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8月16日(金)日記 眠れない夜とカレーの匂い

私がだいたい眠れる方法、というのがある。まっすぐ仰向けになって、力を入れずに優しく目をつむり、胃の上のあたりで手を組む。そうしたら、ゆっくりと深呼吸を繰り返す。できるだけ深く。不眠気味のとき以外は、だいたいこの方法で眠ることができる。

ところが昨晩、この状態でどれだけ深呼吸を繰り返しても、眠れなくなった。どれだけゆっくり息を吸い込んで、ゆっくり吐き出しても、いっこうに眠気を感じることはなく、ただまぶたの裏で蓋をされた暗闇を見つめることしかできなかった。

そうしているうちにだんだん、眠れているのか、眠れていないのか、その境目がわからなくなってきた。夢と現実の区別がつかない。調子のいいときは眠りに落ちていく感覚がわかるのだけれど、昨晩はどちらともいえない状態がずっと続いた。

途中で時計を確認すると、急に1時間ほど過ぎたタイミングがあったので、少なくとも1時間ほどは眠っていたようだった。でもそこからまた、眠れない。ただ時間が過ぎていく。するとスマホが鳴り、LINEに石井ゆかりの星占いが届いた。これは、朝7時の訪れを意味する。

そこで私は諦めた。もう起きよう。一旦、一旦起きよう。このまま起きて原稿を終わらせてしまえば、そのあと昼寝ができる。幸いお盆休み中のクライアントが多いから、連絡がいくつも来ることはないだろう。そう考えながら体を起こして、冷蔵庫から取り出した飲み物を持って、自室へ行った。

ところが、原稿は2時間ほどで終わってしまった。こういうときばかり捗るのはなんなのか。朝方というわけではない。普段は昼ごろに起きることが多い。それに、原稿は捗ったものの、それ以外のことをする気力はまるで起きなかった。

今度こそ眠ろう。眠れるはず。もう朝だけど、原稿も終わっているし、もうひと眠りして昼すぎに起きよう。そう思って再びベッドへ向かった。

ところがまた眠れない。原稿を書くために多少頭を使ったにもかかわらず、眠れない。外も明るくなってしまった。強い勢力を持った台風によって外は大荒れになると聞いていたけど、その気配もなく、鳥が鳴いている声だけが聞こえた。

しかしそれから少しして、すとんと眠りに落ちた。入れ替わりのタイミングで夫が起きたようだったけど、私はせっかく感じた眠気を逃すまいと、そのまま眠ることにした。

何時間経っただろうか、カレーの匂いがした。そういえば夫が昨日、「明日はカレーを作る」と言っていた。

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