格闘ゲームで1人の男を倒す為に年末の全てを使った話
にゃん師さん「あくあ~、ローズ対アレックスってどうなん?」
この唐突な一言から全ては始まりました。
もはや大晦日の格ゲー恒例行事となった「TOPANGAコンセプトマッチ」
光栄な事に2022年の組み合わせ候補として名前を挙げてもらえたとの事で、あくあvsキチパのSFLスパーリングパートナー組でやらないかというお誘いでした。
まさか自分に声がかかるとは思わなかったので純粋に嬉しかったし、これから専業プロ目指して頑張っていこう(※)という中で、またとないチャンスだとも思ったので受けさせてもらう流れで話を進めていきました。
※参考↓
ただ、肝心のこの組み合わせに関する自信としては、正直に言って少しきついかな…と思ってました。
キチパとは元々仲も良くてボイチャを繋ぎながら対戦する事もあるし、攻略の共有なんかもしているので、キチパアレックスの強さは十分に理解していたし(実際SFLリーガーとのスパー勝率も高い)、キャラクターの組み合わせとしても若干ローズが不利だと感じていたからです。
とはいえやるからには当然勝ちたいし、注目を浴びる貴重な機会だとしても "勝たないと意味が無い" というつもりでいました。
▼当日までにやる事の洗い出し
まずは実際のスパーリングを始める前に、本番で勝つ為に準備する事の洗い出しから始めました。
①自分でアレックスを使ってキャラ理解を深める。
②アレックスを使ってローズと対戦する。
③生活リズムを夜型にする。(本番は21時開始)
④スパー相手のアレックス探し。
⑤アレックスとのスパースケジュール組み。
⑥キチパのローズ戦のリプレイは全部見る。
⑦SFLのアレックスの試合を見直してリーガー達の対策を真似する。
⑧本番付近でスパー相手のアレックスと10先模擬戦をする。
⑨10先を見てもらってセコンドのアドバイス練習もする。
⑩当日見る用の簡易メモを作成する。
ざっくりとまとめてこんな感じ。
本当はオフラインの練習もしたかったのですが、場と人を用意するのが難しかったのと、体調管理との兼ね合いも考えて今回は控えました。
そして、実際に動き始めたのは組み合わせが正式に決まった11月末頃。
正式に発表されるまでは本格的な練習も少し難しかったので、まずは出来る事からスタートしました。
①自分でアレックスを使ってキャラ理解を深める。
②アレックスを使ってローズと対戦する。
ローズからストVに復帰してほぼローズ1本だったので、他キャラを使う事自体がかなり久しぶりでした。
使い始めた当時はまだ公に10先の組み合わせが発表されていなかったし、勿論僕からも言える訳がないので
「なんでアレックス??」
「あくあさんも"キマ"っちまった…?」
などと言われていましたが、実は10先に向けてのちゃんとしたキャラ対だった訳です。
(でも楽しかった…)
今までは時間がかかるという事もあり、対策したいキャラを実際に使ってみるという事はあまりしていなかったのですが、これはやってみてとても良かったです。
客観的に見ると超強く見えるアレックスの地上戦も、横タメを維持しながら間合いを図るのが難しいし、屈中Pなどの単発技だけで戦っているとリターン負けする。
要所のシフト狩りが難しい場面や、小技からの火力の出しにくさなど、意外と使ってみると痒い所もあるなという事に気付けたし、起き攻めのネタや知識なども知る事が出来ました。
(ハイパーボッ!!!)
また、アレックスを使ってローズと対戦してみたら、ゲージがない時は玉がきついし、差し返しを狙うとタメが無くなって玉抜けできないし、ピエーデが色々とリターン負けするしで思ったより大変でした。
アレックス側がやりたい事、やられて嫌な事を体感できたのは凄い収穫だったので、今後も相手キャラを使ってみるという対策は可能な限り実践していきたいなと思いました。
(ディゲンヌゥゥ…)
③生活リズムを夜型にする。(本番は21時開始)
9月に仕事を辞めてからも、基本的には朝起きて昼前には配信をする生活を行っていました。
夜にゲームをするのも21時くらいまでにしていてあまり夜更かしはしていなかったのですが、それだと夜21時頃から始まる本番でのパフォーマンスに不安があったので、10先が終わるまでは生活リズムを夜型にする事にしました。
SFLなども基本的には夜遅めに試合があるので、おそらく他のプロゲーマー達も夜型にしているんだろうと思いますが、時には昼前から始まるオンライン大会などもあるので、この辺の生活リズムの管理はプロゲーマー活動をする上で重要だなと思いました。
④スパー相手のアレックス探し。
⑤アレックスとのスパースケジュール組み。
今回、本当に多くのアレックス使いの方々に協力して頂きました。
・Ares
・ガンファイト
・ストーム久保
・どぐら
・つだゆー
・もらお
・Glimmer
※敬称略
その中でも一番数多く対戦して頂いたのは Ares さんでした。
個人的な理想としては、なるべく多くの人と対戦しつつ、数をこなせて攻略情報も共有出来るメインパートナーを1人見つけたいなと思っていました。
なぜかと言うと、これは自分がSFLのスパー相手をしていた時にも感じていた事なのですが、ただ単純に対戦を重ねるよりも、なるべくスパー相手と攻略を共有して、お互いにキャラ対を詰めていけるようにした方が効率的だなと感じていたからです。
SFLスパーでも、ただ対戦の約束をして「ありがとうございました。またお願いします。」で終わる人が殆どで、ちょっと勿体ないなと思ってました。
(僕が大体配信していたので通話とか出来なかったのは申し訳なさもある)
そして、Aresさんとはスケジュールを確認したところほぼ毎日対戦をして頂ける事になったので、アレク側のローズ対策や対戦の感想などもなるべく伝えて、一緒にこの組み合わせを詰めていくような形で練習していきました。
最終的にはAresさんのローズ対策もかなり仕上がって、本番に向けてとても良い練習を行う事が出来たと思っています。
それ以外の方のアレックスも対策レベルなどは当然差があるのですが、それがむしろめっちゃ良い。
もしも、本番で予想外の動きをされた時にでも対応出来るように、慌てないようにと、あらゆるパターンのアレックス戦を練習する事が出来ました。
⑥キチパのローズ戦のリプレイは全部見る
リプレイを見る事自体は当たり前の事ではありますが、文字通り "全部" 見るようにしてました。
アレックスと対戦している時間よりも、リプレイを見てる時間の方が確実に長かったです。
・お互いのダメージソース、起点の洗い出し。
・トレモで調べる事項の洗い出し。
・対策の練習事項の洗い出し。
・手癖や連携などの人読みメモの更新。
などなどを毎日行ってました。
朝起きたらストV起動 → キチパのリプレイ鑑賞
寝る時はキチパ配信かスパー相手の配信アーカイブ鑑賞
が、完全にルーティンになっていました。
10先が終わってもしばらくはストVを起動すると手が勝手にStrongmonkeyのCFNを開いていました…。
⑦SFLのアレックスの試合を見直してリーガー達の対策を真似する。
これはローズでは無いにしても、SFLリーガー達のアレックス対策から吸収出来る部分があるだろうと思って実践した事です。
SFLのアレックス戦は全て見直したのですが、その中でも特に参考になったのは「ガチ君 vs ガンファイト」の試合でした。
実はこの試合のガチ君の動きが、本番の僕の動きのベースになっていたりします。
ざっくり言うと、適度に玉を打ちつつ、リスクを抑えた地上戦中心の戦い方でした。
アレックス側がリターンを取るのが中々難しそうで安定感がありました。
キャラは違ったとしても、一流のプレイヤーがしている対策は参考に出来る部分が必ずあるので、これも実践した甲斐がありました。
⑧本番付近でスパー相手のアレックスと10先模擬戦をする。
⑨10先を見てもらってセコンドのアドバイス練習もする。
今回、本番ではスマホを使用したセコンドの起用はアリとの事だったので、試合を見ながら客観的にアドバイスを貰うセコンド役として 冷血 にお願いをしました。
普段からローズの攻略も共有し合っていて、キチパの事もある程度理解しているので適任でした。
そんな冷血とのやり取りの中で、普段の攻略共有は問題無いものの、不安があったのは当日のセコンド内容。
・どういうアドバイスを貰うのが良いのか?
・そもそもどこに注目すべきなのか?
・アドバイスのボリュームはどの程度が適正なのか?
・タイムアウトを取るべきタイミングは?
などなど双方に不安があった為、スパーリングで10先の模擬練習を行う際に、ディスコードで試合を見てもらってリアルタイムでアドバイスを貰ったりしていました。
結論として、難しい事を言われても対応は出来ないし、数多くの事を言われても混乱してしまうので、
・元々やろうとしていたはずなのに忘れている事
・勝敗の起点になっている部分
・相手が困っていそうな事
この辺りに集中してなるべく簡単なアドバイスを貰うくらいが丁度いいという感触になりました。
そして、実際に本番で行っていたやり取りは↓
具体的なアドバイスが助かったのは勿論、押しつぶされそうな緊張感の中でも、1人で戦っている孤独感も無くてメンタル的にも良かったです。
一緒に戦ってくれてありがとう。
⑩当日見る用の簡易メモを作成する。
基本的に全て頭に入っているつもりでしたが、ついつい忘れがちな事とか慌てた時に疎かになりがちな事を重点的にメモ。
試合の合間合間は常にこれを見返していました。
メモの内容によって助けられたという事はそこまで無かったですが、当日に見返せるものがあると精神安定的に良かった感がありました。
・そして、本番
やれるだけの事はやった。準備もした。
あとはお互いにそれをぶつける答え合わせ。
結果が出てしまうのは怖いけど、答え合わせは純粋に楽しみでした。
何より楽しみにしてくれる人の為にも "良い試合" をしたいなという想いが強かった。
そして、結果は無事に勝利。
勝利の要因は、お互いに持ってきた戦略がこっち側に嚙み合っていたという印象。
どっぷり地上戦でリターン勝ち狙い。
キチパも自信があるのが肌で感じ取れるほど良い動きをしていたけれど、こちら側も想定を超える動きが出来たと思う。
とはいえ本当にギリギリの戦いだったので、今回はたまたま自分が先に10試合取れたという印象。
本当に良い内容の10先だったと思う。
まだ試合を見ていない方がいれば、是非アーカイブを見てくれると嬉しいです。
・最後に
今回の10先を経験して、練習段階は本当にしんどかったけど、それを乗り越えたおかげでプレイヤーとして大きく成長出来たと思っています。
単純な実力アップはもちろんとして、本番に向けての取り組み方や考え方、仲間との協力方法など実際にやらないと分からない事だらけでした。
改めて声をかけてくれたにゃん師さん。
スパーリングに付き合ってくれた皆さん。
対戦してくれたキチパ。
そして、応援してくれた方々、本当にありがとうございました。
これからも更に応援してもらえる舞台に立てるように頑張っていきます!
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