今こそHPVワクチンの話をしよう①~祝9価ワクチン承認~
今、未知のウイルスである新型コロナウイルスに対し、確実な治療薬もワクチンもまだないまま、世界中の人々が感染拡大を阻止すべく力をあわせています。同時に、治療薬もワクチンも世界中で開発研究が続けられています。
ウイルスはもともとは動植物の細胞から遺伝子をかかえて飛び出したものだそうですし、進化においても重要な役割を果たしてきたとのこと。しかし、病気をひきおこすウイルスも沢山あって、そういったウイルスと出会うたびに人類は、治療薬とワクチンを開発してきました。
そんなワクチンの一つがHPVワクチン。HPVとはヒトパピローマウイルスの頭文字をとったものですが、日本では子宮頸がんワクチンとも呼ばれています。
じつはこのHPVワクチン種類が色々あるのですが、最も効果の高い9価ワクチンはアメリカでは2014年に承認されたのに対し、日本ではなかなか承認されませんでした。異例の約5年という長い審査を経て。。。。
5月20日付で製造販売が承認されたと、本日報道がありました!!
この日を待っていました。
日本国内の子宮頸がんで亡くなる方は年々増えており、2018年に亡くなった方は2871名。そのうち、20~40代の方は555名。一方、今恐れられている新型コロナウイルスで亡くなった日本国内の方は5月22日発表で796名。比べてみるとわかるように、子宮頸がんで亡くなっている人、中でも若い女性はかなり多いのです。もちろん、数の問題だけではないですが。
あくまで今回は製造販売が承認されたとのことで定期接種で使えるようになるためにはまだ審議が必要とのことですが、スムーズに進むことを心から願っています。
また、世界的には女子だけではなく男子の接種も推奨されています。日本でも男子の定期接種の開始と、今まで打つ機会を逃してしまった世代への救済措置がすすむよう、世間の関心が高まって欲しい。しかし、HPVワクチンときくと「こわい副反応があるんでしょ??」と不安な方も多いのが現状。不安なまま接種を勧められても不信感が募ることと思います。少しでも不安が減って接種に前向きになって頂けるよう、これから数回にかけて子宮頸がんとHPVワクチンについて書いていくことにします。
9価ワクチンの承認については下記BuzzFeedの記事が詳しいです。HPVワクチンについては岩永直子さんが以前から科学的に正しい報道を続けていますのでおすすめです。
【2022.10.05追記 9価ワクチンの定期接種が決定しました!】
厚生労働省が2023年4月以降の早い時期から、9価ワクチンの定期接種開始を決定したとのことです。対象は2価、4価ワクチンと同様の小学6年生から高校生の女子を予定しているとのことです。
参考文献
中屋敷均著『ウイルスは生きている』 (講談社現代新書)
日本産婦人科学会HP「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
国立がん研究センターがん情報サービス「がんに関する統計のデータのダウンロード」https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html#incidence4pref
厚労省HP「新型コロナウイルスに関連した患者等の発生について(5月21日各自治体公表資料集計分)」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11453.html
BuzzFeed「HPVワクチンの9価ワクチン日本で承認 定期接種化の審議へ」https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/hpvv9-shonin