ナナホシマネジメントの視点~焼津水産化学工業株式会社への提案内容を踏まえて~②
皆様こんにちは。
今回は第2弾ということで、ナナホシマネジメントが焼津水産化学工業株式会社(以降焼津水産化学工業と表記)のどの点を問題視して投資をしたのか、簡単にまとめてみたいと思います。
まだ第1弾のNoteを御覧になっていない方おりましたら、こちらのNoteを御覧になってから、こちらをお読みただけるとよいと思います。
それではどうぞ。
■ナナホシマネジメントの視点
●問題視している点
ナナホシマネジメントが問題視をしているのは以下の通りです。
異常に低い株価のバリュエーション
PBR:0.5倍著しく低い中期経営計画の目標ROEの水準
ROE:5%目標非効率な資本政策による極端に高い自己資本比率
自己資本比率:89%多額の損害賠償を行った不正表示問題に関する不十分な開示
損害賠償金額:6億円不十分な気候変動リスク分析等に関する開示及び多額の別途積立金の計上→これについては解消予定
別途積立金:84億円極端に低い利益率の水産物セグメント
セグメント利益:1‐3%プライム市場上場を宣言した後にわずかな期間で撤回
4か月でプライム市場上場を撤回中期経営計画発表後の配当込みTOPIX対比の株主総利回り(TSR)
TSR:-27ポイント
簡単にまとめると、ナナホシマネジメントは焼津水産化学工業に対して以下のことを伝えたいのだと思います。
資本効率・資本コストを考えて経営している?
株主のこと考えて経営している?
上場企業として株価を上げるための努力をしてきたの?
上場企業として株主を考え、株価向上も踏まえて行動してほしいという思いが感じられます。
そして本件からナナホシマネジメントは以下の視点で銘柄を選定し、その企業をエンゲージメント・アクティビズムで解消し、株価を向上させるといったスタイルであることが伺えます。
市場価格よりも割安な状態で放置されている銘柄
-PBRが一倍割れ
-比較的他の機関投資家には放置されており、割安(低時価総額)
-自己資本が潤沢で、有利子負債の活用が出来ていない
-資本コスト以下の投資を行っている上記の割安な状態がエンゲージメント・アクティズムで解消できる可能性のある銘柄
ナナホシマネジメントの他社へのアクティビズム事例は今後も出てくると思いますので、引き続き注視をしながら、ナナホシマネジメントの考えを把握していきたいと思います。
●(補足①)ナナホシマネジメントのPBR分解について
以下の画像ですが、PBR1倍割れの要素分解としてわかりやすいと感じたので、こちらに記載しておきます。
●(補足②)ナナホシマネジメントの提案に対する焼津水産化学工業の意見
2023年5月22日に焼津水産化学工業は、ナナホシマネジメントからの株主提案に対して取締役会意見を公表しました。
ナナホシマネジメントからの提案については全て反対とのことですが、別途積立金に関しては取締役会決議で取り崩す旨の決議をしたとのことで、ナナホシマネジメントからの提案を受け入れております。
【関連資料】
・株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせ
今回は全2弾に分けて焼津水産化学工業への提案内容からわかる、ナナホシマネジメントの視点をまとめてみました。
本内容が皆様のお役に立つ情報となれば幸いです。