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第42回 歴史に学ぶリーダーシップ秘策!マリア・テレジア流「影響力の高め方」5選

この記事は、あなたのために書きました

  1. 部下との信頼関係を築きたいリーダー

  2. 日々の業務で周囲にもっと影響力を持ちたいビジネスパーソン

  3. リーダーシップの向上を目指して学び続ける働く世代


序章:異色のリーダー・マリア・テレジア ~恐れず、誇り高く進む道~

18世紀ヨーロッパ——馬車が行き交う石畳の道、豪華なシャンデリアがきらめく宮殿。時の貴族たちは、ワイン片手に格式ばった会話を交わし、伝統と権威に浸りきっていました。そこに、彼らが「若い女性に何ができる?」と侮っていた一人の女性、マリア・テレジアが現れます。わずか25歳、まだ王冠の重さが肩にずしりとのしかかることに慣れぬ彼女の瞳には、それでも揺るぎない決意が宿っていました。

「皇位を継いだとしても、女性に何ができる?」貴族たちの冷ややかな視線と小声の噂が、彼女の耳にはっきりと届きます。そりゃあそうでしょう。彼女の父である皇帝カール6世が亡くなり、跡を継ぐ男子がいなかったことで、マリア・テレジアは急遽後を継ぐことになったのです。伝統に生きる貴族たちは、女性が国家の頂点に立つことに懐疑的でした。宮廷の一角から聞こえてきたのは、「女性が帝国の指揮を取るなんて、神への冒涜だ!」という声まで。

だが、彼女は違いました。どんな偏見も、まるで雨粒を払いのけるように肩から落とし、堂々と前に進む姿は、むしろ誇り高きリーダーの風格さえ漂っていたのです。時に顔をしかめ、時に冷静な目で宮廷内を見渡すマリア・テレジアは、まさに「ここに国を守るのはこの私だ」と決意を表していました。

彼女が立ち上がった理由は一つ——「国家を守り、国民を幸せにするため」。それが彼女の掲げた信念であり、重責に負けずに戦い抜くことを自らに課した使命でもありました。

やがて彼女は、大国の侵攻という現実に直面します。四方八方から押し寄せる脅威、絶えず迫る戦争の足音。それでも彼女は冷静に、そして大胆に次の一手を模索し、周囲が驚く決断を下していきます。貴族たちの目に映るマリア・テレジアはただの女性ではなく、誇りを持って国を守ろうとする一人のリーダーへと変わっていったのです。

このようにして、彼女は権威を振りかざすのではなく、時には人を信じ、時には寄り添い、またある時は意表を突く決断をして、リーダーとしての信頼を築いていきました。これからの物語では、彼女が成し遂げた「信頼」「共感」「権限移譲」そして「倫理」に基づくリーダーシップ戦略に迫ります。

マリア・テレジアがどのようにして時代の偏見を打破し、国を守るリーダーへと成長したのか、そして彼女のその姿が現代に何を教えてくれるのか。次章では、彼女の知恵が現代のリーダーにどう生きるのかを具体的に探っていきます。


第1章:信頼で築くリーダーシップの礎 ~小さな行動が生む大きな信頼~

1-1. 行動がすべて!信頼されるリーダーはまず「結果」で示す

マリア・テレジアのリーダーシップの要とされたのは、まず「信頼を築く力」でした。彼女は即位して間もない頃、国の未来を左右する重大な決断に迫られました。経済の疲弊や貧困層の増加、そしてヨーロッパ各国からの侵略の脅威——まさに四面楚歌の状態です。にもかかわらず、彼女は「この国のために何ができるか」を徹底して考え、部下たちに「行動」を通して信頼を示すことを選んだのです。

信頼は行動の積み重ねから生まれる

では、信頼とは一体どう築かれるものでしょうか?「言葉ではなく、まず行動」という信念は、当時の彼女のリーダーシップの軸となりました。現代の心理学研究でも、リーダーへの信頼はそのリーダーが一貫して行動を示すことで生まれることが分かっています。信頼の科学者とも呼ばれるロバート・ハーレ博士の調査によれば、「行動と一貫性が、信頼構築の60%以上を占める」ことが明らかになっています(出典: Journal of Applied Psychology)。つまり、部下がリーダーに信頼を寄せるためには、そのリーダーが「言葉だけではなく行動で結果を示す」ことが重要なのです。

貧困層を支援するための大胆な決断

マリア・テレジアが示した信頼の証の一つが、「貧困層への支援」という大胆な施策でした。オーストリア帝国が抱える財政問題を解決するため、彼女は貴族層に対して税を重く課し、その分を貧困層の生活支援に充てることを決めたのです。この決断は貴族たちの反感を買う可能性が高く、若き女性のリーダーには厳しい試練となりました。

しかし、彼女は「全ての国民が安心して暮らせる国を作る」という信念を貫きました。そしてその決断が功を奏し、貧困層からの支持を獲得しただけでなく、最終的には貴族たちもその意図を理解し、協力を申し出るようになったのです。こうしてマリア・テレジアは、「行動で信頼を示す」というリーダーシップの一環を貫いたのです。

現代の職場での応用:リーダーが信頼を築くための小さなアクション

マリア・テレジアの教訓から現代に活かせるのは、「信頼の積み重ねは小さな行動から生まれる」というシンプルな事実です。たとえば、プロジェクトが苦境に陥ったとき、リーダーが率先して厳しいタスクを引き受ける。また、チームメンバー一人一人の努力に感謝を示し、その働きを評価する。小さな行動の積み重ねが信頼を生み、やがて大きな影響力に繋がるのです。

さらに、日々の細やかな行動も重要です。例えば、部下が困難なタスクに挑戦しているとき、あえて自分もその作業に関与することで、彼らに「共に戦う姿勢」を見せることができます。単に指示を出すだけでなく、時には自ら手を汚して実行することが、部下からの信頼を生む大きな要因となるのです。

まとめ

「信頼されるリーダーは、まず結果で示す」。このマリア・テレジアの姿勢が現代においても大切にされる理由は、信頼は一朝一夕で築けるものではないからです。彼女が貧困層を救うために貴族たちと衝突しながらも結果を出し、最終的に全ての人々から尊敬と支持を勝ち取ったように、現代のリーダーも、まず小さな行動で信頼を積み重ねることが重要です。

次章では、さらに「共感を育むリーダーシップ」について、彼女の驚くべきエピソードとともに深掘りしていきます。

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