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【議論】神戸市のタワマン規制について 大事なのはタワマンの資産価値ではなく、将来のまちの価値です。


神戸のタワマン規制が、また話題になっている

最近、何かと記事が増えた神戸のタワーマンション規制。8月21日に朝日放送のモーニングショーで取り上げられたのもまた反響を呼んでいるようですね。見てなかった・・・

そしてそれを受けて記事が出てきたりしています。

このダイヤモンドの記事に関してはタイトルが反論的なものになっていますが、中はそこそこ多角的に検討していて、そうだなと思いながらも、本質はそこじゃない!って思いながら読んでました。
なので今回は私がコーディネートした記録というよりは、このタワマン規制の本質について神戸の都市計画に携わった経験から書いていきます。

タワーマンション規制の本質は、タワーマンションにあらず

以下は神戸市の公式noteの記事ですがここにも書いてあるように大事なのはタワーマンション単体が資産価値を残すかどうかよりも、町全体が生き残るかどうかが大事なんです。

タワマンの規制に関しては大きく2つの論点があります。
①タワマンは将来廃墟化するのか、資産価値を上げて選ばれ続けるのか
②タワマンがまち全体にとってプラスになるのかマイナスになるのか
これについて私の思いをまとめて行こうと思います。

タワマンは将来廃墟化するのか、資産価値を上げて選ばれ続けるのか

まず①タワマンは将来廃墟化するのか、資産価値を上げて選ばれ続けるのかについては2年半ほど前に記事を書いていますが、下駄履きの分譲タワーマンションが一番廃墟化するリスクがあると思います。

ただ、ちゃんとした業者が設計・施工したタワーマンションであれば、設備改修しながらだと50年は楽勝、さらには100年でも持ちます。
なので、立地が最重要ですね。要するに人口が減らない立地であればなんとかなる。増える立地なら建て替えも可能です。
このタワマン規制の議論をすると必ず東京や大阪のタワマンの話が出てきて、タワマン大丈夫!という議論がでるのですが、神戸は人口減っていくことを想定している街なのでちゃんと減るリスクを今のうちから対応しようとしています。東京はそのリスク(人口減少)を考えるのは今はまだ不要だなと私も思います。ただし災害等の外的要因があるので絶対大丈夫なんてないんですが…

じゃあ神戸で建てたタワマンは廃墟化するの?と聞かれたら、答えるためには、この次の将来に向けたまちづくりの議論をしなければなりません。
結論から言うと今、タワマン建設を推奨すれば、将来は廃墟化するでしょう。それがなぜかということを、メディアなどではあまり語られていないまちづくり(都市計画)の観点から説明します。

タワマンがまち全体にとってプラスになるのかマイナスになるのか

神戸がタワマンを規制したのは三宮駅の周辺部、つまり神戸市の中心部だけなのです。なぜ他の場所は規制しないのか、それにはちゃんと街全体を捉えた理由があります。

まず、街の価値って色んなもので定義されますが、全国の自治体が追い求めている成果は定住人口です。「人口が増える=まちが反映する」という超簡単な図式ですが、実際に人口が減ってしまい過疎化すると何もできなくなってしまいます。
じゃあどうやって定住人口を増やすのか?

人口増加施策の関係で財政部門が真っ先に口にするのが「タワーマンションを建設する」という方法です。高所得者(高額納税者)の移住が見込めるからです。「タワマン建設=人口増加」、「タワマン建設=税収増加」ってことですが、これってロジック的に合ってます?
このロジックが通じるのは都市圏だけです。東京、大阪などの大都市圏とその通勤エリアだけの話です。田舎にタワマン建てたらだれも買わないでしょう。
大都市に通勤する会社員がわんさか居て、少しでも便利な住居を選びたいと思っている人たちがわんさか居る場所だからタワマンが選ばれるし、投資価値もあるんですよね。
じゃあ、神戸はどうだと言えば、立派な大阪都市圏の通勤エリアです。JRを使ってたった23分で三ノ宮駅から大阪駅まで行けます。

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なので、「今」、タワマンを神戸の都心部(三宮駅周辺)に建てたら、めちゃくちゃ売れると思いますし、しばらくは資産価値が向上するでしょうね。高額納税者の移住も増え、税収も上がるでしょう。
ただそれが20年、30年、50年と先まで続くのか?と言われれば「無理!」だと思います。

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