ISSの2024年版 日本向け議決権行使助言基準改訂動向
皆さん、こんにちは。
アクロポリス・アドバイザーズです。
今回は投資家の議決権行使判断に影響を与える、議決権行使助言会社であるISSの”2024年版 日本向け議決権行使助言基準改訂動向”についてお伝えしたいと思います。
■ISSの概要
ISS(正式名称:(Institutional Shareholder Services Inc.)は、株主総会議案の分析や各議案に対する賛否推奨のレポートの作成・提供を主要サービスとする議決権行使助言会社大手の一つで、現在はドイツ証券取引所の子会社です。
同社は各議案に対する賛否推奨判断の基準となる議決権行使助言基準を策定しており、日本のみならずアジア各国、ヨーロッパ各国、アメリカなど世界各国毎に議決権行使助言方針を策定しております。
ISSの議決権行使助言基準を参照し、議決権行使判断をする機関投資家や、議決権行使基準を策定する際のベンチマークとして活用している機関投資家も一定数存在しており、ISSの議決権行使助言基準の改定動向の把握は非常に重要です。
■2024年版 日本向け議決権行使助言基準改訂動向
今回の主たる改訂は以下2点となります。
① ROE5%基準の適用を再開
ISSは、資本生産性が低く(過去 5 期平均の自己資本利益率(ROE)が 5%を下回り)かつ改善傾向にない場合、経営トップである取締役(通常社長、会長)の選任議案に反対推奨するという基準を定めています。
上記基準は新型コロナウイルスの影響で、2020年より適用除外となっていましたが、本年より適用再開となりました。
② 買収防衛策関連議案の判断基準厳格化
ISSは買収防衛策導入・更新の議案が上程された場合、下記の条件を全て満たす場合を除き、原則として反対を推奨すると定めています。
従来は(第1段階:形式審査)の「総会後の取締役会に占める出席率に問題のない独立社外取締役が過半数である」が、「総会後の取締役会に占める出席率に問題のない独立社外取締役が2名以上かつ3分の1以上である」ことを賛成投票推奨の条件の一つとなっていたところ、この点が厳格化されました。
ISSの日本向け議決権行使助言基準については以下に全文記載されておりますので、興味ある方はご覧ください。
2024年 日本向け議決権行使助言基準
■おわりに
本日は機関投資家の議決権行使の判断に影響のある、ISSの2024年版 日本向け議決権行使助言基準改訂動向についてまとめました。
議決権行使助言会社については、その在り方について様々な議論はあるものの、現状は一定の影響力のある存在であり、その動向を把握しておくことは重要です。
本Noteが皆さまの企業価値向上の一助に繋がれば幸いです。