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監査法人に入れなかった公認会計士の過ごし方

Xで公認会計士のキャリアになって話題になっていたので、監査をしたことがない会計士のキャリアの一例として私の話をしてみようと思います。

私は、2009年に公認会計士試験の2次試験に合格しました。
勉強は2007年から開始し、当時は試験制度の改定やJ-SOXのバブルもあったことから、合格したら当然のように監査法人に入れるものと思っていました。

しかしながら2008年の大量採用を最後に状況は一変し、2009年の就職活動は厳しいものでした。補習所の同じクラスの人たち(30人〜40人程度)は私を含め半分位が監査法人に入れていなかったように記憶しています。
事業会社や税理士法人、銀行に就職する方が多かった記憶です。

仕事も決まらず暇だったのと、就職活動の一助になるかもしれないと思いがんばってTOEICで860点を取ったのですが、全く役に立ちませんでした。笑

1.初めての就職(1社目) 〜税理士法人編〜

私は半年くらい就職活動を行い、最後は中小の税理士法人に拾ってもらいなんとか社会人人生を開始しました。

そこで4年半ほど記帳代行、税務顧問・税務申告業務、公益法人の制度移行支援、たまにValuationの手伝いなどをしていました。

幸い、社内には優秀な会計士・税理士の先輩が多くいらっしゃったので、多くのことをここで学び、会計士登録のために必要な監査業務の手配もしていただけました。ただ、業務ボリュームは多く終電は当たり前、1年目から裁量労働制、給与は年360万円〜450万円(最後)となかなか苦しい生活だったことを思い出します(笑)。
社会人としての基礎を学ばせてもらい、就職難の中拾ってもらった恩を今でも感じています。

2.初めての転職活動 〜監査かコンサルか編〜

1社目の税理士法人で行っていた一つのメイン業務である公益法人の制度移行が一段落し、これから税理士として生きていくのか、別の道を歩みたいのかを考える機会となりました。なかなか給与面でも見通しが立てにくい状況だったので、複数の転職エージェントに登録し転職活動を開始しました。

ここでもかなり転職活動に苦戦しました。思い返してみると、がむしゃらに業務を頑張ったつもりであった一方、漠然と税理士法人の4年半を過ごして来てしまったので、ネクストキャリアに対する準備という+αを全く持っていなかったのが痛かったように思います。
監査法人とコンサルティングファームの2種類で転職活動を行っていたのですが、自分が本当にどちらをやりたいのか分からないし、実際のところどっちでもいいから内定を貰えたところにいこう、位のスタンスだったので上手くいかないのは当たり前だと思います。苦笑

最終的にはBig4の監査法人から1つ、コンサルティングファームから1つ内定をいただくことができ、コンサルティングファームの方を選択しました。
監査法人で監査をするというのは公認会計士としての基本の業務ではあるので、その道を捨てることはかなり悩みましたが、最終的にはクライアントサイドで仕事をするコンサルの方が面白く感じたので、コンサルティングファームを選びました。
ここで、監査をしたことのない会計士人生が確定することになります。。笑

3.転職後のプロジェクト 〜初めての海外駐在〜

この会社では、あるグローバル企業のグループERPシステム移行(Migration)プロジェクトにアサインされ、TOEICの点数が良かったことから、運良くシンガポール駐在の機会を得ました。海外で仕事をすることに憧れていたので、会計士試験後にふてくされながらTOEICの勉強をしていて本当に良かったなと思います。

ただ、TOEICの点数がちょっと良いからと言って英語で業務ができるわけもなく、必死にキャッチアップすることになります。初めての英語のMtg.では、心臓が飛び出しそうになりながらパワポに書いてある文字を読み上げることしかできなかったのですが、相手からOkayと返事を貰ったときはとても安堵したことを今でも覚えています。

また、プロジェクトの中では、各海外子会社の監査人からのフィードバックを受けて仕様を確定する場面があったのですが、子会社監査人が言っていることの趣旨を監査論的な観点で整理し、実務的な落とし所を提案するにあたっては会計士試験の勉強が役に立ちました。こういったシステム導入系のプロジェクトだと、ERPシステムには精通しているけれども会計・監査の実務は明るくないといったメンバーも含まれますので、自分の得意な領域でプロジェクトに貢献できることは嬉しく思っていました。

その後このプロジェクトが終わり、紹介で2回目の転職をすることになります。

4.2回目の転職 〜よりグローバルになりたい編〜

その後、現職の転職先のOBの方と知り合う機会があり、紹介を受けて転職をすることになります。
現在の会社は、U.Sが本社のコンサルティングファームで、SOXや会計業務周り・FP&A周りの支援を中心に行っており、7年程在籍しています。
日常的にグローバルプロジェクトが存在しており、コロナ禍などで海外出張はかなり減っていますが、楽しく仕事をしています。

結構長くなってしまったのでここは別の機会に差し支えない範囲で書きたいと思います。

5.監査未経験の会計士って結局どうなの? 〜1つの例編〜

私は時期的な状況&自分の就活能力の不足によって結局監査法人に入らないキャリアを選択することになりました。
一番最初に会計士試験を受けようと思った動機が「突破すればある程度の給与水準で就職できる」ということだったので、結論今のキャリアで(私は)正解だったなと思っています。給与水準的にも監査法人に入って15年間順調にプロモーションしたところくらいまでは追いつけたのかなと思います。

公認会計士試験では、会計・監査だけでなく会社法や税務も学ぶことになりますが、このあたりの一連の知識を高強度でインプットすることができるという点でとても良いツールだと思いますし、ビジネス知識のベースとしてはかなり活用の幅が広いものだと思っています。
監査法人に入って公認会計士の本分である監査を行うことはファーストキャリアとして一番正解に近い道だとは思います。一方で、それ以外の道を選んだとしても会計試験を通じて学んだことは、様々な場面で活かすことができるのも一つの事実です。
これから自分のキャリアを考えようと思っている方がもしこれをご覧になっていたら、ぜひ広い視野で自分の進みたい道を考えてみてください。





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