マイナー(マイニング業者)視点から見る今後の爆上げ通貨とは?
マイニングのことを知り、マイナーたちの今後の動向を予測することで、とある通貨に興味が湧いてきます。
もちろん、価格上昇という意味で。
今回の記事では、それを少し紐解いてみます。
■マイニングって何?はこちらから。
上記note記事にもありますように、マイニングが必要な代表的な暗号資産に、BTC(ビットコイン)とETH(イーサリアム)があります。
BTCのマイニング方式はPoW(プルーフ・オブ・ワーク)、ETHのマイニング方式は2022年7月現在はPoWですが、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)に完全移行します。
まずはこのPoWとPoSの仕組みを知り、そしてETHがPoSに完全移行するという事実を知っておきましょう。
それを踏まえながら、該当通貨のことを知ることで、なぜ世界のマイナーたちがその通貨に注目しているのがわかると思います。
答えに行き着く前に、まずはこのPoWとPoSを簡単におさらいしておきたいと思います。
※PoWとPoSのことを細かく書くと、それぞれ記事1本分くらいになるため、簡潔にご説明します。
■暗号資産の世界の取引の承認方法は?
暗号資産は銀行などと違い、基本的には管理者がいない世界で取引が行われています。
管理者がいないのになぜ取引が成立するのか?
取引成立の承認作業はどのようにして行われているのか?
その承認作業が、暗号資産の世界ではPoWやPoSという仕組みによって行われています。
■まずはPoWとは何なのか?
PoWとは、2008年に発表されたBTCのホワイトペーパーで、サトシ・ナカモトによって紹介された、まさに暗号資産の原点とも呼ぶべき承認方法です。
PoWの仕組みは、通貨の送金などの取引が行われた際に、大量の計算問題が出されるように予めプログラミングされています。
その計算問題を早く解いた者がブロックを生成する権利を与えられます。
このブロックの生成は、イコール承認作業でもあり、その承認作業が繰り返されるごとにブロックは生成され続けます。
その生成されたブロックからまた次のブロックが生成されるごとにチェーンで繋がり、それがブロックチェーンという名前の由来でもあります。
そのブロックの生成=承認作業完了ごとに、その謝礼のような形で、ネットワーク上から決まった量の通貨が付与されます。
PoWではとにかく早く計算をすることが重要であるため、いわゆる高性能パソコンを大量に稼働させ、大量の電力を消費しながらマイニングが行われています。
■PoWのメリットとは?
PoWのメリットの代表的なものは、セキュリティの高さです。
PoW方式のコインの承認作業は、マイナーたちのコンピューターの計算能力によって支えられています。
その改ざんを行うとなると、世界中のマイナーたちの計算能力を上回る必要があり、それはかなり困難でコストパフォーマンスも悪い。
それなら普通にマイニングをしたほうがいいので、悪意ある改ざんや攻撃が発生しにくいという点がメリットとして挙げられます。
また、特定のコインにマイナーが集まれば集まるほど、力が特定のマイナーに偏る可能性も減り、結果として強力なセキュリティが実装されることにも繋がります。
■PoWのデメリットとは?
PoW方式は大量のコンピューターを必要とし、それを稼働させ続けますので、まず第一に消費電力の多さがデメリットとして挙げられるでしょう。
昨今のSDGs的な環境への配慮から、時折PoWは槍玉に上げられることがあります。
次にデメリットの第2点としては『51%問題』。
可能性としては低いですが、仮に特定の通貨をマイニングしているマイナーたちの51%の計算能力を持つマイナーが現れた場合は、理論上改ざんが可能になってしまうという点もデメリットとして挙げられます。
■一方、PoSとは何なのか?
では次に、PoSとはどんな仕組みなのか見てみましょう。
SのStake(ステーキング)は直訳すると賭けるという意味も含まれていますが、ここでは預けるという意味として捉えた方がわかりやすいでしょう。
ステーキングを行う人を「バリデーター」と呼びます。
ETHのPoSでは、バリデーターは少なくとも32ETHを、使うことができないように預ける(ロックアップ)必要があります。
ETHのブロックチェーンは、このロックアップされた暗号資産を使用してネットワークを保護します。
PoWのように、コンピューターによって膨大な計算問題を解くという形ではなく、このロックアップされたETHを『多く、かつ長く』持っているものに報酬が与えられるという仕組みです。
■PoSのメリットとは?
PoSのメリットは、PoWのデメリットをそのまま解消しているという点です。
まず最初に消費電力の問題。
PoSは複雑で膨大な計算問題を解く必要がないため、その分消費電力は抑えられます。
PoWに比べて90%以上も消費電力を抑えられるという試算もあるほどです。
次にPoWのデメリットだった第2点の51%問題にも強いというポイント。
PoSでは、通貨を『多く、かつ長く』持っているものに報酬が与えられるという仕組みです。
仮に51%を支配できて改ざんを行うことができたとしても、その改ざんの事実によって保有している通貨の価値も減少してしまいます。
そのため、そもそも改ざんや攻撃を行うというメリットが一切ありません。
性善説に基づき、真面目に承認作業=マイニングを行うことになるのがPoSです。
■PoSのデメリットとは?
PoWのデメリットを解決しているように見えるPoSですが、デメリットがないわけではありません。
先にも述べましたように、PoSではコインを『多く、かつ長く』持っているものに報酬が与えられるという仕組みですので、コインの流動性は必然的に損なわれます。
暗号資産に限らず法定通貨の世界でも、たくさんの人に使われてキャッシュフローが多い通貨ほど価値があります。
この流動性のポイントは、PoSの今後の大きな課題とも言えるでしょう。
■PoWとPoSの違いがわかったところで...
さて、PoWとPoSの違いや、それぞれのメリットやデメリットがわかったところで、ETHがPoWからPoSに移行していくという事実について考えてみたいと思います。
まずBTCに関しては、昔も今もこれからも、ずーっとマイニング方式はPoWです。
マイナー視点で見ると、ずーっとPoWということは、いま保有しているコンピューター(GPUやASIC等)をそのまま使い続けられるということにもなります。
しかしETHに関しては、現状のPoW方式からPoS方式に移行していくため、いま保有しているコンピューターはいずれ使えなくなります。
現状既にPoW方式に対する市場は大きなものになっており、ETHが掘れなくなるからと言って、マイナーたちを始め、メーカーたちも、そのまま手をこまねいているはずはありません。
ではその巨大マーケットはどこに向かうのでしょうか?
次のPoW方式の通貨に集中していく可能性があります。
■世界のマイナーたちが狙うETHの次の通貨とは?
PoW方式の通貨は現状で200種類近くありますが、その中で真っ先に世界のマイナーたちから支持を集めそうな通貨があります。
そのマイナーたちが集中する通貨とは何なのか?
既にお気づきの方もいらっしゃると思いますが、その通貨はETC(イーサリアムクラッシック)です。
■世界のマイナーたちが集中することが予想されているETCとは?
ETCは、2016年6月に起きた「The DAO事件」がきっかけで誕生しました。
それまではETHだったのですが、ETHが分岐(ハードフォーク)することで、これまでのETHがETCという名称に変わりました。
名称で誤解されやすいのですが、ETCが元々のETHの仕組みをそのまま引き継いでおり、ETHが「The DAO事件」によって仕様に変更が加えられた通貨です。
それではもう少し「The DAO事件」で起きたハードフォークについて説明しておきます。
■なぜETHはハードフォークをしてETHとETCに分かれたのか?
「The DAO事件」とは、イーサリアムベースで開発を行なっていたThe DAOが、その開発資金としてETHを集めていました。
その集めていたETHが、The DAO側のプログラムの脆弱性が原因で不正流出が起きます。
意図していないETHの移動が起きてしまったため、ETHはロールバック(巻き戻し)を行うことで、この不正流出を無かったことにしました。
これは不正に流出した通貨を使えないようにするためでもありましたが、これに反対する者も出ました。
■なぜ反対したのか?
この不正流出は元々、The DAO側のプログラムの脆弱性から起きたものであり、ETHのプログラムには何ら問題がなかったというポイントがあります。
そのため、原因にもなっていないETHが介入するのはおかしいという点と、「Code is Law」という考え方も大きく影響しています。
「Code is Law」とは直訳すると、コードこそが法律。
つまり、コード(書かれていること)が全てという考え方であり、これは非中央集権という、暗号資産の基本中の基本の考え方に基づいています。
コードを書き換えること自体が中央集権的であり、人の手を加えるべきではないということですね。
このように反対派は、その基本理念に基づくべく、元々のETHのブロックチェーンの流れをETCとして受け継ぎ、ハードフォークされた通貨がETHとして新たに歩むことになりました。
■ETCの特長は?
ETCは元々ETHでしたので、ETHの特長であるスマートコントラストの機能は当然兼ね備えています。
そして、ETCの最大の特長と言っていいものが、BTCと同じように、非中央集権の信念を大切に保っているという点でしょう。
「The DAO事件」により現在のETHは、多数決によりコードの書き換えを行いました。
さらに、今後も仕様変更が可能になっており、これはある意味で中央集権化しているとも言えます。
しかし、「Code is Law」の考え方を大切にしているETCは、仕様変更やコードの書き換えはすべきではないという立場を貫いており、今後もその考え方は続くと予想されています。
さらにETCは、BTCと同じように発行上限枚数が決まっており、その数は2億3000万枚。
さらにBTCと同様に半減期も設けられいるため、半減期前後の大幅な価格上昇も期待できるという点も興味深いです。
■ETCは何に使われるのか?
ETCはIoT(Internet of Things)分野での使用が期待されている通貨です。
ETCはETHと同じくスマートコントラクトを実装していますが、スマートコントラクトの分野ではETHがかなり先行しているため、戦略的にIoT分野に方向転換しています。
IoTではモノとモノがインターネットで繋がるような形で、これにより、生活の利便性が上がることが期待されています。
IoTは今後の利便性の高い生活の基盤にもなり得る反面、その使われ方から、プライバシー面を意識し、それを強くしておく必要があります。
昨今、個人情報漏洩などのデータ流出事件も多くなっており、その背景には、データの中央化や一極集中などのいわゆる中央集権化の弊害もあります。
そのような状況の中でIoTが発展していくには、いかにデータ等を一極集中させないかが課題になります。
その点ETCは「The DAO事件」の時に、頑なに非中央集権の姿勢を貫き、分散管理に対する高い意識を示しました。
さらに、その「The DAO事件」の経験により、セキュリティ性能は向上。
セキュリティを高くするとIoTとの相性も良くなると言われているため、ETCにとっては「The DAO事件」での経験が活きてきています。
このようなETCの開発姿勢が 、IoT 分野の発展にも重要な要素として認識されており、その活用が期待されています。
■今後のETCの展開
ETHのPoW方式のマイニングは近い将来終了し、ETHは完全にPoS方式に移行します。
ETHをマイニングしていたマイナーたちは、次のターゲットとして上記の理由などから、ETCに注目しています。
そんな流れの中で、近い将来、世界のマイナーたちがETCに集中してくるとどうなるでしょう?
マイナーが増えれば増えるほど、その通貨の承認スピードは上がり、発行枚数も増え、いわゆるキャッシュフローが高まります。
フローが高い通貨は使われやすくなり、さらにPoWの特徴から、マイナーが増えることでセキュリティ性能もさらに高まります。
セキュリティ性能がより高まることで、ETCのIoT分野での活用の幅も広がり、使われる通貨になってくることでしょう。
そして特筆すべき点は、ETCには発行上限枚数が設定されているということ。
これにより、マイニングが進むにつれて(発行枚数が増える)、BTCと同じように希少性が高まってきます。
希少性が高まれば、それは当然価格にも反映されやすくなるため、これからのETCはBTCと同じ道を辿っていくかも知れません。
BTCの発行上限枚数は2100万枚で、ETCの発行上限枚数は2億3000万枚で約11倍。
現状は机上の空論かも知れませんが、ETCの将来価格は、BTCの1/10程度まで上昇するかも知れません。
BTCの2022年8月1日時点での価格は約300万円。1/10の価格は30万円。
ETCの2022年8月1日時点での価格は約5,000円。
30万円まで行ったとすると、今から60倍ということに。
まぁこれは大袈裟かも知れませんが、暗号資産の世界では、昔は大袈裟な数字だなと思われていたものが達成されたりする世界。
暗号資産は現状1万通貨以上あるとも言われている中で、消えゆく通貨も多い中、ETCはその中でも比較的安定している通貨でもあります。
時価総額ランキングでは2022年8月1日時点で19位。
審査が厳しい日本の取引所でも扱われているメジャー通貨です。
そんな比較的安定していて、尚且つメジャーな通貨が世界のマイナーたちの大移動により爆上げ予感。
ETCは要注目ですよ!