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魔法にかかった夜のこと、あるいはTHE SPELLBOUNDというバンドについて

その出会いは突然だった。


観るともなくつけたままのテレビで流れた一本のMV。
伸びのあるボーカルと少し懐かしげでわくわくするシンセの音。
最後に「『はじまり』 THE SPELLBOUND 中野ミュージック」のクレジット。
中野さんのとこだ!?
そこで私は爆速で調べた。そういえばかなり前に中野さんがボーカルを募集しているのを見た、ついにそれが実現したのか!
そう。その瞬間に私は魔法をかけられてしまったのだ。
バンド名の「Spellbound」って「魔法にかけられた」って意味なんですって。ほんとにぴったりな名前をつけてくれた。

一応補足しておくと中野さんはブンブンサテライツという伝説的バンドのメンバーで、最近は色々とプロデュース業などをしている方です。

ということでちょうどデビューの時点で存在を知り、ここから5ヶ月連続リリースが続くことが分かり大喜びしたのが2021年の1月。
どの曲もよい……と毎回しみじみしちゃうほどに良くて気付けば時は流れて2022年2月、である。

その間にやったライヴ。観ろ!!

そして、アルバムが出た。


袋ステキ。


1  はじまり
2  MUSIC
3  Nowhere
4  君と僕のメロディ
5  名前を呼んで
6  Sayonara
7  なにもかも
8  A DANCER ON THE PAINTED DESERT
9  スカイスクレイパー
10  FLOWER
11  おやすみ

収録曲11曲のうち5曲は既にリリースされていた曲。新曲を記憶する能力が無いのだがおそらく他の曲もいくつかライヴで演奏していたはず。
今まで単体で並んでいた曲たちがアルバムという形に収まったことで、かつ歌詞カードを見たことでバンドの解像度が上がったような気がする。
私は割と音の気持ちよさで曲を聴く傾向があるので気にしていなかったのだが、言葉としての聞こえの気持ちよさと抽象的ながらもすっと入ってくる歌詞がとてもいい。インストではなく「人が歌う」ことを大事にしているらしい。
全体的に「上がっていく」だとか「羽ばたいていけ」とかほとんど実際のどこかではなくて抽象的な「向かうべき場所」へ「君」とゆく、そんな歌詞。使われている言葉はとてもシンプルな日本語なんだけど、これは敢えてそうしたらしい。普段難しくて美しい言葉を選びがちなところをシンプルに突き詰めていったというようなことをインタビュー記事で読んだ。

音に関しては先に出ていた5曲でも結構な振り幅がありつつも壮大なイメージがあったものの、アルバム曲はもっと振り幅凄かった。ドキュメンタリーで二人のストイックな制作風景を見ていただけに、さすがの一言である。
ポエトリーリーディングとかラップのような歌い方もあり小林さんのボーカル力の凄まじさを惜しみなく楽しめる。何でも歌えるのかこの人こわ……
単純に好きなのはスカイスクレイパー。ただただ気持ち良いAメロから畳みかけるBメロ、サビのでの爆発がたまらない。急にギターギャンギャンされてこんなもん腕ぶん回すしかないやつですやん。絶対首痛めますやん。
君と僕のメロディも好き。ちょうど読んでた小説があまりにもオーバーラップしてきてうわああってなった。中盤の「愛とか罪とか」連呼するとこ天才の所業でしかない。ぶわあああって広がる壮大な世界の中の「君と僕」を感じられて好き。

全体的に「壮大」な世界観とそこを埋め尽くす緻密な音、そして圧倒的な小林さんのボーカル。1枚目にしてあまりにも名盤。永遠に聴けるアルバムがここに爆誕した。全人類聴け。


そして、ライヴへ。

フジロック含め、今までのライヴは配信で全部見ていたんだけど現地は初。
それはもうウッキウキで私は渋谷へ繰り出した。
のんびりしてたら整理番号の呼び出し終わってて焦りつつ、2階のバルコニーちょい下手側に陣取る。SEでアルバムが通しで流れて最後のSayonaraが終わったところで暗転。定刻に始まるライヴ初めて見た。

ダンサーの間奏踊り狂うよね


そこからは、なんかもう。すさまじかった。
轟音。荘厳。私、生きてる。って感じ。
はじまりの間奏でバンド名がどーーーんって出てくるところ、何度も見てるはずなのに「ああ、やっと私とこのバンドがはじまったんだな」と思ったら何だか泣けてきて。これが私のはじまりさ!!!!
やはりライヴだと聞こえ方が全く違う。久しぶりに全身がびりびりするほどの轟音と低音を浴びて気持ちよすぎて倒れるかと思った。でかい音が全然嫌じゃなくて包まれているというかとにかくいい音だった。
いつも通りツインドラムで役割分担をしてたんだけどこれがもうほんとに良くて。全バンドツインドラムになればいいのに。過言。大きいビートと細かいビートが緻密に絡み合って出来る迫力たるや。
そして小林さんめちゃめちゃ良かった。生で聴くと心臓を直に握りしめられてるような感覚で、ずっと泣いてしまいそうになるのを我慢しながら聴いていた。こんな感覚はそんなにたくさん感じられるものではないので、存分に受け止めてきた。
中野さんも終始かっこよくてやっぱベース弾いてるとわーーー!ってなる。ベース担いだだけでテンション上がっちゃう。すごく曲中小林さんのこと見ててなんかいいなって思った。小林さんはほとんど前を見据えていたのでほぼ目は合っていないと思われるんだが、なんか授業中に様子見てる先生みたいな瞬間がちょこちょこあってちょっと面白かった。


普段ライヴで撮れないからキレイに撮れなくて悲しみ

2022/2/26 THE SPELLBOUND@Spotify O-east
1  はじまり
2  MUSIC
3  Nowhere
4  君と僕のメロディ
5  名前を呼んで
6  Sayonara
7  なにもかも
8  A DANCER ON THE PAINTED DESERT
9  スカイスクレイパー
10  FLOWER
11  おやすみ
EN DRESS LIKE AN ENGEL(ブンブンサテライツ)

曲順はアルバムの通り、アンコールにブンブンの曲。
後のドラマーの福田さんのツイートでブンブンがO-eastで13年前にやったライヴのラストがこの曲だったと。エモ……
スペルバさんとしては曲が少ないので聞き込んでいけると思いきや、膨大なブンブンガチャをされることが判明して震えた。BACK ON MY FEETやると思い込んでたわよ……

もうふわふわのままフロアを出て、「アルバム購入者にステッカープレゼント」の列に並ぶ。すごかったなあ…気持ちよかったなあ…列動かんなあ……なんてぽわーーーってしていた。
前の人が終わって私の番でメール準備して顔上げたら、小林さんと中野さんが「ありがとうございました〜~」ってステッカーを差し出してきた。いや本人なんて聞いてない。私パニック。どうにか「めっっっちゃ良かったです……!!」を絞り出すことに成功。中野さんがにこにこで控えめガッツポーズしてくれた。クソかわいかった。びっくりした。家宝にします。

慌てて袋を向かいのコンビニで買った

んでまあふわふわしながら帰宅して。
気付いたら3月になっていた。あれからずっとアルバムをエンドレスで聴いているけど全然飽きない。
あの夜にかけられた魔法がずっと解けないし、観るごとに聴くごとにその力は増していて。中野さんがMCで「出会ってくれてありがとう」って言ってたんだけど本当にその通りで、いいバンドに出会えた。
このバンドがどこまで高みに昇っていくのか、ずっと見守っていたい。

というわけで。
THE SPELLBOUNDはいいぞ!!っていう話でした。
全人類この魔法にかかってくれ!!!!

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