ガチャガチャと口が立つ娘

大人でも付き合い方が難しい射幸心。
子供が初めて出会うそれは、「ガチャガチャ」であることが多いのではないだろうか。

四角い本体に表示してある写真は魅力的に見えるが、
大写しにしてあるそのおもちゃは数ある景品のひとつでしかなく
そのほかにただのケースみたいなものや、しょぼいバッヂみたいなものが含まれていて、何が出るかはわからない。
親としては、あのしょぼいものに300円も500円も払いたくはない(最近のガチャガチャ高いよね?)

でも、その一方で、
「何が出るかな」
とワクワクしながらコインを入れて、ガチャガチャっとまわす、あの気持ちも味わっていいものかなとも思う。

なので、娘には、少し遠出したときや、
何か頑張ったあととか、そういうときは「回してもいい」ことにしている。一回だけ。

「これは、本当に欲しい物が出るとは限らない」
「表示をよく見ること。隅の方に目立たず書いてある、これも入っていて、これらが出ることのほうが多いよ」

「ちなみに、これは300円する。4,5回我慢したら、小さいレゴなら買えるお金だよ」(娘はレゴが大好き)

と何度も話した。
娘は、ガチャガチャを見るとたいていやりたがるが、
そのあとしっかりと表示を見るようになり、
「それでもやる」「今日は我慢する」「我慢したのがたまったら、小さいレゴを買ってほしい」と交渉するまでになってきた。

とある日、外出先で娘がお菓子をねだってきた。
夕方のご飯前であり、お菓子は家に十分あったのでお断り。
機嫌が少し悪くなり、スーパーの前にあったガチャガチャを見て、これをやりたいとごねた。
いつもならただの買い物の日なんかにやらせてもらえないとわかっていて、言ってもこないので、
まぁ機嫌が悪かったのだろう。
こちらも急いでいて、少しイライラしていた。
ので、もちろん、断った。

娘はキーキー言っていた。

「もう、キーキー言わないでくれない?」

と私が言うと

「私はさ?お菓子が欲しくて、ガチャガチャもしたかったの。そういう、やりたいなって気持ちを全部ダメだよっていわれたわけ。でも、それでちゃんと諦めたじゃん?でも悲しい気持ちじゃん。キーキーくらい言ってもいいと思う」

と返された。

おお、5歳児、いっちょまえだわ。
確かにそうだわ。
諦めざるを得ないとわかっていても、心を落ち着かせるには何らかのアクションがいるよね。
大人なら、お金を使ったりして自分の機嫌をとったり
自分の心地いいスケジュールで過ごしたり出来るけれど

子供は自分の気持ちを切り替えていくのに手段が本当に少ないんだなと思った。
キーキー言うくらいのことを、咎めるべきではなかったと、謝った。

そして一緒に「お菓子食べたかったね」「プリキュアのガチャガチャやりたかったねー」と言いながら帰った。

途中まではいい感じだったが、
寄り添っていることに私が気持ちよくなってきた頃
「悪いけど、もうその話やめてくれない?思い出すから」

と娘に言われて家についた。

母、なんていうか、負け続けである。
思春期が怖い。

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