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カーテンの中のひみつ

※この記事は、11/9(土)に開催される #コルクラボ文化祭  にて掲示予定のものです。


「青春の場所」と言われて思い出すところ。


教室、校庭、屋上…… 制服、黒板、机…………

わたしは高校時代の「カーテンの中」 を思い出す。



青春の場所:カーテン

ちょっと意味がわからないかもしれないので補足すると


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こういうことです。


まあ実際はこれぐらいずっぽり包まっています。

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※著作権の関係で、ちょうどいい画像をネットで見つけることができず、拙イラストにて失礼します💧


ちなみにこういうのは…………

ダウンロード

……残念ながら一度もなかった。 くそ。


※画像:映画『きょうのキラ君』での”カーテンの刑” (C)2017「きょうのキラ君」製作委員会 (C)みきもと凜/講談社、『SPICE』(イープラス)から引用


おもなカーテンでのすごし方

まず代表的なものは体育の授業前後の着替え。(青春???)

男女共学であったが、体育の時は皆教室で制服からジャージに着替えていた。更衣室は体育館の脇にあったが狭いし汚い、何より荷物を持って移動するのが面倒だった。

だからといって何も気にしないわけではない。脱いだ瞬間にTシャツに着替え終わっている”早着替え大作戦” は大抵失敗する。(トライするのはわたしくらいだった)

そんなとき、我々の恥じらいを守り秩序を保ってくれたのがカーテンだった。

この時間だけ教室のカーテンは簡易的な更衣室となる。
一度の利用はひとクラス2名限定。体育前後の10分間、いつもにわかにカーテン前は行列ができていた。


おもなカーテンでのすごし方 2

時にカーテンは簡易的な取調室にもなる。

学生時代はとにかく忙しい。

部活に友人とのおしゃべりに恋愛にと息つく暇もなく、勉強なんかにかまけている余裕など全くと言っていいほどない。田舎だとなおさらそうだ。めくりめく日々に対し、情報交換が追いつかないのが日常だった。(LINEとかなかったし…… 世代……………)

※なお、実際はみんなちゃんと勉強していたんだ!と気づいた頃には自分は浪人が決定していた…… のはまた別のはなし。


この前、あのあとどうなったの?
先週のデートどうだった???

言い淀んだ瞬間、被疑者はカーテンに連行される。

カーテンにくるまる謎の集団。
集団で取り囲んでの圧迫尋問。違法取り調べなど気にしない。治外法権もいいところ。そしてなぜか、ベテラン風落としの達人がクラスにひとりやふたりはいる。

しばしのひそひそ声のあと、


きゃーーーーーーーー!
ボエーーーーーーーー!

と歓声が上がる。

何かあったことはだいたい周りには筒抜けだったりする。守秘義務を守る効能はあまりカーテンにはない。

カーテンの中はまさにひみつの空間(外にはだだ漏れ)だった。


教室とカーテンとわたし

(部屋とワイシャツ的な…書きたかっただけなのごめんなさい)


高校2年の頃、毎日のようにカーテンにくるまって泣いていた時期がある。


高校入学当時から、わたしはクラスでどのように振舞っていいかわからず戸惑いながら毎日を過ごしていた。

部活では小中からの友人が多く、深く考えずにきゃっきゃ過ごせていた。しかしクラスの中ではいつも周りの様子を伺って愛想笑いをしていたように思う。

小中の頃より内面は成長して、でも大人とも違う。ちょうど親戚に敬語を使うような感覚。そんなちょっとした居心地の悪さをいつも感じていた。


そんなコミュ障でも彼氏ができてしまうのが田舎の娯楽の少ない町ならでは。クラスの男の子に告白され、戸惑いながらも浮かれつつ、部活に恋愛に充実した日々を過ごしていた。
(もちろんカーテン内取り調べで自供させられている。)

またちょうどその時期、クラスで仲良くなった女の子がいた。

いつも弾けるような明るい笑顔で、手足がすらっと細くて長くて、成績も良く理系を選択している子。年上の彼氏がいて、恋バナがなんだか大人の話。(に聞こえた) 憧れの気持ちが大きかったように思う。

その子はなぜかわたしにたくさん話しかけてくれ、同じ話で笑い合うことが増えた。6人での仲良しグループの中でも特にその子と一緒に行動していた。

彼女が言う、彼と喧嘩した、別れた……という相談話を、よくわからないながらも一生懸命聞いて励ましていた記憶がある。(「彼が」という言い方がかっけーー!!!とか思ってた) 毎日深夜まで勉強の準備を広げながらも手元はいつもPHS(時代!)を握り、せわしなくメールを送ったり電話をしていた。

その女の子と、わたしが付き合っていた男の子の家がたまたま近所ということもあって、よく3人で休みの日におしゃべりしたり遊びに行ったり勉強をしていた。わたしは部活があったので、平日に部活をしていないふたりが遊ぶことも増えていたっぽい。


なので、その子と自分の彼氏が付き合うまでにそれほど時間はかからなかった。

気がついたら、始めからそうだったかのように2人は恋人同士になっていた。


日を追って2人が寄り添って手を繋いで歩いているところを見るたびに、心臓を強く圧迫されるような、呼吸のできない、初めての感覚に襲われ身動きが取れなくっていった。

おそらくそこには複数の感情があったと思うが、頭が追い付かずその見えないなにかに押し潰され、生まれて初めて「夜も眠れず、食事が喉を通らない」という体験をした。

とにかく、自分のあらゆる機能をコントロールすることができなくなっていた。授業中でも部活中でも、急に涙が出てくるので、こらえるのに苦労した。我慢しているつもりだったが、耐えられなくなるとカーテンの中で声を出さないように泣いていた。

その結果、ほぼ毎日カーテンの中にこもっていた。


教室は広くてせまい。感情を溢れさせるにはあまりにも周りとの距離が近すぎた。


あまりにも毎日泣いていたもんだから、周りからは「イタい奴」と影で言われるようになっていたぽい。

……いや、表立って言われていたな。
「お前イタいなーーーーー!!!」とw

今思うとそれもありがたい。その子とは今でも仲がいい。

そして考えてみると、カーテンの中で動けなくなっていた頃、常に隣にいてくれる友人がたくさんいた。時々一緒に泣いてくれていた。
部活中であっても、部長をやっている友人は何も言わないでくれた。
普段生意気でこっちの言うことなんか何も聞かないような後輩も、その時は何も言わずそっとしてくれていた。


まあ、これつまりは、ただのはた迷惑なメンヘラの失恋思い出話ってだけなんだけど。言ってしまえば黒歴史なんだけども。

でも、本当に、わたしは周りの人に恵まれ、守られていたな、と思う。

カーテン越しにみんなの心配や優しさが伝わってきた。友人の思いをカーテンがまとめて包んでくれる。間接的にみんなにハグしてもらっているような。

大人になった今、なかなかにポンコツに仕上がってはいるものの、それほど卑屈になったり人を妬んだりすることがなく日々を面白おかしく笑って過ごせているのは、周りにいてくれた友人のおかげだなぁと思う。

痛い思い出なんだけど、年を経るごとに温かさも帯びていく。いったい幾人の汗や涙や青春を吸い込んで包んでくれたんだ、よく見たら色やばくないかこれ、というカーテンが大好きだったな。

……まあ今でも人間関係やコミュニティの中で振る舞い方や距離感に戸惑って愛想笑いはしているかもしれないけど。


青春を思い出そう:コルクラボ文化祭

そんなわけで、青春を思い出すべく

コルクラボ文化祭。みんなで楽しみましょう!


もし、文化祭でカーテンの中に誰かがいたとしてもそっとしておいてくださいね。

そこで誰かがひみつの話をしているのかもしれないし、
着替え中かもしれないので!


#学校百景 #居場所 #コルクラボ文化祭 #コルクラボ #corklab


いやもうほんとそんなお気になさらず、あ、でもよかったらちょっとオススメの壺があるんです、どうですか、まあそんな遠慮なさらずに。