子どもに性教育をする前に、大人がアップデートしよう
私たちは子どもたち向けの性教育ワークショップを開催するときは、常にその隣または後ろに座っている保護者に向けても話をしています。なぜなら、本来、性教育は特別な話ではなく、日常の一部。生活のいろいろな場面で子どもたちに性の話をして欲しいからです。
とはいえ、私たち大人世代は、充実した性教育を学校でうけたことはまずないですし、家庭でもむしろタブーだった人がほとんど。どのように話したらいいかも難しいですよね。そして、性を取り巻く話題は時代とともにかなり変わってきました。大人も性の知識をアップデートして、日常に散りばめられている性教育のチャンスをつかんで、子どもたちに性の話をしていきましょう。
書籍『思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!』の序章はアップデートがテーマです。
思春期のからだについてアップデート
思春期のからだはほめるのもけなすのもNG。ひとりひとり違うからだ
思春期の子どもたちは、ほめられることにもけなされることにも、とても敏感。からだがどんどん変化する時期でもあり、顔やからだについて何か言われると、とても気にします。この時期に言われた 言葉が呪いのように一生ついて回ることもあるほどです。
「顔やからだをけなすのがよくないのはわかるけど、ほめるのはいいことじゃない?」と思うかもしれませんが、実はほめるのもNG。顏やからだをほめるということは、 顏やからだの「美しさ」 には正解があるというメッセージを伝えることになってしまいます。そして自分の顔やからだは、その「美しさ」をもとに評価されるものだと思い込んでしまいます。
誰かに決められた「美しさ」から自由になり、自分の顔とからだ
で、のびのび生きていけるようにサポートしていきましょう。
セックスについてアップデート
セックスについて子どもに正しく教えると、望まない妊娠が減る
「子どもがセックスについてあまりこまかく知ってしまうと、興味が増して早く体験しちゃうのでは!?」なんて心配になりますよね。
実際はその逆です。性教育の先進国・オランダでは、学校でセックスの正しい知識を子どもたちに教えるようになってから、子どもたちの初体験が遅くなり、望まない妊娠が減ったことがわかっています。
「寝た子を起こすな」の思想がまだまだ根強い日本では、学習指導要領で中学校までは原則セックスについて教えないことになっています。高校では専門家を呼んでしっかりとした性教育を行うところもありますが、残念ながらそうでないところも多数あります。
「親子間でセックスの話なんて無理!」というご家庭も多いとは思いますが、これも子どもの将来のためと考えて、一歩踏み出してみませんか?
性の多様性やジェンダー観をアップデート
親世代の常識でははかれないイマドキの性の多様性とジェンダー観
実は私たちも、つい数年前までは性の多様性をわかっていませんでした。わが子の将来について友人と話すとき、なんとなく異性のパートナーと結婚することを前提で話をしていました。その後、LGBTについて学んだ私たちは、同性のパートナーを連れてくる未来について想像してみるようになりました。さらに性の多様性まで学んだ今では、パートナーがいなくても自分が幸せならそれでいいな、と思っています。
また、学生の頃は漠然と「女性は出産・育児があるから男性と同等には働けない」と考えていました。確かに出産は女性にしかできませんが、育児は性別関係ありませんよね。子供のいる男性がキャリアを積み上げているのも、育児を引き受ける女性がいるから、という側面もあります。あたりまえに思っていた社会構造も、アップデートした目で見られるようになるといいですよね。
書籍『思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!』は10月2日発売です。