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【今更聞けない・今だから聞きたい】演技のアレコレ術!~其の1「演技の基礎」を知ろう~
これからいくつかのテーマに分けて、演技初心者から経験者まで、「知りたかった!」「知らなかった!」と思ってもらえるような演技のアレコレをお届けします。
内容は基本的なことが多いですが、役者を目指している方だけでなく、お芝居に興味がある方や、趣味でちょっとやってみたい方にも役立つ情報をお伝えできればと思っています。
さて、初回のテーマは・・・
演技の基礎を知ろう!
「いや、知ってるし!」と思った方も、せっかくなので「こんな見方もあるんだ」と思いながら少しお付き合いいただければ嬉しいです。
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① 演技は「つながり」であり「コミュニケーション」
「演技」と聞いて、何を思い浮かべますか?
「演技=台詞」
「演技=○○のフリ」
特に「台詞を喋る」と思う方が多いかもしれません。
実際、台詞のある役は目立つし、出番も多く、何よりおいしい役どころが多いですよね。
正直、僕も最初に台本をもらうと、自分の台詞の数を数えたことがあります(笑)。
また、事務所でも「台詞のある役だよ!」と強調されることがよくあります。
こういった背景から、演技では「台詞」がやたらと重要視されがちです。
その結果、「どんな風に台詞を言おう」「どんな感情で言おう」「抑揚をどう付けよう」など、台詞の言い方ばかりに意識が集中してしまいます。
しかし、少し視点を変えてみましょう。
普段、人と会話するとき、「感情を込めよう!」とか「抑揚をつけよう!」と意識して話しますか?
あまり意識しませんよね。
ここで有名な【メラビアンの法則】をご紹介します。
コミュニケーションにおける情報の伝わり方は、以下の割合と言われています。
言語情報(台詞など):7%
聴覚情報(声のトーンや抑揚):38%
視覚情報(表情や動作):55%
つまり、日常会話では、台詞(言語情報)は全体の7%に過ぎません。
これをお芝居に置き換えるとどうでしょう?
台詞に過度に依存してしまうと、不自然な「作りもの感」が出てしまいます。これが、よく言われる「○○のフリ」になりがちな原因です。
本当に大切なのは、役と役とのつながりや、コミュニケーションを通じて物語を紡ぐことです。
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② 相手に意識を向ける
面白い話をするのは好きですか? 僕は大好きです(笑)。
例えば、友達に面白い話をしたとき、「ウケてるかな?」「スベってる?」と相手の反応を見ませんか?
笑っていたら嬉しくなって、さらに面白いことを言おうと思う。逆にスベっていたら次の手を考える――
これも立派なコミュニケーションですよね。
演技でもこれと同じことが言えます。
台詞を言ったあと、相手の反応をちゃんと見ていますか?
そもそも、台詞を言う前に相手を見ていますか?
相手の反応があるから、自分の反応が生まれ、それがまた次の相手の反応を引き出す。
この繰り返しが、お芝居をリアルにし、観客に「本物だ」と感じさせます。
僕の教室では、その練習として「にらめっこ」を取り入れています。
相手を笑わせる、または笑わないように我慢する――お互いに全力で向き合うことで、自然な反応を引き出す練習になります。
その後、シーンに挑戦してみると、「自分がどれだけ決めつけた演技をしていたか」に気づくことができるでしょう。
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③ 台詞を道具として使う
もちろん、台詞は大切です。
ストーリーの要ですし、台詞がなければ物語の内容は伝わりません。
だからこそ、滑舌や発声の練習も必要です。ただし、台詞だけに依存しないことが重要です。
基礎練習といえば「発声・滑舌」がメインですが、相手役とのつながりをつくる練習も同じくらい大切です。これを怠ると「形だけの演技」や「予定調和」になってしまいます。
にらめっこの練習を通じて、相手の表情や動作など、ちょっとした変化を感じ取れるようになってきたら、台詞の感覚も変わるはずです。
その上で一番大切にして欲しいこと、それは…
「自由に感じたものを素直に出せるように!」
あなたがその瞬間感じた事を感じたままに出せるように練習に取り組んで欲しいです!
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【まとめ】
演技で大切なのは、相手役とのつながりとコミュニケーション。
相手に全集中して、その瞬間感じたことを素直に返す。
台詞はコミュニケーションの一部として扱う。
演技に行き詰まっている方や、これから始めてみようと思っている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
次回は「行動」や「全身を使った演技」について深掘りしていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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