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乱闘のウォーリアーズ(第3話)【漫画原作部門参加】

第1話と第2話がまだの方はこちらから!!

本編

〇闘技場αアルファのバトルフィールド ルナールVSロルフ

剣を正確に振り回し、ロルフと距離を取るルナール
ロルフは目を細め、余裕の笑みを浮かべる

ロルフ「オレを倒すのはまだ100年早いかな」
ルナール「会長に倒すよう言われてるので」

ルナールの剣にロルフは槍で応戦
斜め斬りを華麗にかわすロルフ

ロルフ「急遽オレとの対戦を登録するなんて、なかなかのやり手だよ、君のボスは」
ルナール「……」


〇闘技場αの観客席 マルジャ達は観戦中

ポップコーンを食べるラパン
マルジャは何も食べず、真剣に戦闘バトルに見入る

少年二人をキラキラした目で見つめるラッテン
頬を両手で抱え、メロメロになっている

ラッテン(それにしても、少年ショタ二人をこんな至近距離で拝められるとは……!)

マルジャ「あの、ラッテンさん?」
ラッテン「――むがぁ? ふにゃ?」
マルジャ「僕の顔に何か付いてますか?」
ラッテン「いやいやいや、気にしないでくれよ! わっちはただ、見ているだけで幸せなのだから」
マルジャ「?」

ラッテンの言葉の意味を理解できないマルジャ
そんな二人の横で、ラパンは黙々とポップコーンを貪る

マルジャ「あの、やっぱり一流戦士ウォーリアーのバトル、凄いですね!」
ラッテン「ふむふむ、そうだろぉ? ルナールはつい最近、Sランクになったのだよ。あれは嬉しかったなぁ」
マルジャ「Sランク!? それじゃあ、対戦相手のロルフさんは――」

ラッテンが頬を膨らませて頷く
三人の視線がロルフに釘付けになる

ラッテン「ロルフはSSランク。この戦場都市バトル・シティで、たった二人しかいないSSランクのうちのひとりなのだ」

ラッテンの言葉に口を開けて唖然とするマルジャ
ロルフの異常な余裕の理由を理解する

マルジャ「もうひとりのSSランクは……」
ラッテン「うん、リオン・ボナパルト――化け物みたいに強い奴だ」

自分の目標としている戦士ウォーリアーの姿を思い浮かべるマルジャ
拳を強く握り、目の前の熱いバトルに集中する

マルジャ(王者リオンもそうだけど、まずはこの人たちを超えないと駄目なんだ! この都市には、まだまだ強い戦士ウォーリアーがたくさんいる!)
ラパン(このキャラメルポップコーン美味しい~)


〇闘技場αの観客席 マルジャ達のちょうど反対側

アレント(ロルフが久しぶりに戦場フィールドに姿を現したかと思えば……あの〈狐の女剣士〉と交戦だと?)

鷹を従え、切れ長の目を細めるアレント
眼下に広がるレベルの高いバトルを観戦する

アレント(誰かに申し込まれなければ戦うことなどない男が、よりにもよってルナール・シュー・セルヴィスと戦う――何か裏があるに違いない)

周囲を見渡すアレント
驚異的な視力であらゆるものを見る

アレント(あれは……まさか……どうして今まで気づかなかった!?)

アレントの視線の先には、注目しているマルジャ
そして、黒髪ロリ少女の姿

アレント「ヴァルシュタイン……奴に先手を打たれるとは……」


〇闘技場αのバトルフィールド ロルフの圧倒的優勢

ロルフ「Sランクに昇格したと聞いたよ。その噂は本当だったようだ。動きのキレが前より格段に上がっている」

普通の者ならば目視できない速さで斬るルナール
さらに速いスピードでよけるロルフ

ロルフは槍を一切攻撃に使わず、格の違いを見せつける
剣が空を切る音が、闘技場中に響く

ルナール(――やっぱり、格が違う。どんな攻撃をしても、完璧にかわされる)
ロルフ(――さっきのはヒヤッとしたな)

ロルフ「そろそろ決着をつけさせてもらうよ」

高く飛び上がり、槍を引くロルフ
警戒して回避しようとするも、どこに動けばいいかわからず震えるルナール

ロルフ「ラッテンは少年二人をヴィーナス会に入れたら、君はどうするつもりだい?」
ルナール「それは、あなたには関係ない」

突き放すような瞳でロルフを睨むルナール
その答えに満足したかのように、ロルフは軽く頷く

ロルフ「合格だ。あの若い二人を鍛え上げてくれ。そしてある程度強くなったら、オレが磨き上げる!」

ロルフが槍を放つ
光を吸収し光沢を放つ槍は、まっすぐルナールの方へ飛ぶ

移動して回避することは不可能だと悟るルナール
剣を構え、槍をとっさに受け止める

あっけなく敗北
剣は折れ、槍は脇腹に突き刺さる

あまりの痛みに呻くルナール
地面に着地したロルフがゆっくりと近づく

ロルフ「安心して欲しい。軌道はちゃんとずらした。3日もすれば、回復する。もしここで君を殺してしまえば、オレは失格だし、今後強くなったルナール・シュー・セルヴィスと戦うことができなくなるからね」

軽く微笑むロルフ
その笑みの中には狂気が浮かんでいる

ロルフ「早くオレを満足させて・・・・・くれよ」

大歓声と共に、ぐんっとジャンプするロルフ
そのまま闘技場の壁を跳び越え、街のどこかに消える

観客席からのどよめきの声
ルナールは勝てると思っていなかったものの、圧倒的な力の差に歯を噛み締める

ルナール(もっと、強くなりたい……)

体から槍が抜け、ロルフを追うように飛んでいく
これもロルフの技術なのか、出血はほぼない

観客席を見上げるルナール
ラッテンが手を大きく挙げて振っている

ルナールと少年マルジャの目が絡み合う
二人とも、強さを求める瞳で反応し合う


〇闘技場αの観客席 バトルが終わった後

マルジャ「負けましたね、ルナールさん」
ラッテン「ランクが違うから当然と言えば当然なのだよ」
マルジャ「なら、どうして戦わせたんですか?」
ラパン「本人がそう望んだからじゃないか?」

会話に割り込むラパン
ポップコーンは食べ終わっている

ラパン「あの目、マルジャと同じで、頑固で負けず嫌いな目をしてる」
ラッテン「うぉ! わかるのかい? 流石はわっちが認めた少年だっ!」

マルジャがルナールの瞳を見つめる
二人の目が、色は違えど同じように輝く

アレント「貴様もその少年に目をつけていたとは」

いきなりかけられた低い声
ラッテンが飛び上がる

ラッテン「――今度はキミかぁぁぁああ!」
アレント「相変わらず子供が好きなようだ」
ラッテン「わっちは別に、私利私欲のためにこの子たちを誘ったわけじゃなくてぇ、未来の可能性が――」
アレント「簡潔に要件を言おう。そのマルジャという少年を渡せ。隣の少年は好きにしろ」

マルジャがアレントを睨み、ラパンが不快な顔をする

マルジャ「いきなり出てきて、そもそも誰ですか?」
アレント「面白い。なかなか生意気そうだ」
ラパン「おじさん、早く名乗ってよ」

ラパンのおじさん呼びに苛立つアレント

アレント「俺はアレント・ホール。今年で22だ。そこの女より遥かに若い」
ラッテン「ちょいちょい、わっちを年齢の話に巻き込むんじゃないっ!」

カーっとラッテンが顔を赤くして怒る
ラパンが不思議そうにラッテンを見つめる

ラパン「え、俺たちより年下じゃないの?」
アレント「そいつはもうすでに100歳を超えている」
マルジャ&ラパン「えぇぇぇええええ!!」

恥ずかしそうにもじもじするラッテン
肌はつやつやで、まだ若々しい

ラッテン「年齢の話はいい。わっちはキミのことが嫌いだ! いいか! 絶対にマルジャもラパンも渡さないぞぉぉぉおお!」
ラパン「俺たち、まだヴィーナス会に入るって決めたわけじゃ――」
ラッテン「いいかい、選択肢は少ない。今後もっと強くなりたいなら、無所属フリーでいることは危険なのだ。今のうちに最強派閥ヴィーナス会に入ることをお勧めする!」

ルナール「戻りました」

修羅場に参加することになったルナール
アレントを見て、なんとなく事態を察する

ラッテン「ていうか、そもそもバード会に猫の魂獣スピリットアニマルのマルジャは入れないだろ!! ムキー!」
アレント「安心しろ。会長はいずれ俺が殺す。バード会には新鮮な血が必要だ」
ラッテン「キミにはバード会会長あいつは殺せない!」

勝ち誇った笑みを浮かべるラッテン
アレントが顔をしかめる

アレント「戦ったことがあるのか?」
ラッテン「ああ、まず、キミのように未熟な若者では、無理だ。これはわっちの経験をもって断言できる!」

言葉を失いかけるも、勢いを落とさないアレント
マルジャの手を乱暴に掴む

アレント「バード会に入れ。強くなりたいのなら、うってつけの環境だ」
マルジャ「僕は――」
ラッテン「やめろぉぉぉおおおおお!!」

この茶番を呆れて眺めるルナール
少年勧誘は毎度こんな様子だと思い出し、溜め息をつく

ルナール「彼が決めることだと、思います。どんな派閥に所属するかは、彼ら自身が決めるべきことです」
ラッテン「……」
アレント「……」

再びマルジャの顔を見るラッテンとアレント
ラパンが呆れた表情をする

ラッテン「さあ、少年、どっちに入る?」
アレント「ヴィーナス会など、ヴァルシュタインの趣味のようなものだ。バード会は本気でこの戦場都市バトル・シティの頂点を目指す」
ラッテン「なんだとぉぉお? わっちはこの戦場都市バトル・シティで最強の派閥作りのために――」

マルジャ「僕は――」

言い争う二人を遮り、言葉を紡ぐマルジャ
ラパンが緊迫した表情でマルジャを見る

マルジャ「僕は、ラパンと一緒がいいです!」
ラパン「――ッ!」
マルジャ「それに、ただ誰かの言う通りに戦っても、圧倒的に強くなれるとは思わない……だから……ラパンと一緒に、新しい派閥を立ち上げます!!」


〇闘技場αの壁の最上部 ロルフが仁王立ちして下の様子を傍観する

観客席の一部で起こった出来事に、楽しそうに微笑むロルフ
納得して地面にジャンプし、静かに着地する

ロルフ(組織に入らず、己の道を突き進む、か。それに、彼はオレになかったものを持っている)

闘技場に背を向け、歩き始めるロルフ

ロルフ(いい相棒がいるではないか、マルジャ)

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