小学生
何故か勉強が出来た。教科書はぜんぶ解けたし先生の話を聞かずに先の方のページを読んでいたしテストは5分で解き終えてほぼ毎回満点だった。分からない子の気持ちが分からなかった。
まあ、塾に通って既に習っていた所を授業で習うだけだったので当たり前である。
中学受験用の塾に通い始めたら、私より頭の良い子供なんて沢山いたし、自分は秀才なのでは?という幻想は呆気なく砕かれた。
それでも学校の勉強は楽勝だし親の遺伝で運動神経も良かった。顔もものすごくブスという訳ではなかった。どちらかと言うとイケてる女子グループに属していた。
俗に言ういじめ、のようなものはなかったのだが、男の子達が荒れていて学級崩壊をしていた。朝の自習の時間は彼らの独裁国家で、クラス全員の机を後ろに下げさせて教室でサッカーをしたりしていた。彼らが投げて遊んでいた30センチ定規が瞼にあたって切れたりもした。ここは地獄なのか?と毎日思っていた。彼らに目をつけられた人は執拗に嫌がらせをされるし、機嫌が良い時も悪い時も何かと絡まれる。そんなのはごめんだったので私はとにかく大人しく、逆らわないように過ごしていた。頭の良い子は、それだけで鼻につくらしく、同じクラスの頭の良い男の子はよく嫌がらせをされていた。
そこで私は道化をすることにした。自分がおどけてバカになれば女子から妬まれる事もないし、平和に過ごせるのだ。
もっとも、私は勉強が出来るだけで真面目ではなかったし、すぐにその性格が私自身となっていった。学生時代は"男子を叱る女子"という構図がお決まりだと思うが、それに関して私はふざけてサボる男子側のメンタルだったし、そのお決まりの訳が分からなかった。人間誰しもサボりたいはずなのに何故女の子たちはちゃんとするんだろう。。。と思っていた(笑)それに人を笑かすことは好きだった。面白いことはそれなりに思いつくし、いま考えたら小学生から笑いをとる事なんて簡単だ。私の話で笑ってくれるのが楽しくて、休み時間に私の机の周りに人が集まって駄べるのが嬉しくて、めちゃくちゃ恥ずかしいことに自分は少し面白いんじゃないかなんて思っていた。
でもそんなてきとう人生の始まりは、今となっては後悔するばかりだ。肝心な時にいつだってヘラヘラしてしまうし、本音など誰にも言えない。極限まで溜め込みながらゆっくりと壊れて沈んでゆく。
そうして適当にヘラヘラして人を笑かしながら、なんとか受かった女子校に進学するのだった。(つづく)