つれづれ弓道:伝統的なものと新しいもの
伝統の中の新素材
弓道はとても伝統的な武道に思えるが、道具などは今どきだったりする。
弓。カーボンの弓が主流だ。グラスファイバーの弓もあるが、カーボンのほうが人気な気がする。
学生は基本的に新素材の弓を使ってるし、弓道始めてからそこそこの段位になるまでもお世話になる。扱いやすく、故障も少ないので弓道人口の大半は使っていると思う。
高段者になると竹製の弓を使うが、この竹弓にもカーボンを内蔵させた弓がある。カーボンを内蔵することによって矢の勢いが衰えず、安定した使い勝手が得られる。こう書くと性能が良く、悪いことがないように思えるが、それなりに賛否両論だ。値段も高くなるし。
やはり伝統的な竹のみが良いとか、カーボンが入っている分、衝撃が大きいとか。
矢。矢も同じように伝統的なものは竹でできた矢だが、メジャーなのはジュラルミンかカーボンだ。カーボンの方がやや高価で上級者向けとなっている。詳しくは省くけど、カーボンのほうが軽くて、しなりが戻る力が強くて安定して飛んでいく。
そう言えば矢の羽だけはいまだに人工物ではなくて本物の羽が使われている。なぜ羽だけは新素材が出てこないんだろう。今の技術であれば何かしらの素材でつくることができそうなものだが、今まで出てきていないということは何かしら本物の羽でないとダメな理由があるんだろう。
こんなふうに伝統的でない材料ばかりだと武道らしくないと思われるかもしれないけど、
こういった道具が普及したお陰で弓道人口が多くなり、裾野が広がったんだと思う。新素材の道具があるおかげで高級な道具でなくても良くなり、若い人が弓道にふれやすくなる。
それはとても大事なことで、伝統にこだわって廃れてしまっては意味がない。もしかしたら初めは批判されたかもしれない。こんなもの弓道ではないとか言われたかもしれない。そういう意味で最初に新素材の道具を受け入れた方々は素晴らしいと個人的に思う。
結局、道具がどんなのでも弓を引くのは人間なんだ。
(おわり)
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