【植栽家の日常】20230719 新建築住宅特集 2023年8月号に掲載されました
雑誌「新建築住宅特集 2023年8月号」の巻頭特集「X年後の庭」に、私が植栽設計を担当させていただいた「鶴岡邸」(建築設計:武田清明建築設計事務所)が特集トップ見開きで掲載されました。
見開き掲載されていたのは「鶴岡邸」だけだったので、注目度の高さに関係者としてとても光栄に・うれしく思いました。本当にありがたいことです。
竣工から2年。ハーブや果樹が「野原のように生えている」イメージの屋上は、屋上ではなく大地のような仕上がりになっていて、当初設計で意図していた、人だけでなく鳥や虫も自然体で過ごせる場所になったと思います。
屋上には芝を張るのでなく、グランドカバーとなる芝やクローバーやタンポポなどの種子を混ぜこぜにしてまき、樹木も決して大きくない苗木で植栽し、ほぼゼロベース近いところから庭が誕生して成長していくようなストーリーにしました。
竣工時にも新建築住宅特集で表紙掲載されたので、今回、2年が経過したころで、大地のように成長した庭を同じ8月号の特集「庭」で取り上げていただいたのは、庭を絵ではなく時間を伴う劇のような視点で見た場合、とてもドラマティックな変化の様子が見られてとてもよかったと思います。
キレイに整えられた絵のように時間が止まった景色ではなく、人の手で造られたモノが環境と時間の見えざる手によって変容していく。人工物が次第に自然に近似していく絶え間ない変化の過程が、私には「生きた風景」のドラマのようで面白いと感じられました。
一方で、「人が植物を思い遣って面倒を見てあげないと枯れてしまいますよ」とアドバイスした2階の屋根したベランダは、なんだかうまくいっていないようにも思いましたが、それもまたこの建築と庭の数奇な運命の一場面かなと思います。
「植物はもともとは自然界の生物なのだから放っておいても生きていけるだろう。それが自然だ」というのは人間側の勝手な偏見と押し付けです。
植物は土の日光と水と温度の条件が整えば、自律的に頑張って生きようとしてくれますが、雨が当たらない屋根下とか屋内など、そもそもまったく自然ではない場所に放置して面倒を見ないでそこで生きていけというのは酷な話だと思います。
庭って、まったく自然な環境ではなくて、多かれ少なかれ人工的な環境なんですよね。ノーメンテで自律的に持続可能な庭にしたいならば、まずは、植え場所の土と水と日光の環境を自然に近づけ、そういった環境原産の植物を植えるしかない。人工的な環境でかつ人がまったく面倒を見ないという選択肢はないんです。
今回特集全体を通し見て思ったのは、「庭の美しさは人間と自然の協働制作」の塩梅で醸し出されていくものなのだなということ。
建築という人工度が極めて高いモノと併存している以上、少しは手を入れて風景の調律をしていかないと、だんだんと不協和音が聴こえてくるようになる。
いいピアノでも思い遣って調律を入れなければ次第に「変な音のピアノ」になってしまうんです。
年数が経ても「良い味わいのアンティークピアノ」になっていく方が加齢の仕方としては幸せだと思うんです。
たとえば剪定とか枯れた部分の刈り戻しとかは、髪や爪が伸びたら切るのとあまり変わらないことで、何年も放っておいたり適当なざん切りにしていると、だんだんとだらしなく、美しくなくなっていく可能性はとても高いです。
庭に関してはいつもお化粧ばっちりのよそ行きモードでなくてもいいし庭のアンチエイジングに腐心しなくてもいいんですが、庭主が自身の庭に対して「愛着をもってこざっぱり身綺麗にする」意識習慣を持つことで、庭が「美しく年齢を重ねる」ことができるのではないでしょうか。
そんなことをいろいろ考えさせられた1日でした。
【今日のピアノ練習覚え書き】
ウォーミングアップ
スケール #系全調
ツェルニー 30番11、13
初見練習
カッチーナ「アヴェ・マリア」(吉松隆 編)後半
これも結構前に楽譜を買ったけど弾いていない本棚の肥やしでした。4ページの内、前半の2ページを読みました。
とてもデリケートでキレイな編曲で、やはりいい曲だなぁと改めて思いました。
以下、楽曲練習
コンクールの新曲2曲
結構ムーディーな曲なので、演奏の味付けがキモになりそうです。
こういった曲でコンクールで勝負するためには、まずは一刻も早く暗譜で弾けるようになって、表現にチカラを入れないといけないので、必死こいて練習しました。
2曲とも局所的に難しい箇所があるのでそこを重点的に部分練習。
小品なので、コンクール提出動画は暗譜で出したいのですが、期限までに暗譜で気持ちの平静を保って弾けるところまでいけるか、やや綱渡りです。
バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 6番 BWV851
今日は前奏曲の特に苦手でゆっくりになってしまう箇所を、左手の声部がよく聞こえるように意識して練習しました。
右手の細かい動きが続く曲なので、右手に気を取られがちなのですが、どちらかというと左手の旋律が全体を通底的に支配している曲ですし。
パスカル・ヒメノ 演奏会用リズムエチュード
1-1 ファンキー、1-3 ボレロ
1番ファンキーは、速く弾き過ぎないようにして間違いを減らすように練習しました。
3番ボレロは大好きな曲なので、はやく弾けるようになって舞台に乗せたいです。
とはいえまだゆっくりでもつっかえつっかえなので、まずはゆっくりでも滞らずに通せる段階に持っていきたいですね
ベートーヴェン
創作主題による32の変奏曲
今日は27変奏から最後までを練習しました。第32変奏の最初、食い違ったリズムが頻発する8小節が、私にはとても難しく感じられます。
ショパン バラード第2番 op.38
今日はコーダの部分8~10ページめを弾きました。
ラフマニノフ 楽興の時 第3、4番
この2曲もそろそろ舞台に乗せる準備で、本気モードで取り組んでいます。
2曲の通し練習と4番をゆっくりめで覚えたところは暗譜で通すようにしました。
4番の苦手な中間部の暗譜もしたいので、かなり時間を割いて「楽譜を見て弾く」「手を見て弾く」を繰り返し脳に覚えさせる練習をしました。
ちなみに3番も音数が多くて私のは暗譜が難しいです😅
ドビュッシー グラナダの夕べ
コンクールに向けて本気練習しています。
この曲は、ゆったり静かな曲ですが、なにげに構造が入り組んでいて声部も和音の数も多いですし、それらの技術的な処理をしながらこの曲の気だるくエキゾチックな雰囲気や揺蕩いながらもいろいろなシーンがを現れて変遷していく様子を表現していかなくてはならないため、私的にはとても難しいと思う曲です。良い演奏ができるように頑張ります。
スクリャービン エチュードop.2-1
この曲もコンクールのどこかで弾きたいので、細かい表現にも気をつけて練習しました。
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