。笑
――タンポンはどこから入れるかわかるかな?腟のところだよ。ところで女の人のおまたのところは、いくつ穴が開いているか知っている?1つ?2つ?3つ?4つ?それ以上?
3つ、に手を挙げてくれる子が一番おおいですが、1つ、2つも、ちらほらいます。
――こたえは3つ。おしっこが出る穴とうんちが出る穴があるよね。その真ん中のところが腟につながる穴だよ。このまわりは小陰唇といってびらびらしたものがついているから、それをタンポンを持っていないほうの指で広げて、腟のところにタンポンはいれてね。
タンポンをこどもに渡すと、「痛くないの?」「痛そう」という声が必ずあがります。
――タンポンを入れるのは痛そうに思うかもしれないけど、実際は膣はよくのびるので、痛くないです。タンポンをいれていくときは、なんかすすんでいるな。。。みたいな感覚はありますが、最後にタンポンがはまる場所は、感覚がまったくないところです。なので、いたくもないし、かゆくも、変な感じもしない。だから、最後に抜くことを絶対にわすれないでね!!
最大が8時間であることやTSS(トキシックショックシンドローム)についても伝えます。
「タンポンいれたら、忘れないように、手に書いておこう!」っていう子も。自分事として考えられていて、すごいなぁ、と感心。
7.質問タイム
最後のあまった5分ほどは、タンポンを分解してみてもいいし、ひもをひっぱってちぎれないことを確認してもいいし、先生がつくってくださった振り返り&質問/相談シートを記入してもいいし、私たちに質問をしてもいい時間。
実はこの時間を大切にしています。子どもたちの本音は、少し自由な時間の時の方が出やすいから。
タンポンって綿がギューッとしていて崩すとすごい綿の量になるんだよ、とか、ひもは絶対ちぎれないからタンポンを出すときにひもがなくても落ち着いてさがせば大丈夫だよ、とか、言いながら、子どもたちの机のまわりを歩きます。
すると、いろいろな質問や感想が。
「みさとさんはいつ生理来た?」ってきく子。「いつ自分が生理になるのか知りたい!」という子。おりものが出てきてから半年から1年ぐらいかな、、、とか、おりものをよく見てみて、血みたいなものがまざってたら、数か月かも、、なんて話します。
「女の子用のものばっかだね。男の子用はないんだ」とつぶやいてくれた子も。とても大切な視点です。
生理は自分でコントロールできないから、いつ経血でるかわからないし、というか生理のあいだはずっと出るし、期間も長いから、いろいろな生理用品があるんだろうね。射精は夢精以外は精液がでるときが自分でわかるから、ティッシュを用意できるから、生理用品みたいにいろいろないのかもね、と話をしてみました。
生理について性別を越えて理解する大切さは最近広まってきているように感じていますが、男の子のからだのケアについても性別を越えて理解することはとても大切だと考えています。
女性の性が商品化されがちであることは大問題でありますが、男性のカラダや性についてはネタにしていいような風潮があることも大問題です。男性のカラダや性について、義務教育で詳しく語られることは少なく、男の子たちが、自分たちのカラダや性も大切なものでケアしていくものなのだ、と教わる機会はほぼありません。むしろ、「男の子だから、ころんだぐらいで泣くな」といったような、自分のカラダやココロを大切にしなくていいと誤解させてしまう表現もいまだにあります。
性別問わず、自分のカラダ・性を、ポジティブな気持ちでケアしていけるように、子どもたちに伝えていきたいです。
8.まとめ
この盛沢山な内容を45分でやるので、こどもたちが全部を理解したとは考えていません。一番の目的は、カラダや性は変な話でもエロい話でもなく、当たり前の話なんだと感じてもらうこと。
林間学校準備として性教育の授業をやったのは初めてでしたし、小学校のカリキュラムで生理や射精などは4年の保健の授業なので、5年生にこういった性教育の機会があることは珍しいのですが、とてもいいタイミングだったように思います。4年生で基礎知識を学び、5年生で少し実感をともないつつ、実践的な話をきく、しかも林間学校の準備なので少しワクワクしながらきくことができるのは、子どもたちにとって負担なく、まっすぐ言葉が入っていくように感じました。
今回は、2年前の授業のことを知った先生から依頼していただいた授業でしたが、学年まとめてではなくクラスごとに実施したいという私たちの意見などを取り入れてくださったり、保護者参観OK、かつ来られない保護者用に動画まで撮ってくださいました。昼休みには、相談コーナーをもうけて、いろいろな性教育の本をひろげて、なんでも相談ができるように教室を確保してくださり、保護者のかたや子どもたちともゆっくりお話しができました。
2年前、最初に声をかけてくれた保護者の方、その後、いろいろと展開してくださった養護の先生、そして、今回の授業を依頼してくださった5年生の担任の先生と、そして積極的に参加してくださった保護者のみなさま。学校と家庭の両輪で性教育を進めていくことのできる体制が地域で出来上がってきていることに感動しました。
こういった授業を開催する学校が増えていくといいなぁ、いろいろな地域で保護者も学校も一緒になって性教育がもりあがっていくといいなぁ、と心から願っています。この授業をそのまま使っていただいても、アレンジしていただいてもいいので、性教育の機会がありましたら、ご自由におつかいください!相談・質問などありましたら、お気軽にこちらまで。プリントが欲しい!という方にはデータも差し上げますので、ご連絡ください。