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夜毎のギフト

先週、私は誕生日を迎えた。
その日は平日で、子供たちをお迎えに行き、夫の帰りは遅い。

(なんか…誕生日なのに、自分でごちそう作って、洗い物とか…したくない…)

そんな理由で子供たちにマックでの『ジャンクパーティ』をもちかけ
150円定額のLサイズポテトと30%オフのナゲットどっさりと
ハワイアンなバーガーとカラフルなドリンクたちをテイクアウトして帰宅した。
片付けのないチューハイ片手の母も子供も上機嫌。

いつになくふざけて悪乗りして、舌も滑らかにしゃべり続ける私。
なんのきっかけか、小学校3先生の担任の五十嵐先生が素敵で面白い先生で大好きで
『ガラスの仮面』を教えてくれて学校でどっさり貸してくれたこととか
先生のお家に何人かで遊びに行かせてもらったことや
一人暮らしのお家が火事になって大変だったらしい話なんかをぺらぺら喋り続けてた。


その時、五十嵐先生が授業の合間に読んでくれていたトットちゃんのお話を思い出して、子供たちに知っているか聞いてみた。
そうすると「しらなーい」と。
あのお話を聴いた小3の私と、同い年の息子がいま聴いたらどう感じるんだろうと思った。
それを機に「じゃあおかーさんが寝る前に読んだげるよ!ね!」と半ば強引に読み始める約束をした。

子供たちにとってはちょっとした迷惑。
「トットちゃん?」(誰それ)
表紙をみて「この女の子だれ?」(つまんなそう)
「わたし絵のある本がいいんだけど」(めんどくさそう…)
「また昭和の話かよ!」(おかーさんの話ながい…)

でも。すごいよねトットちゃん。さすがトットちゃん。
トットちゃんが洗足池の小学校にチンドン屋さんを呼び込んで、窓から燕に話しかけ、机をパタパタしつづけた話で、もう心わしづかみ。
電車の教室に憧れ、汲み取り式トイレが何か知らない子供たちも衝撃で、目を真ん丸にしながらげらげら笑ってる。
読み始めて一週間、ここのところ寝る前は
「今日もトットちゃん読んでー!」と言いながら急いで寝る支度をして
子供部屋の二段ベッドに駆けていく。

発達障害を抱える兄妹の目にトットちゃんはどう映るんだろうか、と少し心配になったこともある。
周囲から浮いて奇異に見られることもある姿に自分を重ねるんだろうか。
でも最初はちょっと引き気味だった息子もしっかり彼女のファン。
トキワ学園での日々に憧れている。
30年前に小学生だった私ですら憧れたんだから、今の、より窮屈な学校生活を送っている小学生には夢のようでしかないよなぁ。
そして校長先生が本当に素敵。
読みながら大人になった私が、都度ハッとさせられる。
私もこんな風に子供たちに自信をもたせてのびのびと育ててあげたいな。

ワンオペ育児でキリキリしすぎて、いつの間にか寝る前の絵本の時間がなくなった。
春に二段ベッドを買ってから、より親子の住み分けをするようになった。
今年の私の誕生日のギフトは、この子供たちとの寝る前のトットちゃんタイムなのかも。
私も目をキラキラさせながら話を聴いてくれる子供たちを見られるのが嬉しい。
素敵なキラキラママなんかじゃ全然なくなたって、やっぱりそういうの嬉しい。


9月下旬にはトットちゃんのお話は読み終わる。
その次に読んであげられる本をぼちぼち探し始めないとな…と少し思い始めてる。

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