御伽噺雑記
8/15にバーチャル舞台劇御伽噺(染)(ぜんと読むらしい)なるものを見てきたため雑に感想を書いていこうと思う。
ネタバレ禁止のため、ネタバレには触れない。
総評
細々とした言いたいことは多くあるが、観劇した総評としては良かった。そもそもVSinger(広義のVTuber)がフル3DCGで演劇をするのは珍しく(キズナアイが声優に挑戦した事例は声の出演であったし、VTuberの映画出演として白爪草があるがあれは舞台という枠組みではなかった)(ミーハー並感)、それを見れただけでも収穫であった。
演技も中々に仕上がっており、VSingerの本領発揮ともいえるポエトリー調の挿入歌も良かった。抑揚をつけることで感情を表出させようとする様が伝わってきた。
ストーリーに関してはやや雑味なところもあるがまあ後編に期待。SFや時系列バラバラな作品に慣れている人は単語が独特なだけでそこまで難解には感じなかっただろう。エヴァかそうでないか論争が散見されたが、各々が己の通ってきたオタク作品を披露しているだけなので気にしなくてよい。ただし冒頭3分は本当にエヴァだった。
染は本当に登場人物紹介と序章という感じだったので後編に期待。
バーチャル舞台劇として
(普段バーチャルリアリティをこねこねしてるのでこういうことも考えないといけない)
そもそも舞台とは物語を人間(+美術)が演じ、舞台上であたかも実際に事象が起きているように見せる営みであり、舞台そのものがバーチャルリアリティ的である。従ってバーチャル舞台劇≒バーチャルバーチャルリアリティという面白い構図になっている。ここで一つ小話としてそもそもバーチャルリアリティという語は劇作家のアルトーが演劇に関するエッセイにて造語したとされている(今のバーチャルリアリティとは違う使われ方)。
これではただの言葉遊びだが、フル3Dでやる以上舞台という枠組みを設定する必要などなく3Dアニメーションや3Dゲームのように、古城や草原、ダンジョンなどに立って四方八方に(透明な)カメラを置けばよく、上手や下手、スポットライトなどは必要ない。そこをあえて、演者を退場させたり、観客に説明的に語りかけたり、"舞台的"にやっていたのが面白かった。
普段あまり演劇を見ないので、モブの動きが弱かった(モブの動きの意味付けが弱い)という意見を聞いてナルホドとは思ったが、演劇初心者としてはいまこのシーンにおける主人公がスポットライトで強調されることによって分かりやすくなっていたとは思う。あとこれは全人類言っていたが、字幕は上に書け。観劇におけるUXを考えろ。字幕が出るたびに観客の背筋がピンとなっていて面白かったぞ。
あえてVTuber(ここではVSingerとは書かない)を起用して舞台という枠組みを与えたことそのものに価値があった。VRChatでは演劇が日夜行われているので同じ方法では1mmも先駆的ではなかった。
しかし、じゃあ先進性以外舞台を使う意義はどこにあるのかと問われるといまだに回答が出せない。エンタメとVRに関わるものとしてここはいずれ言語化しておきたいがまあ観劇当日くらいは「魔女たちかっこかわいいやったー!」で許してはもらえないだろうか。なんかここをうまく言語化できる人がいたら教えてほしい。
最後に一言:ミステリーボックスとは何だったのか