ストリートビュー好きニンゲン、GeoGuessrで旅を始める
この記事は「ゆる言語学ラジオ非公式 Advent Calendar 2024」12日めの記事です。
11日めの記事はuraQさんの「「ゆる学徒ラジオ」のファン番組を1年近く続けている話|uraQ@ゆる医学用語学ノート」でした。
13日めの記事はゆる科学部さんの
「リンゴを罵倒し、カビを褒めるためにゆる学徒カフェのスタジオをレンタルした話」です。
2024年はGeoGuessrに吸われた
大げさな話ではなく、1月に始めたこのゲームにこの1年の多くの時間を費やしてしまった。おかげで毎日たのしい。
前提その1 わたしは「ストリートビュー好き」を長年やっている
記憶は定かではないが、2007年に始まったGoogle Street Viewを2008年ぐらいから見ていると思う。そのころはそんなに画質も良くないし、日本の中で見られる限られた場所をちらほらみているぐらいだった。「京都も結構見れるな」「東京も見れるぞ」「長野の実家はまだ見られないんだな」そんな感じの時代。
ストリートビューは日々追加されていく。当初は更新されると昔の分は上書きされてしまっていたが、2011年の震災後あたりから過去にも戻れる機能が出来た。なぜ覚えてるかと言えば、震災の時には過去に戻る機能は無く、「ああ、いつか上書きされたらこのあたりは震災後の様子になってしまうのか」と思いながらストリートビューを眺めた記憶があるからだ。(この辺にもう少しエピソードがあるが長くなるので割愛)
アフリカのストリートビューを見始めた
2015年ごろまでは基本的に日本のストリートビューばかり見ていた私で、まだまだ今ほど真剣に(?)長時間ストリートビューを見ることはなかったのだが、映画「チャッピー」をきっかけに南アフリカのストリートビューを見た。「チャッピー」を見るまではアフリカのイメージは「動物と豊かな自然」のみであった。しかし、映画の中に映し出された南アフリカはイメージと異なる大都会だったのだ。「車が走ってる!?」ってぐらいの酷い感想を抱いた記憶がある。ばか。はずかしい。ンモウ。でも、だからこそ反動もあって、アフリカに強い興味がわいたのである。
チャッピーからメインキャラクターのアーティストDie Antwoordの熱心なファンになって、彼らのSNSをフォローしたり、南アフリカ情報を手に入れるようになった。
楽曲の中には、「おまえら、アフリカって言ったらこんなイメージなんだろ?」と世界からアフリカに向けられる偏見を揶揄したものもあって「もっとアフリカのことを知りたいなあ」と他の地域のことも調べ始めてしまったのは必然ともいえる。
2016年ごろからアフリカのストリートビューを見ているが、当時はウガンダ・南部アフリカ・ガーナ・セネガル・チュニジアあたりと、各地の国立公園しか見られる範囲がなかった。もっと地域の生活感のある場所が見たい。家とか商店街が見たい。アフリカの商店街とても面白い。アーッ、ナイジェリアがこんなに追加された! 2019年ごろにはケニアも見れるようになった!
2018年にはストリートビューで見つけたものを紹介する記事をブログに書き始めた。
現在100本以上になっている。記事にまとめていない「見つけたもの」もまだまだ山のようにある。
前提その2 GeoGuessrはストリートビューを使った位置当てゲームである
存在は結構前から知っていた。でも意識的に避けていた。
ルールは簡単で、ゲームを始めるとGoogle Street Viewで見られる「世界のどこか」に飛ばされる。周囲のヒントをもとに、いまどこにいるのか考え、地図で「ここだ!」と答えの場所にピンを指して、Guessする。近ければ近いほど点数が高い。
・1Roundの最高得点は5000点(×5Roundの合計が1回のスコア)
・ストリートビューがない地域は出ない
・対戦モードで「どっちがより近くによせられるか」を競うこともできるよ
登録してすぐ課金してしまったので、無課金でどれぐらい遊べるのかよくわからない。でも少し遊ぶことは出来たと思うので、興味のある人は試してみるといいと思う。
なぜ「GeoGuessrをやっていなかった」のか?
こんなにストリートビューに興味があって、見るのが好きで、ずっと見ているのになぜこのゲームで遊んでいなかったのか。
理由もちゃんとある。
わたしはストリートビューで「じっくり散歩して、自分の気づきでその地域の生活に必要なものや地域ならではのものを発見して、それについて調べて人々の暮らしを知りたい」と考えていたし、それが楽しみだった。
「このへんのおうちの前にはほとんど、大きな甕が置いてあるな。ここでの生活に欠かせなそうだけど、何のために置いているんだろう?これを売っているところもあるのかな?自分たちで作るのかな?」
というようなことを考えては調べてみる。わかったりわからなかったりする。わかった時はとても楽しい。
ブラジルのゴミ箱に気づいたときも楽しかった。
どの家の前にも、回収に向けてごみをのせておくためと思われるカゴが設置されている。いろんなデザインに工夫されていて、質素なものや汎用的なもの、家のデザインに合わせたおしゃれなものなどさまざまである。そういう生活の工夫が垣間見れるのはとても楽しい。このゴミ箱のDIY方法を解説したYouTube動画も何本か見た。
余談:南米セミナーに通っていたころ先生にブラジルのゴミ箱(カゴ)について尋ねたらなんと大使館に問い合わせてくれた。しかし「ゴミ箱がなにか?わからないですね……」という返答だったそうで、わからないねー!となった。あまりに「普段の生活」すぎたのかもしれない……
ちなみにこのタイプのゴミ箱はアルゼンチンにもあり、南アフリカ共和国にもある。なのでこれがあったからと言ってGeoGuessrで場所を特定できるわけではない。
「GeoGuessr」ではその楽しみが得られないだろうと思っていた
わたしがストリートビューを見るときはまず「ここはどこか」「どの町を歩いているのか」「どの季節、何年のこの場所を歩いているのか」を重要な情報だと思っていた。それを都度確認しながら景色を見て回ることはとても大事だ。
しかしGeoGuessrは逆だ。「いまみえてるここは、どこでしょうか! え、時間?季節?さあ……それって場所を当てるのに関係ありますか?」そういうスタイルだと思っていた。
地域を確認しながら歩くからこそ、別の地域との違いがわかるというものだ。「あれ、ここにあるこれって他の場所にはなかったぞ」それを見つけたいのに……やっぱりスロースタイルで、きょろきょろしながら街をゆっくり散策するのが私のやり方だと考えていたのだ。
さあ、きっかけだ
そんなに明確にプレイを避けていた私がGeoGuessrを始めてしまったきっかけはなんなのか? もう3000文字近いけどようやくそこを語り始める。
きっかけは去年(2023年)のゆる言語学ラジオ非公式アドベントカレンダー
去年も参加して記事を書いた私は、他の参加者の記事も毎日楽しく拝見していた。そんな中にあったGoblinさんのこの記事は、GeoGuessrについての記事だった。
これはとても良い記事なのでみんなに読んで欲しい、読んだ人ももう一度読んで欲しい記事である。
GoblinさんがGeoGuessrを楽しんでいる様子も伝わってくるし、それによって世界を見る目が変わったこともつづられていた。
感想を送ってるうちに、勢いでGoblinさんを(しかし消極的に誘い受けの形で)「いっしょにラジオやらない?」と誘っていたのであった。すごい。
参加している「ゆる言語学ラジオサポーターコミュニティ」では参加者がボイチャ・ステージを使ってリアルタイムでラジオのようにオンライントークイベントを開催することができる。
私もネタはいろいろあれど、一度も開催したことはなかった。一度やってみたいなとは常々思っていたので、いい機会だ。Goblinさんのラジオは前に聞いたこともあって、サーバでもどういうひとか知っているしきっと大丈夫。
そして忙しい年末年始をすぎて、1月11日の夜にイベントを開催したのである。
その時の録音を使って作った動画がこちら。聴いてくださった人とのやり取りも含めてわかりやすく編集したつもりなので、ぜひ見てみてほしい。
(第二回も5月にやっていて、それの編集もしてるのだけどちょっと凝ってしまったため完成していない。近々完成させるのでそしたら見てください……)
オンラインイベントの後、とうとうGeoGuessrを始める
1月末頃、そうだGeoGuessr登録しよう。と急に思い立って始めることにした。
それから毎日遊んでいる。
・DailyChallengeは必ずやっている。
・その他のマップや国当てモードの「CountryStreaks」も好きだ。
・途中、海外旅行をしたり病気で寝込んだりもしたが、今のところ継続記録は途切れていない。iPadとWi-Fiありがとう。
もともとストリートビューがどの国のどのへんにあるかは最大の関心ごとだったので、いわゆる「カバレッジ(出題範囲のようなもの)」にはそこそこ詳しいはずである。
すっかりドはまりしているようである
現在のプロフィールはこんな感じだ。
DailyChallengeの成績を記録して、成長具合を見ている。
グラフではこんな感じだ。12月は良くない……
そして、ゲームしながら世界の(私の知識と興味の範囲の)見どころを実況しているチャンネルも作った。
DailyChallengeの最高得点動画も見てね。
GeoGuessrをやって、私のストリートビューの楽しみ方に変化は出たのか?
プレイする前の懸念と言えば、「じっくりその街を楽しんで、人々の何気ない暮らしの様子の中からその土地の特色を発見していく」という私のスタイルが崩れてしまうのではないかということだった。
1年近くプレイして、どうだったのか?と振り返れば、「新たな楽しみ方ができるようになった」と言えるだろう。
そもそもストリートビューで散歩する場所をどのように決めていたかと言えば「前にも見てなんとなく好きだなと思った街」「道路沿いに暮らしに役立つものが置いてあるらしいとテレビなどで知った街」「航空写真で気になった場所や、見聞きした地名をヒントに、気まぐれに」という感じだったが、ここに「GeoGuessrで出会ったきになるアレ」が追加されたのである。
いくつかものすごく好きなものにも出会っているのだが、まだ調査中のため詳細は内緒。ああ、語りたい。「これいいよね」って言いたい……
始めたころの興奮は、自サイトのブログの一番最初のGeoGuessr日記に書いてある。
蛇足 ストリートビュー好きの、GeoGuessr以後の旅スタイル
旅のスタイルが変わってしまった。
私はこんなに世界が好きなのに、機会もお金もなくて(あと病気もあって)国外へ行ったことがなかった。でも今年ははじめてパスポートをとって、台湾に行ったのだ!
なんか見て興奮するものが、おかしい気がする
おかしい気がする。もともとおかしかったけど。
台湾旅行編
「みて!台湾の電柱だよ!!!」
「場所の特定につかえるやつあったよ!!」
「見たかった標識だ!」
「駐停車禁止の赤いラインと歩道だよ!!」
「電話かわいい!!!」
「あっ!あの……台湾の人も今となってはなんだかよく知らない人が多いらしい防盗太陽花だよ!」
「あれネオンなんだ!!光ってる!!!」(これが光るのは知らなかった。ストリートビューは昼間のようすしか見られないのだ。)
「室外機だよ!!!一気にいろいろみられる!ありがてえ!!」
「鉄窓花っぽいの見られた!!うれしい!!」(台北の大通りとか街中だと少ないのよね……)
「アッ!!!!!」
北海道旅行編
「消火栓だよ!!!黄色いものが多いし、消火栓の標識も曲がってるのが特徴だよ!!!」
「灯油タンクだ!2個も並んでる!!」
「公園の入り口にあるやつだ!!」
「公園の入り口にあるやつだ!!」
「斜めになってる、縦型の信号だ!!!」
「あっ!北海道の公衆電話ボックスだ!あれといっしょにいる私の写真を撮ってほしい!」
「あーん!!!こうじゃない!!!これじゃだめなの!!」
「この三角屋根がいっしょにうつってなきゃ……意味がないんだ!!!」
次はどこ行こう。
これからもきっと、GeoGuessrやストリートビューで見たあれやこれやに出会う旅をするに違いない。楽しみである。