「脚力指数」説明書
1. 脚力指数とは
脚力指数とは、一言でまとめるとその名の通り、脚力を数値化した指数になります。もう少し別の言い方をすると、そのレースにおける打点の高さを数値化した指数になります。
これだけでは当然伝わらないと思うので、もう少し掘り下げて説明していきます。現代の競馬は概ね下図のように区間を分類することができます。
以前の競馬はギア2にあたる助走区間がほとんどなく、巡航区間からトップスピードに至る2段階の競馬をする競走馬作りが行われており、上がりの出せる馬=瞬発力のある馬が良しとされていました。
しかし、最近ではいわゆる直線だけの競馬をする追い込み馬は減ってきており、巡航区間とトップスピードの間に、巡航区間(ギア1)ほど遅くはないがトップスピード(ギア3)まではいかない、いわゆる半クラの状態を維持してトップスピードに持って行くための助走区間(ギア2)を走る馬作りが行われてきています。
そして、2歳・3歳の世代戦では、古馬戦とは違い、若駒たちの戦いということもあって基本的には折り合い重視で前半から速い展開になることはないので、ことさら助走区間→トップスピードでどれだけの脚を持続できるのかが重要になってきます。
脚力指数は、テンや巡航区間だけでなく、助走区間やトップスピード区間にも注目し、どれだけの脚をレース中に使えたのかを数値化したのかを指数にしたものになります。
2. レース評価と個体評価
現在、脚力指数は上記のように「レース評価」と「個体評価」の2項目に分けて脚力指数を出しています。ここでは、それぞれの性質について説明します。
☆「レース評価」
レースの公式ラップを基に、レース全体のレベルを表します。この数値が高いほど、レースそのもののレベルが高かったことを表し数値が低ければレースレベルが低いことを表します。
ただし、最初にも述べた通り、脚力指数はレース中にどれだけの脚を使えたのかその最大打点を表す指数になるため、テンのダッシュ区間からスピードが落ちずに、いわゆる前傾のハイペースになった際には最後に使えた脚力がその分なくなるため、脚力指数では低くなります。そのため、指数が低い=必ずしも低レベルレースだったわけではありませんが、概ね指数の大小がレースレベルを反映しているといえます。
☆「個体評価」
レースラップを用いたレース評価はあくまでも全体のレイアウトを示すのに対し、個体評価では、手動で計測した個別ラップ・レース中の位置取り(内から何頭目で追走したのか、コーナーでどれだけの距離ロスがあったのか)を加味した上で、1頭ごとに個別に指数化しています。そのため、より正確にそのレース内で発揮した脚力を測るのには、固体評価の指数が最適です。
ただし、基本的に脚力指数は最大打点を測るための指数であり、指数の性質上、前半で脚を消耗しやすい先行馬に比べて、脚をためて後半に一気にペースを上げる差し馬の方が指数が高くなる傾向があるため、コーナー通過順などと併せて評価することが大事です。
3. 脚力指数の使い方
ここから先は、私自身が予想をする際に、脚力指数をどのように活用しているのかについてご紹介いたします。
①固体評価の指数に注目する
まず初めに、シートを作成した後は脚力指数に注目します。レースラップを用いたレース評価とは違い、個別ラップを取った上でさらに補正タイムを加えたタイムを基に指数を算出しているため、かなり正確にその馬自身の脚力を反映しているため、基本的に固体評価の指数が上位の馬から順に評価をしていきます。
②レース評価との指数差に注目する
次に、固体評価とレース評価との指数差に注目します。傾向として、前半からかなりのハイペースで推移した場合を除き、レース評価が高ければ高いほどしっかりと流れたレースであることが多く、レース評価が低いと最後までそれほどペースがあがらなかったレースであることが多いです。
そのため、固体評価だけでなくレース評価も高い馬はある程度流れたペースの中でもしっかりと脚力を使えた馬であり、固体評価は高いがレース評価が低い馬は、スローペースの中でしっかりと脚力を使えた馬、ということになります。
未勝利であればほとんどがスローペースになりますが、上級条件になればある程度ペースは流れてくるので、レース評価自体もしっかりと確認する必要があります。
③コーナー通過順に注目する
ここから先は、同程度の指数の馬がいた場合、どのように順位をつけていくのかという部分になります。指数の性質上、先行馬は低く、差し馬は高く出やすい傾向にあるため、同程度の指数同士の馬がいた場合、基本的には前のポジションで競馬をした馬を上位に取ります。
④実際の映像で不利の有無を確認する
最後の仕上げとして、指数からピックした馬の実際の動きをレース映像を用いて確認します。個別ラップを取る際に位置取り補正はしていますが、不利があった際はそれを補正することは困難であるため、数値には反映していません。その脚力指数が力を最大限出し切った状態でマークしたものなのか、不利などにより最大パフォーマンスを発揮できなかったなかでマークした指数なのかによって評価の基準が変わってきます。
☆前走ハイレベル組のピックアップ
レース評価は高くても固体評価がそれほど高くない馬でも、次走で変わり身を示すことがあります。ハイレベル戦であれば当然、馬にかかる負荷は大きくなるため、ハイレベル戦を経由した馬の次走は相対的に負荷が楽になることが多く、変わり身を示すことがあります。穴馬をピックする場合、前走ハイレベル戦の馬の次走は1つの狙うタイミングになります。ただし、レースそのものにしっかりと追走できていたかどうかは確認しましょう。
<的中事例①>
2023/09/09 阪神3R:結果
圧倒的1人気が⑤ペンナヴェローチェだったが、指数面からそれほど高いパフォーマンスを発揮してはおらず、個体評価から注目は③ローザサンリヴァルと⑥アクアヴァーナル。特に⑥アクアヴァーナルはレース評価も高く、中京でコーナー押し上げのNG騎乗をしていたため、本命を◎⑥アクアヴァーナルに。
<的中事例②>
2023/09/10 中山1R:結果
ここは個体評価の高い馬がおらず、シンプルに個体評価+レース評価から◎⑯ホーリブライトを指名。大外枠から積極的に番手に取りつく競馬で見事に1着で、佐藤翔馬騎手のJRA初勝利。
<的中事例③>
2023/09/16 中山3R:結果
新馬戦の個体評価でS評価をマーク。予想にも書いた通り、2走目は距離延長で凡走だったため、距離短縮のここで狙い、見事に差し切り勝ち。
<的中事例④>
2023/10/08 東京3R:結果
ここは初めて★3推奨を出したレース。個体指数からも最上位だった馬が明らかな不利を受けており、不利が無ければここは頭でくるだろうとかなり自信を持てたレース。単勝2人気だったが、3.8倍もついてくれたので、迷わず単勝フルスイングができた。
<的中事例⑤>
2023/10/09 京都1R:結果
ここは少しトリッキーだが、個体評価では決して上位ではないものの、レースレベルとそのパフォーマンスから本命を選んだレース。前走のエンヤラヴフェイス組がハイレベル戦で、その際の各馬の評価が次の通り。
タイキヴァンクールに関しては短縮で狙っていたところ、しっかりと1F短縮+平坦コースの京都というまさに狙っていた条件替わりだったため、本命で狙った。
脚力指数はその馬の打点の高さを測れるので、人気馬の取捨もしっかりとできるのが特徴。期待値を取るために無条件で1人気は消し、ではなく、本当に人気に見合った強さがあるのかどうかを客観的に見れるので、本命党の方は人気馬が素直に強いレースを、穴党の方は人気馬の指数が低く逆らえそうなレースを選ぶことができます。自分がどのレンジを狙うかによっても、シートの活用方法が千差万別。
4. 予想配信スケジュール
シートの作成に時間がかかり、また、実際にシートを作成しなければ自信度の高いレースがどこなのかの判別もできないため、できる限り週中にシートを作成しておき、前日はフレッシュな状態で予想から入れる状態にしたいです。(目標!)
もちろん毎日勝つつもりで予想をしていますが、割と結果にムラがあるなと思い(当たるときは固め打ちのように的中連発で、当たらない時は1日を通してサッパリ)、元気な状態で予想をしているときは比較的当たっているな、という短絡的な結論に至りました。
そこで、1週間を競馬でルーティン化しようという結論になりました。
回顧に関しては、レースレベル判定と不利チェックを中心にしていこうと思いますが、こちらは工数の関係で、最適な形を随時模索していきます。なお、回顧はその日の予想noteに追記する形で掲載していきます。また、ここで不利の有無をチェックしておくことで、前日予想の段階での時短に繋がるとも考えています。
参考にしていただいている方に的中を届けられるよう、できる限りのことはしていくつもりですので、今後ともよろしくお願いいたします!