さいたまインディペンデンツ中学部(仮称)設立に向けてのレールづくり
2022年4月からスタートした総合型地域スポーツクラブ「さいたまインディペンデンツジュニア」。スタートは2019年4月からキッズ大陸さいたま与野園の野球クラブ(木曜週一開催)の子どもたち。
初期メンバーは1年生から3年生までの計5名。
あれから2年が経ち、楽しく野球をやる子どもたちが増えてきた。野球を始めたばかりで転がっているボールすらまともに捕れなかった子たちが身体が大きくなり、捕って投げて打つができるようになってきた。まだまだ上手にできるレベルではないが一つ一つ積み上げてきた成果が表れるようになってきたのが嬉しい。
来たる2024年4月からはいよいよ中学生の受け入れ準備も開始することになりました。現在年長さんを含めた小学生クラスが19名となり、顧客満足を優先する中で新たなクラスの開講、カテゴリーの増設、そして指導者増員などあらゆる展開を踏み出す段階にきたということもあり、もう一段視座を上げて取り組みます。
ここからは、子どもたちの野球スクールやチームを立ち上げたいという方向けに「普段どんなことをしているのか」、また「どういうタスクをどのような想いでやっているのか」をできるだけ素直に、詳細に書き残そうと思います。「さいたまインディペンデンツジュニア」には野球だけにとどまらずサッカーやラグビー(タグラグビー )、かけっこ、キッズトレーニングなどあらゆる種目で総勢40名ほどの会員さんが参加してくれています。これからの主軸となる野球クラスをベースに様々なステークホルダーとの折衝や交渉、また議論などを通して見えてくる本音や課題などもこのnoteで発信します。
手法や手順などももちろんありますが、主に想いをどう現場に反映しているのか、を重要視しトライアンドエラーを重ねているので一つのモデルケースとして捉えていただきたいです。
【第0章】 ミーティングでチームづくりの方向性を決める
我々「さいたまインディペンデンツジュニア」は元々、野球クラブ(平日の週一スクール)からスタートしているため、ゼロからの立ち上げではない点はイレギュラーかもしれません。すでにスクール会員がいて、普段から利用できるコートがあり、野球だけでなくその他のスポーツ・種目を扱う総合型地域スポーツクラブを目指しているため、本当にゼロから立ち上げたフェイズは2020年からになります。
2023年12月、スクールに関わっているコーチングスタッフ4名が集まり、23年の振り返りと反省会を兼ねて、ロングミーティングを実施。スタッフはそれぞれ本業を抱えて活動しているため、こうして普段本音で感じていること、行なっている想い、知ってみたいことなどを膝を突き合わせて話す機会は少ない。特に子どもたちの成長ぶりについてどのように感じているのか。他のスタッフとの関係性はどうなのか。現場に行く機会が限られている自分にとってもこのような場は本当に有意義である。
このミーティングの目的は二つ。
● コーチングスタッフ同士で話す時間を多くし、代表である島本の発言や概念、想いは手短に伝える(熱くなるとしゃべりすぎる癖を極力控え、活動に関してみんながどう感じているのかを伝えてもらう場とした)
● 「インディペンデンツ」が向かうべき方向性や大事にしたいことを改めて明確にし、スタッフ間で共有した上で中学生や幼児のカテゴリー増員の具体策を決めていく
大事にしたのはコーチングスタッフの素直な想いや疑問質問、選手を見る着眼点を引き出すこと。また、スタッフのキャラクター(特徴・特性・性格・思考など)を理解し、これから同じ船に乗っかって進んでいけるかを自分としてもこの目で確認したいという想いもあった。ファシリテーターは別の人に任せ、より俯瞰した目線でスタッフの反応や表情、質問に対する答えやさらなる質問の温度感を感じる立場で立ち振る舞った。
◆ミーティングで出てきた課題・意見
・コーチングスタッフのボリュームが足りない
メインスタッフを支えるサブスタッフが不足しており、子供たちのケアが十分ではない・指導者間の共有に関しては定例ミーティングを設けて、ちょっとした気づきや課題を蓄積・共有し、アドバイスにつなげていきたい
・基本技術の指導をもう少し入れてもいいのでは 基本的には幼児〜小学低学年は多くを教えないで量をこなす、というスタンスの練習ではあるが、個々の選手によってはバッティングやピッチングなどのフォームも少し教えていく必要もあるのでは。
・今年一年、大きな怪我や事故はなかったが今一度「安全性」を第一に考え、運営体制を整えていきたい
三年目はカテゴリーの拡大 〜中学部構想〜
2021年からスタートしてもうすぐで2年。
初年度は野球というハードルをいかに低くするかに焦点を当てて「野球遊び体験会」を数多く実施。スポーツ幼児園・キッズ大陸と連携して、週末にも野球ができる機会を紹介した。
二年目はそれに加えて、地域住民にも発信する機会を作り、スポーツフェスティバルや縁日、外部イベントでのコンテンツ連携などを行い、外部への周知認知向上を目的に取り組んだ。
そして、三年目。
野球会員は3年生以下の低学年が15名、4年生以上の高学年が4名ということで高学年〜中学生の需要をもっと増やしていき、各学年がシームレスにつながっていくピラミッドを作っていきたい。
ミーティングの後半は中学部設立に向けて協議。
これまでは小学生のみを受け入れ「スポーツ・野球は楽しいんだ」というのを体感してもらう環境を作ってきた。子どもたちだけでなく、参加する指導者も保護者もチャレンジするプレーには拍手を送り、ナイスプレーには歓喜する空気感を作り上げてきた。
これからは「楽しい」だけではなく「もっと上手くなりたい」「どんどん成長したい」という欲を引き出していく必要がある。
どういうチームにしていきたいのか、参加する子どもたちや保護者はどういうチームであれば参加したいと思うか。
議論した骨子は以下である。
◆設立理念
子どもの成長を中心に据え、指導者や保護者をはじめ、誰もが互いに尊重・協調し、参画することができる。また、野球を通して現在や将来に明るい希望を持ちながら幸せな人生を送ることを理念とする。
◆活動の目的
子どもが野球を通して、ジェネリックスキル(非認知能力)を身につけ、生涯にわたって「自立・自律」「自走・自創」を実現できる人を育てる。関わる誰もが互いに共育し、互いに成長するためにチームとして活動を行なっていく。
◆チームコンセプト
・中体連や全軟連などの連盟に所属せず、フリーに活動する
・部員の入退部は自由(途中で中学野球部、クラブチームへの移籍も可能)
・野球の技術、戦術、体力向上のみならず、あらゆる活動を通した非認知能力を育成する
・カテゴリーを超えた学びを創出する(社会人野球・大学野球・学童野球等との交流や全カテゴリーの試合観戦、交流など)
・将来のリーダーにつながる野球を通したSTEAM教育を実施する
・怪我や事故を未然に防ぎ、子どもたちの安全安心を第一に運営する
・選手、保護者、指導者とも座学の充実を通して、インテリジェンスを育成する(栄養、心理学、マネジメント、コーチング、キャリアデザイン、バイオメカニクス、スポーツ医科学、子育て、発育発達など)
上記に加えて、指導者や保護者、事務スタッフが日頃から意識すべき行動指針(ステークホルダーコード)も作成し、どういう理念で運営しているかを外部はもちろん、内部にも意思統一を図ることを徹底する。
ミーティングの最後は「未来会議2026」と題して、3年後のあるべき姿を全員でディスカッション。
スポーツ以外の分野でも我々が果たすべき役割がおぼろげながら見えてきたので、コアな部分をブラッシュアップしながら、積み上げていきたい。