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法律事務所のダイバーシティ

企業内におけるダイバーシティーの重要性と言うのは、ここ10年位多く議論されてきて、実際にダイバーシティーのある職場か否かは置いておいて、その考え方自体はかなり浸透してきたと思います。
しかし、以前こちらの弁護士のダイバーシティーとワークライフバランスに関する記事にも書きましたが、弁護士の業界におけるダイバーシティーの推進は周回遅れです。
そんな中、法律事務所でありながら、大変多様性のある働き方を追求している事務所の方にお話を伺うことができたので、紹介したいと思います。
伝統的な大手総合法律事務所と言うのは、経営を担うパートナーとそのパートナーから仕事をもらって働くアソシエイトで成り立っている事務所が多いです。
しかし、最近は経営を担ってまで働きたくはないが、自分のスキルを生かしたいと思う弁護士や子育て、介護、育児、その他の仕事上の理由などで、自分の使える時間の100%を勤務先の法律事務所の仕事に注ぎ込むことができないと言う人も多いと思います。
そんな弁護士側のニーズをうまく活用しつつ、事務所経営を効率化する方法があるのです。

まず前提として法律事務所というのは、毎日何かを製造したり販売したりしている企業とは異なり、毎日何らかしらの業務があると言うものではありません。基本的に依頼者から案件の相談が来た場合、案件を受けると言う形になります。
ですから、案件がたくさんあって、忙しい時とそうでもない時の差が大きくなり、常に一定量になるように仕事をマネージするということが難しいのです。

そんな中、パートナーが一定数のアソシエイト抱えて経営されている従来型の法律事務所では、仕事が多いときには、アソシエイトが疲弊し、仕事が少ないときには、アソシエイトには仕事が回ってこなくなると言うことがよく生じます。もしアソシエイトに固定金額を払っているような事務所であると、仕事が少ない時が続くと非常に苦しい状況になります。

しかし、私が今回話を伺った法律事務所では、なるべくアソシエイトは抱えることなく、個人事業主のゆるいつながりで運営していくことを模索しているのです。この個人事業主と言うのは、それぞれに別の仕事を持っていたりして、副業のような形で完全リモートで法律事務所の仕事に参画します。そして、法律事務所の仕事があるときには法律事務所の仕事をし、ない時はしない、逆に、自分の本業の方が忙しくて、副業の法律事務所の仕事ができないときにはしない、というようなフレキシブルな形で、働ける人をゆるく繋いで運営しているのです。
かなり新しい形態の法律事務所だと思いますので、これがうまくいくか否かと言うのは、これからを見てみなければわからないのではないかと思いますが、仕組みとしては、とても合理的だと思います。
もしかすると、コロナ禍なってからこのような形態の事務所は増えつつあるのかもしれません。
このような先進的な働き方を取り入れる法律事務所が増え、弁護士業界におけるダイバーシティーが進んでいくといいなと思います。

それでは、また。

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