【スペシャルインタビュー】特別展「やまと絵 -受け継がれる王朝の美-」音声ガイド解説ナレーター・石澤典夫さん
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東京国立博物館 平成館にて、特別展「やまと絵―受け継がれる王朝の美―」が開催中です(~2023年12月3日まで)。夏木マリさんとともに音声ガイドを担当するのは、元NHKエグゼクティブアナウンサーの石澤典夫さん。ナレーション収録後、特別にお話を伺うことができました。
―音声ガイド収録を終えて、いかがでしたか?
石澤さん まさしくお宝の数々!目を見張るものばかりで、驚きの連続です。連綿と続いてきた日本の美の神髄みたいなものがわかる展覧会になっているのかなと思います。展覧会の音声ガイドの場合は、お客様と一緒に並行して歩いていく、あるいは半歩先を歩きながら、「こっち、こっち」と誘導するように、そんなつもりでナレーションしています。ある種のリズム、テンポも必要かなと思いながら、読ませていただきました。普段のナレーション番組とは、そこは意識して変えているつもりです。
―音声ガイドで紹介した中で、気になる作品はありましたか?
石澤さん やはり、四大絵巻は必須かなと思います。特に「源氏物語絵巻」ですね。あの絵を見るだけで、詞書が浮かんでくる。『源氏物語』そのものは、誰もが知っているでしょう。国民の多くが知っていて、なおかつみんなが共有できる財産なんて、世界中を探してもそうはないと思うのですよね。素晴らしいと思います。それともう一つ気になったのは、お公家さんがずらりと並んでいる、「公家列影図」(重要文化財、鎌倉時代・13世紀、京都国立博物館所蔵。展示期間:10/11~11/5)です。あれは、私は見ていて、これは現代アートと通じるんじゃないかなと、そう思うくらいのインパクトが感じられました。全部一緒のようでいて、アップで見るとひとりひとり実は全然一緒じゃない。そこからまた物語が広がっていくように楽しめる作品だなと思いました。
―音声ガイドをお聞きになるお客様へ、メッセージをお願いします。
石澤さん 「やまと絵」という言葉を聞くと、「雅」だとか「奥ゆかしい」とか、そんなイメージを持たれるかもしれません。でも、今回展示されている一つ一つの作品を見ていくと、そんな表面的な優しさではなくて、非常に「先鋭的」と言いましょうか・・・。その時々、最新の流行・風俗を取り込んで、新しいものを作っていこうという、時代時代の先端を走ってきた作品たちなんですね。そういう意識でもう一回見直してみると、私たち日本人の心の中に連綿と受け継がれてきた美意識の根源みたいなものが見えてくるのかなと思います。非常に革新的だと思います。ですから皆さん、「やまと絵」という言葉の響きに騙されないように!ぜひ会場で実際に見て、お楽しみください。
―石澤さん、素敵なお話をどうもありがとうございました!
特別展「やまと絵―受け継がれる王朝の美―」では、本記事内で紹介したもの以外にも、教科書や美術全集などでおなじみの作品が一堂に集結。開催期間中、展示替えがありますので、何度も足を運んで楽しみたいですね。(ウエムラ)
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